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第一章 惑星ライト
八話 行動
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「そろそろ着きます」とシリュウが言うと雲をかき分け外の景色が見えるようになると荒廃した街に、不気味で夜中に一歩でも踏み入れたら二度と戻ってこれなそうな森が見えた「見えてきました、あの村です」とシリュウは三人に伝えた。
四人は村に到着した。着陸地点は高台になっており階段を下って行くと早速、仕事の担当者に鉢合わせた。
仕事の担当者に会うとヤスケは担当者と二人きりで話すために一人前に出て小声で話を始めた。
その担当者は金髪で髪が肩より少し下まで伸びておりその顔をよく見ると女性だった。
「急ですみませんが今回の件については多少、仕事の内容が変更することになりました」「はい、なんでしょう?」
「実は…かくかくしかじか…」とヤスケは説明を終えると担当者の女性は不機嫌そうな顔で言った「そんなのあるわけないじゃないですか。今まで派遣された戦闘員や名のある能力者達でも諦めたり死亡したりで解決不可能な事件ですよ」
「私も最初はそう思いましたが彼は今までとは全く違います」とヤスケは女性に返した。
だが、まだ女性は半信半疑でルガをを睨んでいる。
「でもいいですよ。期待しませんから」
と辛口な一言を放ち四人を案内した。
案内された先では石積みでできた古屋のような場所で待つよう指示された
「ここで待っていてください。今結界の門を開ける準備をしてくるので」
古屋の様子を見ると木造のドアと後は全て石積みで作られており明らかに廃墟のような見た目をしていた。
「では今から細かい説明をします。敵はおそらく一人、まず最初にあらかじめ魔術罠を森中に仕掛けて、次の日に作戦を開始します。2日目はその罠にアンデットをハメさせ四人で一斉攻撃を仕掛けたのちにこれで封印します」そう言ってヤスケはポケットから黒引石で作られた手錠を見せた。
「お前も黒引石を持てるのか」とルガは嬉しそうな声で聞くと
「違います。これは魔法ので手錠をはめると効果を表すようになっている仕組みです」
「そうか…」とルガは少し残念がった。
「そういえば、本来ならば今日出発する予定でしたが予定が変わったので他の隊員にも連絡を入れなければ」とヤスケは通信機で待機中の隊員に連絡をした。
「あ、そうだあと俺の仲間達にもそのことを伝えてくれ」とルガは付け足しした。
そこにちょうどあの女性がやってきた
「準備が整いましたのでみなさんこちらへどうぞ」と声がかかった。
「では行きましょう」とヤスケその場にいるみんなに声を掛けるとカイトとシリュウはいかにも団員らしく返事をした。
そうして四人は結界の前に集まると、そこには黄色の半透明で巨大な壁とその奥には遠くを見れば見るほど暗くなって行く木々が生い茂った森があった。
「それでは今から少しの間だけ門を開けるので、その間に中に入ってください」
と案内してくれた女性は呪文を唱え始めた
「聖なる神の力を授かりしものよ私の望みに従いなさい」と彼女が両手を巨大な結界にかざすと一部のみの結界が無くなった。
「では行ってまいります」とヤスケは彼女に挨拶をして四人は森の中へ進んでいった。
森の中を進んでいくと目印の木があった。その木の枝には赤いリボンが括られておりヤスケは立ち止まった。
「ここから先はアンデットのいる領域なので気をつけてください」とヤスケは三人に伝えた。「ではまずこの辺りに罠を仕掛けましょう。ついでにアンデットのいるところまではこの赤いリボンが括られた木があるのでそれ以降中に入ると遭遇する可能性があります」
と説明を終えるとルガ以外の三人は行動を開始した。
「そういえば聞いてなかったけどアンデットってどんなやつなんだ」とルガはそこで作業に取り掛かっていたシリュウに聞いた。
最初は俺を警戒していたにもかかわらず素直に話してくれた。
「ここにいるアンデットは普通の人間とはあまり変わりません。ですがこれは憶測ですが彼は1000年以上も生きているとされ様々な魔学や武術をされていると聞いています」
