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神獣の目覚め

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 そのとき、再び大きな気の高まりを感じる。
 三名はそれぞれ気配の出どころを探り、見まわしていると、坤宮の洞窟の奥から何十本何百本もの蔦や、緑葉がこちらへ向かって伸びてくるのが分かった。その後、勢いよくやって来た木の根が壁を伝い、樹木がどんどん生えていく。

「なぜ」
「一体、これは?」言葉を漏らす瑠亀と劉龍を尻目に、
「これはちょうどよい」

 麗虎が伸びすぎた樹木を刈っていく。洞窟内は木気が充溢していった。劉龍は木気に碧羅の両親の気配に似たもの、あるいは自分に加護を与えてくれた神獣の気配に似たものを感じる。
 水気を吸って土気を使い、どんどん草木が育っていく様を、劉龍は見守るほかない。花や樹木を愛でる李龍や桃龍を思い出させる感覚もある。そして、勢いよく育つ、静の樹木のような伸びやかさも感じた。

「これは、碧羅の神獣の気配だな」と麗虎は劉龍が感じたことを形容する。
「静、か?」

 自分ではないとなれば、神獣に関係があるのは、静だ。静の身に何かがあったのかもしれない、と劉龍は思う。静の気を探るが、強すぎる木気により、なかなか難しい。あの静がそう簡単に倒れるわけがない、とは劉龍は思っているが、鬼脈では何が起こるか分からないとも思う。
 無事でいてくれ、静。と劉龍は祈るのみだ。


 一方で艮宮からの部隊では、飛鳥を始め、虎牙や璃蛇もまた、強い木気を感じていた。
 金気の強い空間をすぎ、水気の高い鍾乳洞を歩いていたところ、苔やシダなどの草木が天井や壁へと次から次へと芽生えていく。水気を吸いあげていくと、どんどん蔦を伸ばしていき、花を咲かせていった。

「静?」
 飛鳥は自身の爪に結びついてきた蔦に、静の気配を感じ、辺りを見回す。

「凄まじい木気だな、本当に静龍か?」
 虎牙がそう言ったときに、鐘の音が響いた。坤宮からの部隊が鐘を鳴らしたようだ。

「こんなに早く制圧できるでしょうか」と璃蛇は言うが、鳴り響く鐘の音はどんどん大きくなっていく。そよ風が洞窟の中から吹いてきたかと思えば、風がどんどん強くなっていき、突風となった。根を張った草木の葉が散り、三人は目をつぶる。

 飛鳥は自身の羽毛に、何者かが触れる感覚を感じた。

「ただいま、飛鳥」
 清浄な鈴の音が聞こえる。馴染みのある香りのするそよ風を感じ、飛鳥は変化を解いた。

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