魂レベルでビッチです～ヤンデレ彼氏に殺されて悪役令嬢に転生したらしいので、処刑上等で自由な異世界ライフを楽しみます！～

似たもの同士

3

　ランスは静かな瞳で見つめながら、
「逃げても追われるし、目の前から消してしまっても消えていない。魂レベルで持ち越してしまうかもしれないけれどね」
　と静かな口調で続けてきた。

　私にはその意味は分からなかったけれど、
「変な話してすみません。楽しくないですね」
　と私は言う。
　ランスには楽しんでほしい。その悲緒に似た顔に、気鬱な表情を浮かべて欲しくないのだ。

「君と話すのは、楽しいよ。例えどんな話でも」
　そう言ってランスは、宝石がはまっているドロップ型の耳飾りを差し出して来た。
「え？」
「宝石は勝手に選んでしまった。勝手な思い入れのある宝石だから」
　これは私の誕生石だ、と思ってランスを見あげる。
　そんなことを彼が知るわけもないし、その誕生日は前世のもので、悪役令嬢である今の私には無関係のものだけれど。

「シュシュとは出来るだけ、いい雰囲気で付き合いたい」
「え、付き合うのは無理です。私、クラドと結婚してますし、リーミアという恋人もいます」
「それでいいって、ずっと言っているよ。周囲の環境はこの際どうでもいい」
「よくないんですよ、こっちはっ！基本的に不倫はしない主義なんですってば！クラドが別れてくれないから今はリーミアとの不倫状態ですけどっ！」

「今の発言で分かるとおり、君の主義はすでに破綻していると思うよ。それに主義主張があっても、結局のところ、君は好みの男がいればついていくだろう？」
　ひんやりと冷たく硬質な声音で、ランスは意地の悪いことを言う。

「さすがに好みでも、既婚かどうかは確認しますよ！悪いですけど、行動は軽いけど身持ちは固いんです！簡単に身体を許しませんよ（現世では）」
「君の発言はあちこち理論的に破綻していて、理解が追いつかないな」
　そう言ってランスは肩をすくめてみせる。