「ふーん…1000年ね…」とルガは腕を組むと
シリュウは暗い表情で続けた
「それだけでなく奴は残酷極まりなく今から丁度、10年前村の人が一人残らず惨殺されると言う事件があったのです」
ルガは疑問を持って聞き返した
「村って俺たちがいたあの村か?」
「いいえ、この森に入りここにくる途中、周りと違って木がない場所がありましたよね」
「ああ…」
「あの辺りは10年前に惨殺事件があった村の後なんです」
「なるほどね」
「そんなことより早く仕事に取り掛かってください」とシリュウに怒られた。
そしてルガはカイトが向かった方へ向かい、シリュウはその様子を見届けた。
「まったく、なぜあんな素性の知れない奴に大佐は協力を要請したのかしら…」
そうやってぶつぶつ文句を呟いていると次の瞬間シリュウにとって予想だにしない事が起こった。
「もしや、そこのお嬢さん」するとシリュウは殺気を感じ後ろを振り向くとそこには、白髪のロングヘアでさらにまた白いローブを纏った老人がいた。
「お爺さんここは危ないので結界の外へ避難してください。またいつアンデットが出るかわかりません…」次の瞬間シリュウはハッとした。それはもしかしてこのお爺さんがアンデットではないかとゆう疑問だった。
「わしはただ、ついさっきこの森の結界が開いた時にたまたま迷い込んでしまっただけよ…」
とシリュウはお爺さんから話を聞くと
「それじゃあ私についてきてくださ…」
「いやいやどの方向に出口があるか知りたいだけだ道案内などしなくても良い」
とシリュウはお爺さんに言われるがままに自分たちが入って来た方を指さすとお爺さんはそっちの方へ行ってしまった。
「行っちゃった…」シリュウはこのことを気にも留めず作業を再開した。
四人は一通り作業を終え、森の結界の外へ戻ってきた。四人が戻ってくる頃にはもう外は日が下りかけて暗くなっており森の管理者である女性は魔学で光らせたシャボン玉のようなものを浮かべて四人が来るのを待っていた。
「お帰りなさい、作業の方はどうでしたか」
と管理の女性に聞かれるとヤスケは
「無事、順調に作業を進めることができました」と返した。するとシリュウは森に入ってすぐに出くわした迷子の老人について尋ねると管理人曰く、老人は無事に戻ってきて管理人の知り合いだったとのこと。
その後四人は管理人の家で一晩泊めてもらう事になった。
「なぁ、やっぱり思ったんだけどシリュウって女だったのか」とルガはぼやくとヤスケは
「私も彼女の履歴書を見るまでは男性と思ってましたから意外なことではありませんよ」
と言ってくれた。
四人は明日の作戦会議と個人の身支度を終えるとルガはヤスケから聞きたいことがたくさんあると呼び出しを食らった。それに、丁度いい俺も質問したいことがあるんだ。と応じてくれた。
そしてカイトは通信機で別行動をしている仲間に連絡を取り、シリュウは別室にて女子二人で就寝前の雑談をしている。
「いやー、午前中のあの行動には驚きましたよ。いきなり私たちの行動に気づくのですもの」
「そりゃあこっちだって易々と始末されるわけには行きませんから」
とルガとヤスケの話し合いが始まった。
「本当のところはあなたに聞きたいことが山ほどあるのですが、あなたに対する質問は二つだけにします」とヤスケからは話し始めた。それにルガはというと
「いいよー。なんでも聞いちゃって」と答えた。
「では伺いましょう。まず最初にあなたの目的を教えてください」鋭い目つきで面接のように話を切り出した。
「目的は強い仲間を集めること、仲間にする人材は自分の目で見極める。でも安心して、仲間を集めてすることは犯罪みたいな事じゃないから」と答えた。
「…では二つ目、あなたの力の根源はなんですか?どうやってあなたはその力を得たのですか」とヤスケはより一層真剣な目でルガを見ている。
「別に犯罪まがいのことは一切してないよ、全ては自分の努力の積み重ねさ」そう答えた
「なるほど…いまいち信じられませんが嘘はついていないようです」
とヤスケは自分の人差し指を見せると青い指輪をしていた。
「なんだそんなものをつけてたのか」
「ええ…。嘘をつくと赤色に変色する指輪です。これであなたの内心を伺っていましたが無駄だったようです」
