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彼の手練手管

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 ゼリュードは私にうつ伏せになるように言う。
 大人しくうつ伏せになったら、私の臀部に触れていき、肉を左右に引っ張った。そして中心に中指を差し込んできたので、え、と悲鳴があがる。

「こちらを望むお客がいた場合には、事前に清浄しておかなければいけない」
「えぇ、こんな場所は。使わないでしょ」

「好き者もいるようだ。そして、ここを使ってくれ、と言われることもある。そんな時は、刺激してやるといい」
「し、刺激したとしたら。どうにかなるの?」

「立ち上がりがよくなるか、人によっては即座に達してしまう」
 私は初めて聞く話に驚きと共に、羞恥心がやってくる。その秘所はどこよりも不浄に思えたからだ。指が中でぐねぐねと蛇行するのを感じて、身体が硬直する。

「ぁ、なんか変」
「今はやめておくよ。でも、知っておかなきゃいけないから」

 抜き取られたときに、不思議な心地よさが刺激されて、んんっ、と声がもれた。
「その快感を、求める人もいるらしい」
 とゼリュードは言う。こんな使い方は知らない。

「ゼリュードは、試してみなくていいの?」
 私が尋ねたらゼリュードは首を振った。いっぱしの剣士が簡単に背中を取らせるわけにはいかないんだよ、と言うのだ。

 ぎしぎしっと軋みの激しい寝台の上で、様々なことを教わる。窓の外は徐々に日が明ける予感があったので、この辺にしておこう、少し休んでおくといい。とゼリュードに言われた。

 最後に抱きしめさせてくれ、と言われたので抱きあって少しだけ眠る。

 最後まで――――ゼリュードは私を抱かなかった。
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