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第14話 神魔大戦
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ホテルの窓から眺めるマンハッタンの夜景は、さながら光の洪水のようだった。
妙土は人類の繁栄と智の結晶の証であるかのような超高層ビルとまばゆいイルミネーションの光を今一度、眺めてホッと息をついた。
カイルはそんな妙土の様子を見て目を細めた。
「カイル、封印石とリーザ・・・さんの体を取り戻しに魔界に行くの?」
「・・・いずれは行かないと行けないんだろうな」
・・・行きたくなさそうだな・・・。
「僕としては、リーネ族と魔族のハーフだから、2つの一族がそれぞれ地上と地下に分かれて平穏に暮らすのが一番だと思うけど、魔族は長い間地上を恋い焦がれていて地上で暮らしたがっている。
けれど、魔族が地上で暮らすために太陽の光を地上から奪うのには納得できない。
だから、僕はリーネ族寄りかな」
「バルムンクの剣って強大な魔力があるんでしょ?バルムンクで、魔族を倒せなかったの?」
「鋭い質問だね!僕もそれは思っていた。
なぜ母はバルムンクの剣を使わず、魔王ラディリオンを封じ込めるのに止めたのか。
バルムンクは不老不死の魔族だとて死に至らしめる魔力絶大な聖剣。
これまでの神魔大戦、これはリーネ族と魔族の間で行われた大規模な戦争なんだけど、7回行われていて、バルムンクが使われた時はリーネ族の勝利に終わっているんだ」
神々の戦いや神魔大戦の勝利の要になるなんて、バルムンクって、やっぱりスゴいんだ。
でも、リーザはバルムンクを使わず、封印石に魔王ラディリオンを閉じ込めるだけにした。
「リーザさん、魔王ラディリオンにとどめをさせなかったんじゃ・・・」
「・・・そう、わざとバルムンクを使わなかったんだと思う。リーネ族の女王のくせに完全に私情をはさんだんだ。
ただ、封印石に魔王ラディリオンを閉じ込めて決着をつけなかったということは、問題解決を後世に後延ばしにしたに過ぎない。
結局、魔王復活で地上は魔族侵攻の危機にさらされて、妙土、あなたは魔族に襲われて日本にいられなくなったわけで」
リーザを責めるような内容の発言に本人が出てくるんじゃないかと妙土は冷や冷やしたが、本人の意識が妙土の中から出る気配は一向になかった。
「今日1日、いろいろあったから疲れたろう?
もう遅いから僕は自宅に戻るね。
明日、8時に迎えに来るから一緒に朝食をとろう」
そう言って妙土の頬に軽くキスしてハグすると、カイルは笑顔で消えた。
・・・ドアから帰ればいいのに。
その場から人が消えることに慣れそうになかった。
自宅があるということは、カイルはニューヨーク在住なんだ。
キスとかハグとかスキンシップがやたらとあることに妙土は違和感を感じたが、まあカイルは欧米系だから、と違和感を意識の奥にそっと追いやった。
妙土は人類の繁栄と智の結晶の証であるかのような超高層ビルとまばゆいイルミネーションの光を今一度、眺めてホッと息をついた。
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けれど、魔族が地上で暮らすために太陽の光を地上から奪うのには納得できない。
だから、僕はリーネ族寄りかな」
「バルムンクの剣って強大な魔力があるんでしょ?バルムンクで、魔族を倒せなかったの?」
「鋭い質問だね!僕もそれは思っていた。
なぜ母はバルムンクの剣を使わず、魔王ラディリオンを封じ込めるのに止めたのか。
バルムンクは不老不死の魔族だとて死に至らしめる魔力絶大な聖剣。
これまでの神魔大戦、これはリーネ族と魔族の間で行われた大規模な戦争なんだけど、7回行われていて、バルムンクが使われた時はリーネ族の勝利に終わっているんだ」
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でも、リーザはバルムンクを使わず、封印石に魔王ラディリオンを閉じ込めるだけにした。
「リーザさん、魔王ラディリオンにとどめをさせなかったんじゃ・・・」
「・・・そう、わざとバルムンクを使わなかったんだと思う。リーネ族の女王のくせに完全に私情をはさんだんだ。
ただ、封印石に魔王ラディリオンを閉じ込めて決着をつけなかったということは、問題解決を後世に後延ばしにしたに過ぎない。
結局、魔王復活で地上は魔族侵攻の危機にさらされて、妙土、あなたは魔族に襲われて日本にいられなくなったわけで」
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「今日1日、いろいろあったから疲れたろう?
もう遅いから僕は自宅に戻るね。
明日、8時に迎えに来るから一緒に朝食をとろう」
そう言って妙土の頬に軽くキスしてハグすると、カイルは笑顔で消えた。
・・・ドアから帰ればいいのに。
その場から人が消えることに慣れそうになかった。
自宅があるということは、カイルはニューヨーク在住なんだ。
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