「じゃ、次は俺が質問する番だね」とルガが話を切り出すとヤスケはそれに応じた。
「いいでしょう、答えられることならなんでも答えますよ」と。
「なぜ森中の広範囲に仕掛けをつけたんだ敵が一人なら一箇所にまとめればいいんじゃないのか」
「それについてはアンデット退治が終わった後にあの森を焼き払えと命令が出たのです」
「なぜ?」
「上方部は魔力が多いあの森を手に入れようと必死なのです。私もこんな時にくだらないことを考えている上方部にはうんざりしています」とヤスケは暗い表情をして言った。
ルガはテーブルで支えていた腕を組んで声を低くして言った。
「そうね。じゃあ二つ目…森の中に入って作業を開始した直後シリュウが会ったお爺さんは、いったいなんだったんだ?」
「お爺さん?お婆さんの間違いじゃないんですか?」
するとヤスケの表情が一瞬で変わった
「はっ‼︎まずい、今すぐ彼女達の元に向かうぞ!」
今から遡ること数分前、女子達は部屋で雑談をしていた。
風呂から上がった管理人の女性は手に持っていたペンダントをベット脇の机に置き、シリュウに話しかけた。
「今日1日お仕事お疲れ様です」と、呼びかけにシリュウは
「いえいえ、カナさんこそ私たちが森の中に入ってからずっと帰ってくるのを待っていたんでしょう?」
「まぁ、はい。でもあなた達の仕事に比べたらどうってことありませんよ」
とここで一旦話が途切れ、二人は静かな空気に包まれた。
「そういえばカナさんが身に付けているペンダント、とても素敵ですよ」
「ありがとう、これは祖父の形見なんです。中には昔お世話になった祖父の写真が入ってるんですよ」
「ちなみに祖父は10年前の惨殺事件で亡くなってしまいましたが」
するとシリュウは申し訳なさそうな顔をして
「あ、すみません…。」
「いいえ、大丈夫ですよ。あっ、そうだこのペンダント開けてみてください。これ、魔法でしか開かないように鍵がかかっているんですよ」
「いいんですか?では、ここは一度やってみますか」とシリュウは自分の小型の杖を片手に、反対の手にはペンダントを持ち
「ちなみにどう言った系統の鍵なんですか?」と聞くと
「光と熱属性を上手く使えば外れます」とカナは楽しそうにシリュウを眺めていた。
すると急にドンドン、と物音がした。
一体何の物音かと思いきやそれはドアをノックする音だった。
「こんな遅い時間に誰かしら」シリュウが言うとカナは最初からわかっていたような様子で答え。
「きっと昼間に助けたおばあさんのことだと思うよ、あのおばあさん結構世知辛いから」
と答えた。
「では私が出て来る」と言ってシリュウは魔法を解こうとすると
「んーん、続けてていいよ私が出るから」
と言ってカナは部屋を後にした。その様子を不安そうに見送るがすぐにお年寄りの声が聞こえ、シリュウはホッとした。
「そういえばさっきおばあさんって言ったけど…。まぁいいか!」シリュウは片手に持っているペンダントの蓋が開き、ようやく中が見られるようになった。
しかしシリュウはその中の写真を見て目を疑った、その写真に写っていたのは昼間に見た老人そっくりそのままだったからただ。
すると通信機に電話がかかってきた、それはヤスケ大佐からの連絡だった。通信機を耳に当てるとヤスケの声とドタバタと走るような音がした。
「大佐?どうしました?」と言うとヤスケは
「今走ってそっちに向かっているカナさんは部屋にいるか」ヤスケの声と同時にカナの悲鳴が聞こえてきた。
「キャアアアア‼︎」
次の瞬間シリュウは咄嗟に立ち上がり玄関へと向かった。
「まずい‼︎カナさん‼︎」と、シリュウが玄関に着く頃にはもう遅かった。
ドアの外には女性を担いで逃げて行く人影が見えた。
「大佐!今すぐカナさんの後を追います」と通信を切り玄関を飛び出していった。
その後を追うようにヤスケとルガが出てきてそれから少し遅れてカイトも出てきた。
「シリュウはどの方に進んでいった!」とルガは急いでヤスケに聞くが、
「俺に任せてください」と前に出てきたのはカイトだった。するとカイトは独自の第六感である追跡と夜行眼の能力でシリュウの後を追った。
その頃シリュウはというと杖を魔法で大きくし、人影の跡を追っていた。
