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23.バジリスク討伐
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「このあたりですわね!」
「バジリスク、おいしいかな」
魔物の気配があるあたりに移動したわたくしたち。ワクワクした様子のルチア様。バジリスクは美味しいのでしょうか? 猛毒があるのではないかと思いつつ、バジリスクが現れる場面でヒロインが必要なこともあるかと思い、黙って連れてきましたわ。
「皆様。ご存知かと思いますが、バジリスクとは目を合わせないようにしてくださいまし」
わたくしが大声でそう叫ぶと、了承の声があちらこちらから返ってきました。
安心して、討伐を始めましょう。周囲に毒への防御魔法を展開します。さぁどこからでもかかっていらっしゃい?
「お嬢様。わたくしの魔力探知によると、バジリスクが逃げていっているかと」
「なぜ? きちんとヒロインも連れてきたわ!」
「悪役令嬢、魔物、倒しすぎ?」
なぜか逃げていくバジリスクを、わたくしは慌てて追います。
「お嬢様! お一人になられると危のうございますよ」
そんなわたくしのすぐ後ろにばあやが、少し離れたところにルチア様がいらっしゃいます。
どごぉぉぉお!
突然、後ろで大きな音がしました。バジリスクとその配下の魔物たちに囲まれたようですわ。
「ねぇばあや」
「はい、お嬢様」
「囲まれたみたいね?」
「そのようですね」
「ということは、この場にはわたくしたち以外の目がないということ?」
「そうなります」
「……やったわ! 思いっきり殺りまくるわ!」
「僭越ながら、わたくしもお嬢様のお手伝いをさせていただきましょう」
ーー後方
「な!?」
「あのお方とその従者が囲まれたようだぞ!?」
「ここは、細い一本道で両サイドは壁だ。壁を崩して道を崩壊された!」
「か弱きご婦人方をお救いしなければ!」
「大丈夫。悪役令嬢、強い」
「「「は?」」」
わたくしの強さを語れども、容姿のせいで全く信じてもらえないルチア様から、後ほどものすごく怒られましたわ。
意外と怖かったですわ。
◇◇◇
「全て倒しましたわ!」
「さすがお嬢様でございます」
「壁が崩れているわね……。わたくし、流石にあれをぶっ壊して登城したらまずいかしら?」
「……魔法を使って空を飛んで参りましょう」
「そうね。その手があったわ」
ばあやが昔発案したという飛行魔法。領内では好き勝手飛んでいたけれど、学園に通うようになってからはなかなかチャンスが少なかったのですわ。わたくし、思いっきり飛びますわー!
「「「飛んでる!?」」」
「悪役令嬢、普通」
「ルチア様、お怪我はございませんか?」
「無事。悪役令嬢は? バジリスクは?」
「もちろん全て倒してまいりましたわ?」
わたくしたちが談笑する後ろで、デゼール王国の皆様が何やら話し合っていらっしゃったようです。
「飛行魔法……?」
「飛行魔法が使える人材が聖ルピテア王国にいたなんて……」
「すぐさま、国王陛下に報告に走れ!」
「聖ルピテア王国ならびにハーマート公爵家への対応レベルを五段階上昇!」
「悪役令嬢。バジリスク食べたい」
「諦めて帰りますわよ、ルチア様!?」
「バージーリースークー!」
「仕方ありません。見るだけですわよ?」
そう言ってルチア様をバジリスクの元へ案内します。
「ひっ」
小さな悲鳴をあげて、垂直に飛び上がったルチア様は目にも止まらぬ速さでわたくしの後ろへと隠れられました。
「あら……蛇は苦手でいらっしゃったのね?」
「見た目が蛇のまま、無理」
「では、帰りましょうか?」
「周りに落ちている他の魔物は食べる」
わたくしはルチア様を必死に引っ張って離宮へと戻ったのでしたわ。
「バジリスク、おいしいかな」
魔物の気配があるあたりに移動したわたくしたち。ワクワクした様子のルチア様。バジリスクは美味しいのでしょうか? 猛毒があるのではないかと思いつつ、バジリスクが現れる場面でヒロインが必要なこともあるかと思い、黙って連れてきましたわ。
「皆様。ご存知かと思いますが、バジリスクとは目を合わせないようにしてくださいまし」
わたくしが大声でそう叫ぶと、了承の声があちらこちらから返ってきました。
安心して、討伐を始めましょう。周囲に毒への防御魔法を展開します。さぁどこからでもかかっていらっしゃい?
「お嬢様。わたくしの魔力探知によると、バジリスクが逃げていっているかと」
「なぜ? きちんとヒロインも連れてきたわ!」
「悪役令嬢、魔物、倒しすぎ?」
なぜか逃げていくバジリスクを、わたくしは慌てて追います。
「お嬢様! お一人になられると危のうございますよ」
そんなわたくしのすぐ後ろにばあやが、少し離れたところにルチア様がいらっしゃいます。
どごぉぉぉお!
突然、後ろで大きな音がしました。バジリスクとその配下の魔物たちに囲まれたようですわ。
「ねぇばあや」
「はい、お嬢様」
「囲まれたみたいね?」
「そのようですね」
「ということは、この場にはわたくしたち以外の目がないということ?」
「そうなります」
「……やったわ! 思いっきり殺りまくるわ!」
「僭越ながら、わたくしもお嬢様のお手伝いをさせていただきましょう」
ーー後方
「な!?」
「あのお方とその従者が囲まれたようだぞ!?」
「ここは、細い一本道で両サイドは壁だ。壁を崩して道を崩壊された!」
「か弱きご婦人方をお救いしなければ!」
「大丈夫。悪役令嬢、強い」
「「「は?」」」
わたくしの強さを語れども、容姿のせいで全く信じてもらえないルチア様から、後ほどものすごく怒られましたわ。
意外と怖かったですわ。
◇◇◇
「全て倒しましたわ!」
「さすがお嬢様でございます」
「壁が崩れているわね……。わたくし、流石にあれをぶっ壊して登城したらまずいかしら?」
「……魔法を使って空を飛んで参りましょう」
「そうね。その手があったわ」
ばあやが昔発案したという飛行魔法。領内では好き勝手飛んでいたけれど、学園に通うようになってからはなかなかチャンスが少なかったのですわ。わたくし、思いっきり飛びますわー!
「「「飛んでる!?」」」
「悪役令嬢、普通」
「ルチア様、お怪我はございませんか?」
「無事。悪役令嬢は? バジリスクは?」
「もちろん全て倒してまいりましたわ?」
わたくしたちが談笑する後ろで、デゼール王国の皆様が何やら話し合っていらっしゃったようです。
「飛行魔法……?」
「飛行魔法が使える人材が聖ルピテア王国にいたなんて……」
「すぐさま、国王陛下に報告に走れ!」
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「悪役令嬢。バジリスク食べたい」
「諦めて帰りますわよ、ルチア様!?」
「バージーリースークー!」
「仕方ありません。見るだけですわよ?」
そう言ってルチア様をバジリスクの元へ案内します。
「ひっ」
小さな悲鳴をあげて、垂直に飛び上がったルチア様は目にも止まらぬ速さでわたくしの後ろへと隠れられました。
「あら……蛇は苦手でいらっしゃったのね?」
「見た目が蛇のまま、無理」
「では、帰りましょうか?」
「周りに落ちている他の魔物は食べる」
わたくしはルチア様を必死に引っ張って離宮へと戻ったのでしたわ。
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