34 / 50
32. それは涙か、雨か・・・
しおりを挟む
※本話は、本文最後に本話に沿った二人のイラストを挿し込んでいます。
世界観を壊されたくない方、区切り線が見えた時点で全力回避をお願い致します!
尚、本文中に絵を挿し込むのは感謝閑話除き、今後はあと1話だけだと思います。
********************************
「貴女、ノア様のなんなんですの?!そんな体型を隠すような服装で。本当にみっともないですわね。ノア様には全然釣りあってないのですわ!早く消えて下さいませ?」
目の前には黒髪をクルクルと巻き、零れんばかりの胸を強調したデザインのドレスを着たご令嬢。
そして口元の真っ赤なルージュがいやに艶めかしい。
フィリスは彼女を見て、小さく深呼吸をしてから口を開いた。
「ええと······お知り合いでしょうか?」
「はぁ?!身分も見極められないなんて、これだから庶民は!私、この国の伯爵令嬢なのよ?それに、ノア様は隣国の公爵であられる方で、私とは恋仲なの!此処は貴女みたいな庶民が来る店ではないのよ、分かる!?何故ノア様といるのか知らないけど、邪魔よ。分かったら消えなさい?」
「伯爵令嬢······。なるほど。恋仲?という事はお付き合いされているということなのですか?」
なるほど······。
やはり浮気癖があるという事なのだろうか······。
フィリスは熱せられていた頭が急激に冷めていくのを感じた。
僅かでもノアを気になってしまった先程の自分を責めたい。
「そうに決まってるでしょ?ドンくさいわね!私、ノア様とは夜を共にした仲で「オイ、お前、フィリスに何をしている?」
その時、席に戻ってきたらしいノアから低く威圧的な声が響き渡る。
そしてフィリスは席を立った。
「公爵様。彼女はこの国の伯爵令嬢で貴方と恋仲であり、一夜を共にしたと仰っております。私は邪魔で、消えてくれと言われましたので。私、こちらにて失礼させて頂きますわね?」
「······は?ちょ······フィリスっ!ちょっと、······待ってくれっ!!」
フィリスが美しいカーテシーを取って、席を離れて行ったのをノアは彼女を追いかけた。
「ちょっと!ノア様ッ!!私に純潔の!白の”エクラン・ドゥー”を送って下さったじゃないですか!結婚を考えているのではなかったの?!どうしてそんな庶民の女の所へ行くのですッ!!」
また、何か意味のある物を贈ったのね······。
純潔の白い宝石箱?そんなの……特別な意味合いを持つものなのではなくて?
結婚を考えている……恋人?
追いかけてくるノアを無視して歩を進めるフィリスには、遠くなっていく伯爵令嬢アメリアの叫び声だけがところどころ聞こえていた。
◆
外は雨が降っていた。それが、自分の心を表しているようでフィリスの気分は更に落ち込む。
今日一日で変に意識してしまう事があったからだわ。
本当に最悪ね······契約結婚なのだから別に旦那様がメイドちゃんの他にあんな伯爵令嬢まで唆していようと私には関係のない話なのに。
なのに······何故、こんなに苦しいの······。
「フィリスッ!」
雨除けのない今、雨の中を歩くのは少し肌寒い。
大きな雨粒に打たれ、傷ついた心に染み入って、肌の体温を下げていく様で。
両腕を組んで少しお腹を庇うように歩を進めるフィリスに、ノアは走り寄った。
「フィリスっ、待てっ!待ってくれ」
腕を掴んで引き寄せれば、振り返った彼女の表情に息を呑む。
「ッ!フィリス······どうして泣いて······さっきの女か?!クソっ」
「雨で濡れただけでしょう······離して下さい」
フィリスは、ノアに言われて初めて、自分が泣いていた事に気付いた。
それを肯定したくなくて、フィリスは直ぐにワンピースの袖で目元を拭う。
「そんな筈あるか······!こんなにびしょ濡れでっ!風邪をひいてしまう······すぐどこかの店に入ろう」
「いやっ!本当に、大丈夫ですから離してっ!貴方は早くあのご令嬢の元に行けばいいではないですか!」
「何を言っているんだ!そんな顔の貴女を離してやれるわけがないだろうッ!」
ノアは小さな溜息をつくと「すまない、嫌かも知れないが、少しガマンしてくれ」と呟いてフィリスを横抱きに抱き上げた。
「ひぇっ!な、な、なにをっ······」
「危ないから動かないでくれ?」
ノアは自分の着ていた上着をフィリスの身体にかける。足早に雨の中を歩くと、王都街での滞在場所であった宿に入った。
自分の部屋に着くと、彼女を寝台に座らせる。そして自分は床に膝をつき、フィリスを下から見上げ、宥める様にゆっくり優しく声をかけた。