「クソっ素早い!」と文句を垂れながら跡を追っていると時期に結界が張ってある森についた。シリュウはそんなことなど気にも止めず、前の人影が通った所と同じ所を通るとすんなり中に入ることができた。
だがシリュウはそんな事など無視して一目散に人影の後を追った。その後もヤスケ達が同じ所を通ろうとしたが、三人は思いっきり結界にぶつかり跳ね返されてしまった。
「時間差魔法か!」とカイトは喋るとヤスケが後ろから刀を抜いて結界の前に立った。
「しょうがない、ここは一旦結界を壊します」「はっ‼︎」ヤスケは結界を切り、ようやく通れるようになり三人はまたシリュウの後を追った。
シリュウは人影が前から見えなくなった頃、森を抜けた。そこは周りとは違い、不気味なくらい静かで暗い平野だった。
「ここは?」とシリュウは進みながら当たりを見渡すと遠くから自分の名前を呼ぶ声がした。「シリュウさん‼︎」
とその声のする方へ向かうと、そこの床に穴が空いており、穴の中は洞窟になっていた。
そしてすぐ目の前には暗くなっていてわかりにくかったがカナが腰を抜かして倒れていた。「カナ?カナなの?」とシリュウが叫ぶと「シリュウさんっ?助けてっ」ザクッ時鈍い音が辺りに響き渡ったするとカナの声が途絶えた。シリュウは魔法で灯りをつけるとカナの首が切り離され胴体からは大量の血が吹き出していた。
「イヤアアアアアアアア、カナ‼︎カナさん‼︎」
シリュウは杖を縮小させ、カナの近くによると、カナが倒れているところの下に魔法陣のようなものがあるがそんなことを気にしている暇などなかった。シリュウはショックでその場から動けずにいた、だが目の前の刺客は待ってくれなかった。
「これはこれは、大人数で来てくれるのはやはり好都合だ」と低く鈍い声がしたそれは聞き覚えのない声で自分に話しかけているようだった。
「お前は、誰だカナさんをなぜ殺した」とシリュウは怒鳴るように聞いた。
「なぁに、一人くらいどおって事ないだろう代わりはいくらでもいるんだろ?」
この言い草にシリュウはさらに青筋を立てた。
「これで最後の一人だ」と言って目の前の男はカナの首を切った鎌を振り上げ、シリュウに振り下ろし首を切ろうとした次の瞬間、
カァン!と甲高い金属音が鳴った。シリュウは目を開けるとヤスケが刀を抜き、目の前の男の鎌を受け止めていた。「大佐!」
「お前がこの森に住むアンデットか」ヤスケは今自分と闘っている相手に聞いた。
「ああそうだ、しかしこれから死ぬとゆうのにそんなことを知ってどうする」
「残念ながらお前は死なないんだったよな」
とルガとカイトが左右から攻撃を仕掛けるがアンデットは後ろへ攻撃を交わした。
するとシリュウの魔法の光で四人はアンデットの姿全体が見えた。格好はルガと少し似ておりフードのついた青いローブを来て、そのフードの中には皮膚や筋肉など一切ないガイコツの顔が見えた。そしてよう見てみると大きな鎌を持っている手も骨しかなかった。
ヤスケは反射するように「リッチか」
それに対し相手のリッチは「ああそうだそのとうりだ。これから貴様らは死に私の計画の糧となるのだ冥土の土産に私の顔を見れてよかっただろう」
「そんな簡単に母の元へは行かないさ、シリュウ、カナさんの遺体を持ってうりそに下がっていてくれ」とヤスケはシリュウに伝えるとシリュウは冷静さを取り戻しヤスケの命令に従った。「はい、」
「あまり長引かせるつもりはなかったがこれは長引きそうだ」とヤスケ言い刀を構えた。
それに続いてルガも「そんじゃ始めますか」
と言ってカイトも杖を持ち構えた。
これで一人対四人のアンデット退治が始まった。
四人は村に到着した。着陸地点は高台になっており階段を下って行くと早速、仕事の担当者に鉢合わせた。
仕事の担当者に会うとヤスケは担当者と二人きりで話すために一人前に出て小声で話を始めた。
その担当者は金髪で髪が肩より少し下まで伸びておりその顔をよく見ると女性だった。
「急ですみませんが今回の件については多少、仕事の内容が変更することになりました」「はい、なんでしょう?」
「実は…かくかくしかじか…」とヤスケは説明を終えると担当者の女性は不機嫌そうな顔で言った「そんなのあるわけないじゃないですか。今まで派遣された戦闘員や名のある能力者達でも諦めたり死亡したりで解決不可能な事件ですよ」
