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48. 初めて知る快感※

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 ある朝、ヒューベルの元にはあまり来ない来客があった。

「ヒューベル殿下、ご報告したい事があるのですが······」
「入って、ロイ」

 ロイ、と呼ばれた青年は綺麗な所作で執務室に入るとヒューベルの前に傅く。

「シェリルの事だね、どうした?」
「はい。先日から、姫様の様子が変化致しまして。ご自分で気付かぬうちに自慰をされているようです」

 その言葉にヒューベルは顔をあげる。
 そして隣にいたリルも同時に顔をあげたのを察知し、睨みつけた後、にっこりと笑みを漏らした。

「そうか······、シェリルが自慰を······ねえ」
「先日何かおありでしたか?最近は、殿下の事を考えておられる事が多い様です」

 その疑問に、リルは溜め息混じりに口を開く。

「はぁ?そんなの、部屋に閉じ込められて、一人の男の事しか考えるなって言っている様なもんなんだからさあ、当たり前だろ?」

「リル、本当にキミは不敬だよね?ロイに頼んで縛って貰う?彼はプロだよ?」

 冷やかな目でリル見ながら口角をあげたヒューベルは、直ぐにロイに向き直った。

「先日からシェリルが僕にオネダリをしてくれるようになったんだ「シェリルもこんなドS男の何処がいーんだか······、ッひぃ!にゃいにゃい、ごめんにゃさいって!ボクの尻尾触らないでぇぇえ!!」

 リルの尻尾をそっと撫でたヒューベルは言葉を続ける。

「だから、ちょっとは僕の事を気にかけてくれるようにはなったみたいだ」
「なるほど。納得致しました。ですが、自慰と言っても、姫様はまだ何をどうするかは分かっていない御様子。そろそろ、変化が必要かと······」
「なるほど······では、もう少し攻めていこうかな」



 その夜、シェリルはいつも通りヒューベルと浴室にいた。
 最近の彼は今まで少ししか触れてこなかった部分にも執拗に触れる様になった。

「シェリル、こんな風に身体に直接触れて良いのは僕だけだよ?分かるよね?」

 背後にぴったりと身体を寄せたヒューベルは、耳元で言葉を囁きながら双丘を揉みほぐす。そして、その頂きにあるピンと立った果実を指でくるくると撫で、軽く指で弾いた。

「っふあ、ぁん······」

 今まで以上の刺激に、シェリルの身体がびくびくと跳ね、ヒューベルは彼女を後ろから抱きしめながら秘部に手を伸ばした。

「ヒューさま······そこはっ······だめぇ」

 ”だめぇ”なんていう柔らかく甘い誘惑のような声が届く筈もなく、ヒューベルがそっと割れ目に触れれば、ねっとりとした液が指に纏わりつく。

 直後ヒューベルの低い声が耳元で聞こえシェリルの肌が粟立った。

「シェリル、感じてくれているんだね?」
「っはぁ、感じて······?」
「ほら、もうこんなに濡れている······」

 愛液を掬いとって見せれば、シェリルは羞恥に顔を赤らめた。

「申し訳ありません······最近、よくそうなってしまうのです······もう大人なのに······本当に恥ずかしい······」

「ん、これは、大人で、汚いものではないよ?要するに君の身体が男性を受け入れる準備が出来てきているという事かな。僕にとってはとても嬉しいことだ」
「男性を受け入れる······準備?」

「身体は素直だからね。シェリルも、もう分かっているんじゃないのかい?何かが足りないんでしょ?」

 その言葉に、シェリルは言葉を探した。
 確かに、今も何かが足りない。いや、この間からずっと何かが足りない。
 さっき彼が自分の胸に触れられていた時だって、それ以上の何かがもっと欲しい、そんな気分になるのだ。

 だから、シェリルは小さく頷いた。

「そう、なのかもしれません······でも私にはよく分からず、無知で本当に申し訳ございません」
「ここはどうかな?」

 彼の指がぬるりと滑りながら秘部の突起に触れ、シェリルからは堪らず声が漏れた。

「ッああっん!」

 その声に、シェリルは口を抑えるとすぐにヒューベルに頭を下げる。

「ご、ごめんなさいっ······」
「いや······。君ではなくて、僕が謝らなくてはいけないな。ごめん、歯止めがかからなくなりそうだ。今日は終わりにしようか」



 ヒューベルが退出して、シェリルは寝台に横になりながら先程教えられた事を思い出した。

「快感だけを得ることのできる、部分······」

 シェリルはローブ越しに先程ヒューベルに触れられた部分に手を伸ばす。

 駄目って分かっているけど······、でもこの熱をどうにかしたい。
 もっと、もっと気持ちよくなりたい。我慢できない。

「っ······はぁ······」

 ローブ越しにソコに触れればピリピリとした快感が襲い、シェリルの腰が浮く。

「気持ち良い······こんなに······っ」

 そっとローブを開き割れ目に手を伸ばせば、すでに蜜が溢れていて、シェリルはヒューベルがした様にそれを掬った。
 そして直接、その部位に塗るようにそっと指で直接触れる。

「ッ······、はぁ、だめぇ······」

 脳天を貫くような快感が全身を駆け巡り、シェリルはそれを無我夢中で擦った。

 これが欲しかった快感モノ······だというの?
 おかしくなりそう······。触れる指が止まらない······っ、なんで······?!

 この日、初めて自慰という行為を知ったシェリルは、それから何度もヒューベルが部屋から出て行った後、一人で熱を逃がすようになった。

 それは、ヴァレンティ―ナが彼女の設定で作った通りの”淫乱”という設定から来た敏感な身体による影響の一つ。
 快楽を通常の人間以上に強く感じる彼女はその快感に抗える筈がなかったのだ。

 そして、それをヒューベル、その人に見られたのは、もうそれが日常化して辞める事なんて出来なくなった、ある日の夜の事だった。
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