「······フィリス、すぐに風呂に入って、身体を温めないと······風邪を引いてしまう」
「······さい」
「え?」
「ほっといてください」
フィリスは俯いたままで、その顔には悲痛な感情が溢れ出ていて。
今までのノアならここで諦めてフィリスを放置していただろう。
でも、今のノアはフィリスを諦めるわけには行かなかった。
「フィリス······あの女になんと言われた?」
「旦那様、あなた、いい加減にしたらどうですか?国にメイドちゃんがおりながら、隣国にも相手を作るなんてどうかしてます!浮気癖があるにしても、酷すぎますよ。仕事なんて言って、各国に愛人を作るなんて······」
フィリスが声を荒げ、ノアはその内容と事実との相違に慌てる。
「っちょ、ちょっと待て······いや、違う······んだ、全て誤解だ!」
「本当に可哀相です。人の心をなんだと思っているのですか?それに······産まれてくる子供も、そんなに沢山女性がいては、誰が母親か分からなくなってしまいます······」
その言葉に、ノアは声を振り絞る。自分の事はなんと言われても良い。でも、子供の事は······自分達二人の子なのだからと腹に力を入れて。
「フィリス!子供は関係ない。子供の母親は、フィリス、貴女だけだ。他の誰でもない。そうだろう?」
「······」
フィリスが黙って、ノアは誤解が少しでも解けるように言葉を続ける。
「それに、本当にライラとは何もないし、幼馴染だと言ったろう。あと、先ほどの女は俺が昨日薬を盛られて······」
「は、い?······薬?またとんでもない嘘をつくのですね?」
しかし、フィリスはあまりに非現実的な話にノアを信じられなかった。
「う、嘘ではないんだ!恥ずかしい話なのだが······」
ノアは、ウィルと会った日の事から昨日起こった出来事までを包み隠さず、事細かにフィリスに話す。その間も変わらず訝し気な表情でノアをじっと見つめていたフィリスは、溜息まじりに口を開いた。
「貴方の言い分は分かりました。でも、”そうなんですね”なんて言えるわけがないでしょう?彼女が本当に貴方の言った事をしていたら重罪ですよ?」
「まあ······だがそうなんだ。他国の公爵に薬を盛ったんだからきっと制裁を受ける筈だと思うが」
「ですが、それより、浮気性の貴方が嘘を付いていると考える方が妥当では?」
苦笑いを零したフィリスを見て、ノアは彼女の腕を掴む。
「フィリス!俺は浮気性でもないし、嘘もついていないんだ!」
「では、彼女が言っていた一夜を共にしたというのはなんなのです······?」
「あれは妄想で、嘘だ。俺は知り合ったばかりの女と一夜を共にしたりなどしない!」
「······知り合って長ければ、共にするのですね」
フィリスのその小さな呟きにノアは顔を上げた。
「いや!そういう事ではなく。知り合ったばかりの女にそんな事をするはずがないと······だから······」
「まあ、殿方は皆様そういうでしょうね······」
フィリスはジト目でそう言ってから「っ、くしゅんっ!」と、盛大なくしゃみをした。
それを聞くや否や、ノアが直ぐに立ち上がり、浴室に向かう。そして、走って戻ってくるとフィリスを再び抱き上げた。
「っちょっと、歩けますからっ!下ろして!触らないで、やめて!」
「風邪をひいてしまう!妊娠している貴女に風邪をひかせるわけにはいかないんだ!俺を信じられないのは······良くないが······今は一旦置いておいて、お願いだから温まってくれ······」
浴室でフィリスをおろし、入浴の介助をしようと、服に手をかけたノアをフィリスは必死で止める。
「ひっ、一人で温まれますから!服も一人で脱げますからっ!大丈夫!ちゃんと、温まりますからっ」
「······本当か?約束してくれるか?」
「本当······ですから!約束します!!」
「······分かった」と渋々頷いて、浴室を出たノアと、
「もぅ······」と溜息をつきながら、浴槽に浸かったフィリス
「また、俺の所為で······フィリスを傷つけて······」
「なんで、こんなに······胸が苦しいのかしら······」
二人は同時にそれぞれの想いを呟いて、お互いに別々の場所で物思いに耽っていた。
********************************
※話に合う挿絵として参考程度にお願いします。
近況に貼れれば見たい人だけ見れて一番楽なのですが…。苦笑
男性の泣き顔って難しいのですね…白黒になってしまいました(色んな意味で顔面蒼白!笑)
ご容赦下さい!
