魂レベルでビッチです～ヤンデレ彼氏に殺されて悪役令嬢に転生したらしいので、処刑上等で自由な異世界ライフを楽しみます！～

悪縁

1

「ざんねーん、お嬢のお相手はオレみたいですね」
　へらへらしながら、ロアシュは私の頬にナイフのブレード部分をあててくる。

「うわあぁ～お気に入りなんだね、その脅しスタイル」
　前回もされている分、やや冷ややかに見てしまうのは否めない。

「前回は警吏の邪魔が入りましたけど、今回はどうでしょうね？」
　ナイフを動かせば、切っ先が触れて髪がはらりと床に落ちる。趣味わるぅい、と悪態をついてみれば、ロアシュがけたけたと笑う。

「ジョーの目的は、似せ絵配りをやめて欲しいってことだったけど。ロアシュの目的は何？」
「そんなの分かってるくせに、焦らすんですね」
　脅しのために触れているナイフの平たい部分が、だんだんと私の体温で温まって来る。

「じゃあ、例えば。それを手に入れた後はどうするの？殺すの？」
　どんどん頭に血がのぼって来ていて、苦しくなってきていた。

「もし経験したなら。お嬢は、オレ以外受け入れられなくなると思いますよ。かなり自信はあります」
　とロアシュはナイフを頬から離し、指のはらで私の唇をなぞって来る。口唇に指を差し込んで来ようとするので、噛みつく真似をしたら、けらけらと笑うのだった。

「その可愛らしい唇に、別のものを、入れ込んでもいいんですけどね」
「噛みちぎるよ？」
　と言ったら、

「さすがに喉の奥まで突いたら、噛めませんよ」
　と平気で返してくる。私の頬に手をあててきて、自分のボトムスのベルトを外していこうとするのだった。

「ろ、ロアシュ、さすがにこれは……反則だよ！」
「いつするかだけですよ。この場には、オレ達しかいない」
「趣味が悪すぎるっ！絶対にヤダ！」

　幸か不幸か手だけは自由になっているので、足首を手で掴んで頭を持ちあげた。ちょうど頭がロアシュの顔面にぶつかり、
「いてえぇ」
　と声をあげる。即座に髪の毛を引っ張られて、揺さぶられた。

　マズいな逆上させたらいけないタイプ？