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娼館をめざして
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抱えられて、馬上に乗せられた。
ゼリュードの背中につかまるように言われて、大人しく捕まる。子どもの頃の乗馬遊びを思い出していた。
「娼館に行ってどうするんだ」
「娼婦として、聖女信仰の弱点を突く。聖女なんてものはいないから」
「いるよ。現にジェラートがそうだ。聖痕が出ていただろ」
「これだから、何も知らない。あれは悪女の印。印が出た者がどんな苦しい思いをするのか知らないから。そんなことを言う」
「身の安全が護られるわけじゃないのか」
「高貴な方から民間の方まで、皆々様が聖女を凌辱するのがお好きな様子。都合が悪くなれば、すべて聖女の所業にしてしまうの。聖女と持ちあげられたら、その身の上は安定しない」
「そんな、ばかな」
と驚きの声をあげる、ゼリュードが愚かしく思えた。
「ゼリュードだって。穢れなき聖女がお好きなんでしょ。妻にするならば、純潔でなければ、と思っておいでのようで」
言ったとたんに、ゼリュードの耳がぼっと赤くなった。図星だ。
「私は違うから。十回も婚姻している」
「そんな話は、信じられない」
「信じなくてもいい。私がお手付きだと知らなかったから、私の剣士を目指しただけでしょ。穢れなき聖女が好きだから」
「聖女が好きなわけじゃない。オレは、ジェラートが」
ゼリュードの背中に頭を寄せる。信じたかったけれど、もう、やめた。
今、こうして私に優しいのは、私が聖女になるかもしれないから。遊び女は嫌いだと言って獣を抱くような冷たい初夜しかくれないくせに。
「着いたら、帰ってね」
ゼリュードは長くため息をついた。
ゼリュードの背中につかまるように言われて、大人しく捕まる。子どもの頃の乗馬遊びを思い出していた。
「娼館に行ってどうするんだ」
「娼婦として、聖女信仰の弱点を突く。聖女なんてものはいないから」
「いるよ。現にジェラートがそうだ。聖痕が出ていただろ」
「これだから、何も知らない。あれは悪女の印。印が出た者がどんな苦しい思いをするのか知らないから。そんなことを言う」
「身の安全が護られるわけじゃないのか」
「高貴な方から民間の方まで、皆々様が聖女を凌辱するのがお好きな様子。都合が悪くなれば、すべて聖女の所業にしてしまうの。聖女と持ちあげられたら、その身の上は安定しない」
「そんな、ばかな」
と驚きの声をあげる、ゼリュードが愚かしく思えた。
「ゼリュードだって。穢れなき聖女がお好きなんでしょ。妻にするならば、純潔でなければ、と思っておいでのようで」
言ったとたんに、ゼリュードの耳がぼっと赤くなった。図星だ。
「私は違うから。十回も婚姻している」
「そんな話は、信じられない」
「信じなくてもいい。私がお手付きだと知らなかったから、私の剣士を目指しただけでしょ。穢れなき聖女が好きだから」
「聖女が好きなわけじゃない。オレは、ジェラートが」
ゼリュードの背中に頭を寄せる。信じたかったけれど、もう、やめた。
今、こうして私に優しいのは、私が聖女になるかもしれないから。遊び女は嫌いだと言って獣を抱くような冷たい初夜しかくれないくせに。
「着いたら、帰ってね」
ゼリュードは長くため息をついた。
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