世界観を壊されたくない方、区切り線が見えた時点で全力回避をお願い致します!
尚、本文中に絵を挿し込むのは感謝閑話除き、今後はあと1話だけだと思います。
********************************
「貴女、ノア様のなんなんですの?!そんな体型を隠すような服装で。本当にみっともないですわね。ノア様には全然釣りあってないのですわ!早く消えて下さいませ?」
目の前には黒髪をクルクルと巻き、零れんばかりの胸を強調したデザインのドレスを着たご令嬢。
そして口元の真っ赤なルージュがいやに艶めかしい。
フィリスは彼女を見て、小さく深呼吸をしてから口を開いた。
「ええと······お知り合いでしょうか?」
「はぁ?!身分も見極められないなんて、これだから庶民は!私、この国の伯爵令嬢なのよ?それに、ノア様は隣国の公爵であられる方で、私とは恋仲なの!此処は貴女みたいな庶民が来る店ではないのよ、分かる!?何故ノア様といるのか知らないけど、邪魔よ。分かったら消えなさい?」
「伯爵令嬢······。なるほど。恋仲?という事はお付き合いされているということなのですか?」
なるほど······。
やはり浮気癖があるという事なのだろうか······。
フィリスは熱せられていた頭が急激に冷めていくのを感じた。
僅かでもノアを気になってしまった先程の自分を責めたい。
「そうに決まってるでしょ?ドンくさいわね!私、ノア様とは夜を共にした仲で「オイ、お前、フィリスに何をしている?」
その時、席に戻ってきたらしいノアから低く威圧的な声が響き渡る。
そしてフィリスは席を立った。
「公爵様。彼女はこの国の伯爵令嬢で貴方と恋仲であり、一夜を共にしたと仰っております。私は邪魔で、消えてくれと言われましたので。私、こちらにて失礼させて頂きますわね?」
「······は?ちょ······フィリスっ!ちょっと、······待ってくれっ!!」
フィリスが美しいカーテシーを取って、席を離れて行ったのをノアは彼女を追いかけた。
「ちょっと!ノア様ッ!!私に純潔の!白の”エクラン・ドゥー”を送って下さったじゃないですか!結婚を考えているのではなかったの?!どうしてそんな庶民の女の所へ行くのですッ!!」
また、何か意味のある物を贈ったのね······。
純潔の白い宝石箱?そんなの……特別な意味合いを持つものなのではなくて?
結婚を考えている……恋人?