「私も最初はそう思いましたが彼は今までとは全く違います」とヤスケは女性に返した。
だが、まだ女性は半信半疑でルガをを睨んでいる。
「でもいいですよ。期待しませんから」
と辛口な一言を放ち四人を案内した。
案内された先では石積みでできた古屋のような場所で待つよう指示された
「ここで待っていてください。今結界の門を開ける準備をしてくるので」
古屋の様子を見ると木造のドアと後は全て石積みで作られており明らかに廃墟のような見た目をしていた。
「では今から細かい説明をします。敵はおそらく一人、まず最初にあらかじめ魔術罠を森中に仕掛けて、次の日に作戦を開始します。2日目はその罠にアンデットをハメさせ四人で一斉攻撃を仕掛けたのちにこれで封印します」そう言ってヤスケはポケットから黒引石で作られた手錠を見せた。
「お前も黒引石を持てるのか」とルガは嬉しそうな声で聞くと
「違います。これは魔法ので手錠をはめると効果を表すようになっている仕組みです」
「そうか…」とルガは少し残念がった。
「そういえば、本来ならば今日出発する予定でしたが予定が変わったので他の隊員にも連絡を入れなければ」とヤスケは通信機で待機中の隊員に連絡をした。
「あ、そうだあと俺の仲間達にもそのことを伝えてくれ」とルガは付け足しした。
そこにちょうどあの女性がやってきた
「準備が整いましたのでみなさんこちらへどうぞ」と声がかかった。
「では行きましょう」とヤスケその場にいるみんなに声を掛けるとカイトとシリュウはいかにも団員らしく返事をした。
そうして四人は結界の前に集まると、そこには黄色の半透明で巨大な壁とその奥には遠くを見れば見るほど暗くなって行く木々が生い茂った森があった。
「それでは今から少しの間だけ門を開けるので、その間に中に入ってください」
と案内してくれた女性は呪文を唱え始めた
「聖なる神の力を授かりしものよ私の望みに従いなさい」と彼女が両手を巨大な結界にかざすと一部のみの結界が無くなった。
「では行ってまいります」とヤスケは彼女に挨拶をして四人は森の中へ進んでいった。
森の中を進んでいくと目印の木があった。その木の枝には赤いリボンが括られておりヤスケは立ち止まった。
「ここから先はアンデットのいる領域なので気をつけてください」とヤスケは三人に伝えた。「ではまずこの辺りに罠を仕掛けましょう。ついでにアンデットのいるところまではこの赤いリボンが括られた木があるのでそれ以降中に入ると遭遇する可能性があります」
と説明を終えるとルガ以外の三人は行動を開始した。
「そういえば聞いてなかったけどアンデットってどんなやつなんだ」とルガはそこで作業に取り掛かっていたシリュウに聞いた。
最初は俺を警戒していたにもかかわらず素直に話してくれた。
「ここにいるアンデットは普通の人間とはあまり変わりません。ですがこれは憶測ですが彼は1000年以上も生きているとされ様々な魔学や武術をされていると聞いています」
「ふーん…1000年ね…」とルガは腕を組むと
シリュウは暗い表情で続けた
「それだけでなく奴は残酷極まりなく今から丁度、10年前村の人が一人残らず惨殺されると言う事件があったのです」
ルガは疑問を持って聞き返した
「村って俺たちがいたあの村か?」
「いいえ、この森に入りここにくる途中、周りと違って木がない場所がありましたよね」
「ああ…」
「あの辺りは10年前に惨殺事件があった村の後なんです」
「なるほどね」
「そんなことより早く仕事に取り掛かってください」とシリュウに怒られた。
そしてルガはカイトが向かった方へ向かい、シリュウはその様子を見届けた。
「まったく、なぜあんな素性の知れない奴に大佐は協力を要請したのかしら…」
そうやってぶつぶつ文句を呟いていると次の瞬間シリュウにとって予想だにしない事が起こった。
「もしや、そこのお嬢さん」するとシリュウは殺気を感じ後ろを振り向くとそこには、白髪のロングヘアでさらにまた白いローブを纏った老人がいた。
「お爺さんここは危ないので結界の外へ避難してください。またいつアンデットが出るかわかりません…」次の瞬間シリュウはハッとした。それはもしかしてこのお爺さんがアンデットではないかとゆう疑問だった。
