上 下
12 / 14
第1部

1-9. ある一日

しおりを挟む
「お兄さま?大丈夫ですか?」

「えっ?!な、何が?」

「今日ずっとぼーっとしていたので何かあったのかと」

 うわぁ、やばい。俺そんなに顔に出てたかな?とりあえず誤魔化さねば。

「ううん。何にもないよ、最近ちょっと暇で」

 そう言いながら頭をかく。

「嘘をついてますよね」

「ギクッ」

「お兄さまってわかりやすいですよね。今日はなんかずっとうわのそらですし、………その、少し、何故か妙に色っぽいです」

「へっ?!」

 衝撃だった。
 いやこんな言葉を妹から言われたら動揺するだろ。えっ?色っぽいって何?

「確かに顔が赤いね。セレンも恋をしたのかい?」

「うわっ、お父様」

「お父さま、急に何を言い出しますの?!」

「いや、まぁ、だってセレンの顔がいつもより乙女感マシてるから」

「まぁ分からないこともありません……」

 妹よ、なぜ共感する。
 というか乙女感とは?あのいつもよりとおっしゃいますが心当たりがないです。

「で、何かあったのかね?」

「な、何も、ないです……」

「何もない?おかしいな、顔が妙に赤いぞ~キスでもしたかい?」

 問われた時、急にライアンとのキスを思い出し赤くなるセレンにシリウスは確信を持った。 

「えぇっ?!お兄さま、ほんとにしたのですか?お相手は???」

 セレステはこの家族相手に隠し事は無理だと分かった。

「うぅぅ、えっと………殿下ラーイン

「ん?」
「えっ?」

 思いもしなかった相手の名前が出て2人は混乱した。
 当たり前だ。なぜならライアンは王太子でありそもそも男だ。しかもセレステの友人だと思っていたのに、だ。

「殿下、、と、?」

 アリアは真っ青な顔になりながらセレステの言葉を繰り返した。
 シリウスはそんなアリアのことを察したのか自分の子供二人の頭に手を置き掻き回した。

「うーん、そうかそうか。殿下か……」

 シリウスの反応を見てセレステは心のどこかで焦った。

「っおと、」

「まぁこれから先色々あると思うけどそれを乗り越えてこそビオレータ家だ。 2とも頑張れよ」

 そんな父の名言に子供達は心の中で意味を深く追求するのだった。


◆ ◆ ◆ ◆

更新がゆっくりになります。
そのため、書き方が変わるかもしれません(変わらないように心がけますが)
また、趣味でやっているので設定が変わる場合があります。追加設定、変更などは『設定(追加多々あり)』から確認してください。(たまに追加しているのでその時は暖かい目で読んでくださると感謝です)
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

離縁することに決めました

杉本凪咲
恋愛
妹は悪びれる様子もなく、私の婚約者をねだった。 彼女を溺愛する両親はそれに賛成して、私の婚約者は妹の婚約者になった。 しかしそれをきっかけに私に良縁が舞い込んできて……

single tear drop

ななもりあや
BL
兄だと信じていたひとに裏切られた未知。 それから3年後。 たった一人で息子の一太を育てている未知は、ある日、ヤクザの卯月遥琉と出会う。 素敵な表紙絵は絵師の佐藤さとさ様に描いていただきました。 一度はチャレンジしたかったBL大賞に思いきって挑戦してみようと思います。 よろしくお願いします

[本編完結]彼氏がハーレムで困ってます

はな
BL
佐藤雪には恋人がいる。だが、その恋人はどうやら周りに女の子がたくさんいるハーレム状態らしい…どうにか、自分だけを見てくれるように頑張る雪。 果たして恋人とはどうなるのか? 主人公 佐藤雪…高校2年生  攻め1 西山慎二…高校2年生 攻め2 七瀬亮…高校2年生 攻め3 西山健斗…中学2年生 初めて書いた作品です!誤字脱字も沢山あるので教えてくれると助かります!

幼馴染と婚約しましたが、彼は別の女性が好みのようです。

ララ
恋愛
幼馴染と婚約したのも束の間、彼へ近づく女性の影が。挙句の果てに幼馴染は彼女のことを好きになったようで、私に婚約破棄を告げる。

指輪一つで買われた結婚。~問答無用で溺愛されてるが、身に覚えが無さすぎて怖い~

ぽんぽこ狸
恋愛
 婚約破棄をされて実家であるオリファント子爵邸に出戻った令嬢、シャロン。シャロンはオリファント子爵家のお荷物だと言われ屋敷で使用人として働かされていた。  朝から晩まで家事に追われる日々、薪一つ碌に買えない労働環境の中、耐え忍ぶように日々を過ごしていた。  しかしある時、転機が訪れる。屋敷を訪問した謎の男がシャロンを娶りたいと言い出して指輪一つでシャロンは売り払われるようにしてオリファント子爵邸を出た。  向かった先は婚約破棄をされて去ることになった王都で……彼はクロフォード公爵だと名乗ったのだった。  終盤に差し掛かってきたのでラストスパート頑張ります。ぜひ最後まで付き合ってくださるとうれしいです。

とびきりのクズに一目惚れし人生が変わった俺のこと

未瑠
BL
端正な容姿と圧倒的なオーラをもつタクトに一目惚れしたミコト。ただタクトは金にも女にも男にもだらしがないクズだった。それでも惹かれてしまうタクトに唐突に「付き合おう」と言われたミコト。付き合い出してもタクトはクズのまま。そして付き合って初めての誕生日にミコトは冷たい言葉で振られてしまう。 それなのにどうして連絡してくるの……?

やり直せるなら、貴方達とは関わらない。

いろまにもめと
BL
俺はレオベルト・エンフィア。 エンフィア侯爵家の長男であり、前世持ちだ。 俺は幼馴染のアラン・メロヴィングに惚れ込み、恋人でもないのにアランは俺の嫁だと言ってまわるというはずかしい事をし、最終的にアランと恋に落ちた王太子によって、アランに付きまとっていた俺は処刑された。 処刑の直前、俺は前世を思い出した。日本という国の一般サラリーマンだった頃を。そして、ここは前世有名だったBLゲームの世界と一致する事を。 こんな時に思い出しても遅せぇわ!と思い、どうかもう一度やり直せたら、貴族なんだから可愛い嫁さんと裕福にのんびり暮らしたい…! そう思った俺の願いは届いたのだ。 5歳の時の俺に戻ってきた…! 今度は絶対関わらない!

彼の理想に

いちみやりょう
BL
あの人が見つめる先はいつも、優しそうに、幸せそうに笑う人だった。 人は違ってもそれだけは変わらなかった。 だから俺は、幸せそうに笑う努力をした。 優しくする努力をした。 本当はそんな人間なんかじゃないのに。 俺はあの人の恋人になりたい。 だけど、そんなことノンケのあの人に頼めないから。 心は冗談の中に隠して、少しでもあの人に近づけるようにって笑った。ずっとずっと。そうしてきた。

処理中です...