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14.シューデン王国訪問
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「この度はお誕生日おめでとうございます。シューデン王国王太子ミカルド様」
「ツリアーヌ・フェイジョア嬢! 君に会えるなんて最高の誕生日だよ!」
「……おめでとうございます、ミカルド王子」
「……新ミリュー王国国王陛下もわざわざお越しくださりありがとうございます」
「……友好国の王太子の生誕パーティーですから」
わたくしの姿を見て、走ってきてくださったのはミカルド王子でした。そこへ、バタバタと足音が響きます!
「ツリアーヌ様~!」
「まぁ、メルティーヌ様!? はしたないですわよ? わたくしの教育は無駄でして?」
「ツリアーヌ様のお姿を見かけて、嬉しくって! ごめんなさい。気をつけますわ」
メルティーヌ様はミカルド王子にもヤリアント様にも目をくれません。
「メルティーヌ様。こちら、本日の主役でいらっしゃるシューデン王国王太子ミカルド様ですわ」
「お初にお目にかかります。ボレアース王国第四王女、メルティーヌ・ボレアースですわ。ツリアーヌ様の弟子ですの!」
「これはこれは。私がミカルド・シューデンだ。私の生誕パーティーにお越しいただき、ありがとうございます。つかぬことをお伺いしますが、ツリアーヌ・フェイジョア嬢の弟子とは?」
「まぁ! 聞いてくださるのですか? わたくし、」
ミカルド様とメルティーヌ様が何やら盛り上がっていらっしゃいますわ。しかしみなさま。ご覧になったかしら? メルティーヌ様の美しいご挨拶。わたくしの教育を受けたメルティーヌ様ご自身の才能と努力によるものですわ。ミカルド様も一瞬メルティーヌ様に見惚れていらっしゃったわ!
「ねぇ、ヤリアント様」
「どうした?」
「ご覧になったかしら? メルティーヌ様の美しいご挨拶! わたくし、感動してしまったわ! ミカルド様も見惚れていらしたわよね?」
「あ、あぁ。多分ミカルド王子もメルティーヌ様に見惚れていただろう」
「まぁ、どうしてそんなに曖昧なお答えなの?」
「ごめん。僕はツリアに見惚れていたから……」
「もう! ヤリアント様ったら!」
ヤリアント様のお言葉に思わず顔が熱くなります。メルティーヌ様とミカルド様は、ひたすらわたくしの素晴らしさについて盛り上がっていらっしゃいますわ。……恥ずかしいですわ。本日の主役でいらっしゃいますもの。みなさまのところへ返して差し上げないと。
「め、メルティーヌ様! そろそろミカルド様をみなさまのところへ。みなさまお待ちでいらっしゃいますわよ!」
「まぁ! ごめんなさい。ミカルド王子。わたくしったら」
「いや、いいんだ。君とは話が合うようだ。また、語ろうではないか、メルティーヌ嬢」
固く握手を交わしたお二人の姿は大変仲睦まじく見えますわ。
◇◇◇
「わたくし、お腹いっぱいですわ~!」
「もう、メルティーヌ様ったら」
「メルティーヌ、ここにいたのか。いつもすまないな。ツリアーヌ嬢」
「まぁ! ボレアース王国国王陛下」
「お父様!」
メルティーヌ様とヤリアント様とご一緒にスイーツ巡りをしておりました。そこへ、メルティーヌ様のお父上でいらっしゃるボレアース王国国王陛下がいらっしゃいました。
「ツリアーヌ嬢。……先ほど、メルティーヌがミカルド王子と盛り上がっていたが」
「お恥ずかしながら、わたくしの話で意気投合なさっていたみたいですわ」
「ミカルド王子なら歳まわりも問題ないし、婚約者もいない、か」
ミカルド王子はわたくしの四つ下の十五才でいらっしゃいます。メルティーヌ様は十二歳。三歳差でしたら問題ないでしょう。わたくしとヤリアント様も三歳差ですもの。