追いかけてくるノアを無視して歩を進めるフィリスには、遠くなっていく伯爵令嬢アメリアの叫び声だけがところどころ聞こえていた。
◆
外は雨が降っていた。それが、自分の心を表しているようでフィリスの気分は更に落ち込む。
今日一日で変に意識してしまう事があったからだわ。
本当に最悪ね······契約結婚なのだから別に旦那様がメイドちゃんの他にあんな伯爵令嬢まで唆していようと私には関係のない話なのに。
なのに······何故、こんなに苦しいの······。
「フィリスッ!」
雨除けのない今、雨の中を歩くのは少し肌寒い。
大きな雨粒に打たれ、傷ついた心に染み入って、肌の体温を下げていく様で。
両腕を組んで少しお腹を庇うように歩を進めるフィリスに、ノアは走り寄った。
「フィリスっ、待てっ!待ってくれ」
腕を掴んで引き寄せれば、振り返った彼女の表情に息を呑む。
「ッ!フィリス······どうして泣いて······さっきの女か?!クソっ」
「雨で濡れただけでしょう······離して下さい」
フィリスは、ノアに言われて初めて、自分が泣いていた事に気付いた。
それを肯定したくなくて、フィリスは直ぐにワンピースの袖で目元を拭う。
「そんな筈あるか······!こんなにびしょ濡れでっ!風邪をひいてしまう······すぐどこかの店に入ろう」
「いやっ!本当に、大丈夫ですから離してっ!貴方は早くあのご令嬢の元に行けばいいではないですか!」
「何を言っているんだ!そんな顔の貴女を離してやれるわけがないだろうッ!」
ノアは小さな溜息をつくと「すまない、嫌かも知れないが、少しガマンしてくれ」と呟いてフィリスを横抱きに抱き上げた。
「ひぇっ!な、な、なにをっ······」
「危ないから動かないでくれ?」
ノアは自分の着ていた上着をフィリスの身体にかける。足早に雨の中を歩くと、王都街での滞在場所であった宿に入った。
自分の部屋に着くと、彼女を寝台に座らせる。そして自分は床に膝をつき、フィリスを下から見上げ、宥める様にゆっくり優しく声をかけた。
「······フィリス、すぐに風呂に入って、身体を温めないと······風邪を引いてしまう」
「······さい」
「え?」
「ほっといてください」
フィリスは俯いたままで、その顔には悲痛な感情が溢れ出ていて。
今までのノアならここで諦めてフィリスを放置していただろう。
でも、今のノアはフィリスを諦めるわけには行かなかった。
「フィリス······あの女になんと言われた?」
「旦那様、あなた、いい加減にしたらどうですか?国にメイドちゃんがおりながら、隣国にも相手を作るなんてどうかしてます!浮気癖があるにしても、酷すぎますよ。仕事なんて言って、各国に愛人を作るなんて······」
フィリスが声を荒げ、ノアはその内容と事実との相違に慌てる。
「っちょ、ちょっと待て······いや、違う······んだ、全て誤解だ!」
「本当に可哀相です。人の心をなんだと思っているのですか?それに······産まれてくる子供も、そんなに沢山女性がいては、誰が母親か分からなくなってしまいます······」
その言葉に、ノアは声を振り絞る。自分の事はなんと言われても良い。でも、子供の事は······自分達二人の子なのだからと腹に力を入れて。
「フィリス!子供は関係ない。子供の母親は、フィリス、貴女だけだ。他の誰でもない。そうだろう?」
「······」
フィリスが黙って、ノアは誤解が少しでも解けるように言葉を続ける。
「それに、本当にライラとは何もないし、幼馴染だと言ったろう。あと、先ほどの女は俺が昨日薬を盛られて······」
「は、い?······薬?またとんでもない嘘をつくのですね?」
しかし、フィリスはあまりに非現実的な話にノアを信じられなかった。
「う、嘘ではないんだ!恥ずかしい話なのだが······」
ノアは、ウィルと会った日の事から昨日起こった出来事までを包み隠さず、事細かにフィリスに話す。その間も変わらず訝し気な表情でノアをじっと見つめていたフィリスは、溜息まじりに口を開いた。
「貴方の言い分は分かりました。でも、”そうなんですね”なんて言えるわけがないでしょう?彼女が本当に貴方の言った事をしていたら重罪ですよ?」
「まあ······だがそうなんだ。他国の公爵に薬を盛ったんだからきっと制裁を受ける筈だと思うが」
「ですが、それより、浮気性の貴方が嘘を付いていると考える方が妥当では?」
苦笑いを零したフィリスを見て、ノアは彼女の腕を掴む。
「フィリス!俺は浮気性でもないし、嘘もついていないんだ!」
「では、彼女が言っていた一夜を共にしたというのはなんなのです······?」
「あれは妄想で、嘘だ。俺は知り合ったばかりの女と一夜を共にしたりなどしない!」
「······知り合って長ければ、共にするのですね」
フィリスのその小さな呟きにノアは顔を上げた。
「いや!そういう事ではなく。知り合ったばかりの女にそんな事をするはずがないと······だから······」
「まあ、殿方は皆様そういうでしょうね······」
フィリスはジト目でそう言ってから「っ、くしゅんっ!」と、盛大なくしゃみをした。
それを聞くや否や、ノアが直ぐに立ち上がり、浴室に向かう。そして、走って戻ってくるとフィリスを再び抱き上げた。
「っちょっと、歩けますからっ!下ろして!触らないで、やめて!」
「風邪をひいてしまう!妊娠している貴女に風邪をひかせるわけにはいかないんだ!俺を信じられないのは······良くないが······今は一旦置いておいて、お願いだから温まってくれ······」
浴室でフィリスをおろし、入浴の介助をしようと、服に手をかけたノアをフィリスは必死で止める。
「ひっ、一人で温まれますから!服も一人で脱げますからっ!大丈夫!ちゃんと、温まりますからっ」
「······本当か?約束してくれるか?」
「本当······ですから!約束します!!」
「······分かった」と渋々頷いて、浴室を出たノアと、
「もぅ······」と溜息をつきながら、浴槽に浸かったフィリス
「また、俺の所為で······フィリスを傷つけて······」
「なんで、こんなに······胸が苦しいのかしら······」
二人は同時にそれぞれの想いを呟いて、お互いに別々の場所で物思いに耽っていた。
********************************
※話に合う挿絵として参考程度にお願いします。
近況に貼れれば見たい人だけ見れて一番楽なのですが…。苦笑
男性の泣き顔って難しいのですね…白黒になってしまいました(色んな意味で顔面蒼白!笑)
ご容赦下さい!
