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疑惑の第三王子と第四王子

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 お二人の視線がこちらに向かい、急に鋭さを帯びる。
 そう、その黒いものは恐らく使い魔なのだ。普通は使い魔を見ることが出来ないと、ラドルの件で私は知っていた。

 私は思わず口を押える。

「お前はウィリエールの近衛兵か?」
 とルートラン様が尋ねてきた。

 はい、ミリアと申します、と私は答える。キーリム様は私の答えをじっと見つめ精査なさっているようだ。

「お二人がいらっしゃるとは思わずに、つい大きな声を出してしまいました。申し訳ありません」

 目の前をウロウロと飛び交う使い魔の存在が、私の嘘を見破ってしまう。平常心を保とうとする私に、小人があっかんベーをしてくるのだ。それによって、私は視線を向けてしまう。

 ルートラン様とキーリム様が顔を見合わせて、私の腕を押さえつけてきた。

「な、何をなさるのです?」
「お前の目に何が見えているのか、聞かせてくれるか?」

 お二人で押さえにかかられて、引きずられる形で移動させられていた。図書館には人の気配がなく、見とがめる人はいない。

 書庫の奥へと引きずり込まれて、配架されている戸棚に押さえ込まれた。

 ルートラン様もキーリム様も細身で、筋肉質な印象はなかったけれど、二人がかりとなれば、さすがに動けない。

「使い魔が見えているだろう?なぜだ?」
「普通に人間には使い魔は見えないはずだ。お前はただの近衛兵じゃないのか?」

 正確な理由は分からない。ラドルの姿が見えるのは、ウィリエールの魔法が注ぎ込まれているからなのかもしれなかった。
 けれど、それをここで口にするわけにはいかない。

「私は軍神の家系に生まれ育っております。ゆえに、時々、使い魔が見えることもあるのかもしれません」

「嘘にしては適当だ。軍神の巫女に使い魔が見えると聞いたことはない」
 と言い捨てられてしまい、取り付く島もない。
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