公衆の面前であれだけ意気投合した様子を見せていたら、婚約者候補と考えてもおかしくないですわね。
「……イノーマス帝国第二王子ルファエラ様のご到着です」
「イノーマス帝国!?」
大国であるイノーマス帝国の王子の登場に会場はざわつきます。
ミカルド様を見ても驚いた様子を見せていらっしゃいます。
「イノーマス帝国か……目的はそなたかもしれないな、ツリアーヌ嬢」
横にいらっしゃったボレアース王国国王陛下がそう呟きました。
「お誕生日おめでとうございます。ミカルド王子」
「ルファエラ・イノーマス第二王子殿下。こんな小国の王子の誕生日にわざわざお越しいただけるとは思ってもおりませんでした」
「父上もこちらの地域の国々に興味をお持ちでして。……あれがツリアーヌ・フェイジョア様ですか?」
「ツリアーヌ嬢に何か用事でも?」
「いや……」
ミカルド様に挨拶をするルファエラ第二王子殿下の視線がこちらに向いた気がします。気のせいでしょうか。
「こんにちは。ツリアーヌ・フェイジョア王妃」
「……お初にお目にかかります。ルファエラ・イノーマス帝国第二王子殿下」
気のせいではなかったようです。こちらに向かっていらしたルファエラ第二王子はわたくしに声をかけられました。
「ツリアーヌ様とお呼びしても? 私のことは、ルファエラとお呼びください」
「……どうぞご自由にお呼びください。ルファエラ王子。こちらがわたくしの夫、」
「あぁ、ボレアースの国王もいたのか」
「お久しぶりでございます。ルファエラ・イノーマス第二王子殿下」
ボレアース王国国王陛下も頭を下げられます。ボレアースはイノーマス帝国と接しています。お会いになられたこともあるのでしょう。
ヤリアント様を無視するとは……我が国に喧嘩を売っていらっしゃるのかしら?
「お初にお目にかかります。ヤリアント・フェイジョアと申します」
「ふーん。ツリアーヌ様の夫の。君もなかなか切れ者だと聞いているよ」
「恐れ入ります」
「じゃあね。ツリアーヌ様。君のことは気に入ったよ。また会えるといいね」
そうおっしゃったルファエラ王子は、挨拶回りに戻ってお行きになりました。
「……大丈夫か? ツリアーヌ嬢」
「えぇ……」
「狙いはツリアに間違いなさそうだね」
ルファエラ王子から向けられた視線は、とても嫌な感じがいたしましたわ。
「ツリアーヌ・フェイジョア嬢! 君に会えるなんて最高の誕生日だよ!」
「……おめでとうございます、ミカルド王子」
「……新ミリュー王国国王陛下もわざわざお越しくださりありがとうございます」
「……友好国の王太子の生誕パーティーですから」
わたくしの姿を見て、走ってきてくださったのはミカルド王子でした。そこへ、バタバタと足音が響きます!
「ツリアーヌ様~!」
「まぁ、メルティーヌ様!? はしたないですわよ? わたくしの教育は無駄でして?」
「ツリアーヌ様のお姿を見かけて、嬉しくって! ごめんなさい。気をつけますわ」
メルティーヌ様はミカルド王子にもヤリアント様にも目をくれません。
「メルティーヌ様。こちら、本日の主役でいらっしゃるシューデン王国王太子ミカルド様ですわ」
「お初にお目にかかります。ボレアース王国第四王女、メルティーヌ・ボレアースですわ。ツリアーヌ様の弟子ですの!」
「これはこれは。私がミカルド・シューデンだ。私の生誕パーティーにお越しいただき、ありがとうございます。つかぬことをお伺いしますが、ツリアーヌ・フェイジョア嬢の弟子とは?」
「まぁ! 聞いてくださるのですか? わたくし、」
ミカルド様とメルティーヌ様が何やら盛り上がっていらっしゃいますわ。しかしみなさま。ご覧になったかしら? メルティーヌ様の美しいご挨拶。わたくしの教育を受けたメルティーヌ様ご自身の才能と努力によるものですわ。ミカルド様も一瞬メルティーヌ様に見惚れていらっしゃったわ!