77
お気に入りに追加
3,630
あなたにおすすめの小説
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
あなたの子ではありません。
沙耶
恋愛
公爵令嬢アナスタシアは王太子セドリックと結婚したが、彼に愛人がいることを初夜に知ってしまう。
セドリックを愛していたアナスタシアは衝撃を受けるが、セドリックはアナスタシアにさらに追い打ちをかけた。
「子は要らない」
そう話したセドリックは避妊薬を飲みアナスタシアとの初夜を終えた。
それ以降、彼は愛人と過ごしておりアナスタシアのところには一切来ない。
そのまま二年の時が過ぎ、セドリックと愛人の間に子供が出来たと伝えられたアナスタシアは、子も産めない私はいつまで王太子妃としているのだろうと考え始めた。
離縁を決意したアナスタシアはセドリックに伝えるが、何故か怒ったセドリックにアナスタシアは無理矢理抱かれてしまう。
しかし翌日、離縁は成立された。
アナスタシアは離縁後母方の領地で静かに過ごしていたが、しばらくして妊娠が発覚する。
セドリックと過ごした、あの夜の子だった。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
家出した伯爵令嬢【完結済】
弓立歩
恋愛
薬学に長けた家に生まれた伯爵令嬢のカノン。病弱だった第2王子との7年の婚約の結果は何と婚約破棄だった!これまでの尽力に対して、実家も含めあまりにもつらい仕打ちにとうとうカノンは家を出る決意をする。
番外編において暴力的なシーン等もありますので一応R15が付いています
6/21完結。今後の更新は予定しておりません。また、本編は60000字と少しで柔らかい表現で出来ております
王子殿下の慕う人
夕香里
恋愛
エレーナ・ルイスは小さい頃から兄のように慕っていた王子殿下が好きだった。
しかし、ある噂と事実を聞いたことで恋心を捨てることにしたエレーナは、断ってきていた他の人との縁談を受けることにするのだが──?
「どうして!? 殿下には好きな人がいるはずなのに!!」
好きな人がいるはずの殿下が距離を縮めてくることに戸惑う彼女と、我慢をやめた王子のお話。
※小説家になろうでも投稿してます
【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす
まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。
彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。
しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。
彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。
他掌編七作品収録。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。
【収録作品】
①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」
②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」
③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」
④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」
⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」
⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」
⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
ごめんなさい、お淑やかじゃないんです。
ましろ
恋愛
「私には他に愛する女性がいる。だから君は形だけの妻だ。抱く気など無い」
初夜の場に現れた途端、旦那様から信じられない言葉が冷たく吐き捨てられた。
「なるほど。これは結婚詐欺だと言うことですね!」
「……は?」
自分の愛人の為の政略結婚のつもりが、結婚した妻はまったく言う事を聞かない女性だった!
「え、政略?それなら最初に条件を提示してしかるべきでしょう?後出しでその様なことを言い出すのは詐欺の手口ですよ」
「ちなみに実家への愛は欠片もないので、経済的に追い込んでも私は何も困りません」
口を開けば生意気な事ばかり。
この結婚、どうなる?
✱基本ご都合主義。ゆるふわ設定。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる