チート狩り

京谷 榊

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第十三章 ヤコク・西

百六十九話 大禍時向日葵

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 大禍時家本邸に到着すると煤鈴家の時と同じように女中が現れて客間に案内された。
「ようっ!向日葵久しぶりだな」
「お久しぶりです。煤鈴様相変わらずお元気そうで」
「もちろんだ、首相である余が元気でなければ国民に示しがつかんだろ!」
「コイツ首相かよ‼︎」
 その言葉を胸の内に抑え込み、ジョセフはくちびるを噛んだ。
 そう言えばコイツここにくるまでいろんな町民に「元気か?」とか話しかけてたが、そういう意味だったのか。
「今度から星に訪れる時は、その星の情勢を調べてから行くようにしよう」
「そうだな」
 ルガとジョセフは小声で話し合う。
「ところでそちらのお二人は?」
「この二人は余の友人だ、しばらくこの星に滞在するそうだ」
「ルガだ」「ジョセフだ」
「初めまして、大禍時家長女の大禍時向日葵ひまわりと申します」
「よし、自己紹介も終わったところで、本題に入ろうか」
 それから京平と向日葵での話し合いが始まった。
「近況報告と行こうか、こちらはつい先ほどあのカラクリが現れた。対応は衛兵三人で行われ、途中から余とルガとジョセフの三人が加わり、暫くしたのちいつものように去っていった」
「こちらはカラクリの出現はなし、そのほかにも特に変わったことはありません」
 本題の話し合いは早く終わり三人は帰省の準備を始めようとしていた。
「そういえば、」
「この間、お兄さんの純也にはかなり世話になった、そのお礼が言いたくて俺たちはここにきたんだ」
「お兄様に合ったのですか⁉︎」
 向日葵はこれまでとは違いとても嬉しそうに話に食いついてきた。
「ああ、ユニホームタウンで強敵と対峙する際に助けてもらったんだ」
「それでそれで、お兄様はどんなご活躍を」
 どうなってんだ、純也。おまえんとこの妹はみんなこうなのか?
 話を切り出したジョセフは困りながらも向日葵の純也に関する質問に答えていた。
「お兄様は強敵と戦う際なにを使っていましたか?十文字は使ってましたか?」
「刀は何本携えてました?」
「多分そうだと思いますが、黒いモヤモヤみたいなのも一緒にいましたよねぇ⁉︎」
 向日葵のはしゃぎっぷりはすごく、ジョセフは終始困惑していた。
「ど、どうだったかな、あの時は戦いに気がとられてあんまり見てなかったからな」
「全く、羨ましい限りです。私はこの頃全くお兄様と会ってませんのに」
「よしと、用事も済んだことだし戻りますか」
「それでは気をつけてお帰りくださいませ、ごきげんよう」
 ルガたちが外へ出るなり見覚えのあるカラクリの物体が空を飛んで自分たちの目の前を横切っていった。
「今通り過ぎていったあいつって!」
「急ごう」
 ルガとジョセフは煤鈴の後に続いてカラクリを追った。
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