「ねぇ、ヤリアント様」
「どうした?」
「ご覧になったかしら? メルティーヌ様の美しいご挨拶! わたくし、感動してしまったわ! ミカルド様も見惚れていらしたわよね?」
「あ、あぁ。多分ミカルド王子もメルティーヌ様に見惚れていただろう」
「まぁ、どうしてそんなに曖昧なお答えなの?」
「ごめん。僕はツリアに見惚れていたから……」
「もう! ヤリアント様ったら!」
ヤリアント様のお言葉に思わず顔が熱くなります。メルティーヌ様とミカルド様は、ひたすらわたくしの素晴らしさについて盛り上がっていらっしゃいますわ。……恥ずかしいですわ。本日の主役でいらっしゃいますもの。みなさまのところへ返して差し上げないと。
「め、メルティーヌ様! そろそろミカルド様をみなさまのところへ。みなさまお待ちでいらっしゃいますわよ!」
「まぁ! ごめんなさい。ミカルド王子。わたくしったら」
「いや、いいんだ。君とは話が合うようだ。また、語ろうではないか、メルティーヌ嬢」
固く握手を交わしたお二人の姿は大変仲睦まじく見えますわ。
◇◇◇
「わたくし、お腹いっぱいですわ~!」
「もう、メルティーヌ様ったら」
「メルティーヌ、ここにいたのか。いつもすまないな。ツリアーヌ嬢」
「まぁ! ボレアース王国国王陛下」
「お父様!」
メルティーヌ様とヤリアント様とご一緒にスイーツ巡りをしておりました。そこへ、メルティーヌ様のお父上でいらっしゃるボレアース王国国王陛下がいらっしゃいました。
「ツリアーヌ嬢。……先ほど、メルティーヌがミカルド王子と盛り上がっていたが」
「お恥ずかしながら、わたくしの話で意気投合なさっていたみたいですわ」
「ミカルド王子なら歳まわりも問題ないし、婚約者もいない、か」
ミカルド王子はわたくしの四つ下の十五才でいらっしゃいます。メルティーヌ様は十二歳。三歳差でしたら問題ないでしょう。わたくしとヤリアント様も三歳差ですもの。
公衆の面前であれだけ意気投合した様子を見せていたら、婚約者候補と考えてもおかしくないですわね。
「……イノーマス帝国第二王子ルファエラ様のご到着です」
「イノーマス帝国!?」
大国であるイノーマス帝国の王子の登場に会場はざわつきます。
ミカルド様を見ても驚いた様子を見せていらっしゃいます。
「イノーマス帝国か……目的はそなたかもしれないな、ツリアーヌ嬢」
横にいらっしゃったボレアース王国国王陛下がそう呟きました。
「お誕生日おめでとうございます。ミカルド王子」
「ルファエラ・イノーマス第二王子殿下。こんな小国の王子の誕生日にわざわざお越しいただけるとは思ってもおりませんでした」
「父上もこちらの地域の国々に興味をお持ちでして。……あれがツリアーヌ・フェイジョア様ですか?」
「ツリアーヌ嬢に何か用事でも?」
「いや……」
ミカルド様に挨拶をするルファエラ第二王子殿下の視線がこちらに向いた気がします。気のせいでしょうか。
「こんにちは。ツリアーヌ・フェイジョア王妃」
「……お初にお目にかかります。ルファエラ・イノーマス帝国第二王子殿下」
気のせいではなかったようです。こちらに向かっていらしたルファエラ第二王子はわたくしに声をかけられました。
「ツリアーヌ様とお呼びしても? 私のことは、ルファエラとお呼びください」
「……どうぞご自由にお呼びください。ルファエラ王子。こちらがわたくしの夫、」
「あぁ、ボレアースの国王もいたのか」
「お久しぶりでございます。ルファエラ・イノーマス第二王子殿下」
ボレアース王国国王陛下も頭を下げられます。ボレアースはイノーマス帝国と接しています。お会いになられたこともあるのでしょう。
ヤリアント様を無視するとは……我が国に喧嘩を売っていらっしゃるのかしら?
「お初にお目にかかります。ヤリアント・フェイジョアと申します」
「ふーん。ツリアーヌ様の夫の。君もなかなか切れ者だと聞いているよ」
「恐れ入ります」
「じゃあね。ツリアーヌ様。君のことは気に入ったよ。また会えるといいね」
そうおっしゃったルファエラ王子は、挨拶回りに戻ってお行きになりました。
「……大丈夫か? ツリアーヌ嬢」
「えぇ……」
「狙いはツリアに間違いなさそうだね」
ルファエラ王子から向けられた視線は、とても嫌な感じがいたしましたわ。
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