「わしはただ、ついさっきこの森の結界が開いた時にたまたま迷い込んでしまっただけよ…」
とシリュウはお爺さんから話を聞くと
「それじゃあ私についてきてくださ…」
「いやいやどの方向に出口があるか知りたいだけだ道案内などしなくても良い」
とシリュウはお爺さんに言われるがままに自分たちが入って来た方を指さすとお爺さんはそっちの方へ行ってしまった。
「行っちゃった…」シリュウはこのことを気にも留めず作業を再開した。
四人は一通り作業を終え、森の結界の外へ戻ってきた。四人が戻ってくる頃にはもう外は日が下りかけて暗くなっており森の管理者である女性は魔学で光らせたシャボン玉のようなものを浮かべて四人が来るのを待っていた。
「お帰りなさい、作業の方はどうでしたか」
と管理の女性に聞かれるとヤスケは
「無事、順調に作業を進めることができました」と返した。するとシリュウは森に入ってすぐに出くわした迷子の老人について尋ねると管理人曰く、老人は無事に戻ってきて管理人の知り合いだったとのこと。
その後四人は管理人の家で一晩泊めてもらう事になった。
「なぁ、やっぱり思ったんだけどシリュウって女だったのか」とルガはぼやくとヤスケは
「私も彼女の履歴書を見るまでは男性と思ってましたから意外なことではありませんよ」
と言ってくれた。
四人は明日の作戦会議と個人の身支度を終えるとルガはヤスケから聞きたいことがたくさんあると呼び出しを食らった。それに、丁度いい俺も質問したいことがあるんだ。と応じてくれた。
そしてカイトは通信機で別行動をしている仲間に連絡を取り、シリュウは別室にて女子二人で就寝前の雑談をしている。
「いやー、午前中のあの行動には驚きましたよ。いきなり私たちの行動に気づくのですもの」
「そりゃあこっちだって易々と始末されるわけには行きませんから」
とルガとヤスケの話し合いが始まった。
「本当のところはあなたに聞きたいことが山ほどあるのですが、あなたに対する質問は二つだけにします」とヤスケからは話し始めた。それにルガはというと
「いいよー。なんでも聞いちゃって」と答えた。
「では伺いましょう。まず最初にあなたの目的を教えてください」鋭い目つきで面接のように話を切り出した。
「目的は強い仲間を集めること、仲間にする人材は自分の目で見極める。でも安心して、仲間を集めてすることは犯罪みたいな事じゃないから」と答えた。
「…では二つ目、あなたの力の根源はなんですか?どうやってあなたはその力を得たのですか」とヤスケはより一層真剣な目でルガを見ている。
「別に犯罪まがいのことは一切してないよ、全ては自分の努力の積み重ねさ」そう答えた
「なるほど…いまいち信じられませんが嘘はついていないようです」
とヤスケは自分の人差し指を見せると青い指輪をしていた。
「なんだそんなものをつけてたのか」
「ええ…。嘘をつくと赤色に変色する指輪です。これであなたの内心を伺っていましたが無駄だったようです」
「じゃ、次は俺が質問する番だね」とルガが話を切り出すとヤスケはそれに応じた。
「いいでしょう、答えられることならなんでも答えますよ」と。
「なぜ森中の広範囲に仕掛けをつけたんだ敵が一人なら一箇所にまとめればいいんじゃないのか」
「それについてはアンデット退治が終わった後にあの森を焼き払えと命令が出たのです」
「なぜ?」
「上方部は魔力が多いあの森を手に入れようと必死なのです。私もこんな時にくだらないことを考えている上方部にはうんざりしています」とヤスケは暗い表情をして言った。
ルガはテーブルで支えていた腕を組んで声を低くして言った。
「そうね。じゃあ二つ目…森の中に入って作業を開始した直後シリュウが会ったお爺さんは、いったいなんだったんだ?」
「お爺さん?お婆さんの間違いじゃないんですか?」
するとヤスケの表情が一瞬で変わった
「はっ‼︎まずい、今すぐ彼女達の元に向かうぞ!」
今から遡ること数分前、女子達は部屋で雑談をしていた。
風呂から上がった管理人の女性は手に持っていたペンダントをベット脇の机に置き、シリュウに話しかけた。
「今日1日お仕事お疲れ様です」と、呼びかけにシリュウは
「いえいえ、カナさんこそ私たちが森の中に入ってからずっと帰ってくるのを待っていたんでしょう?」
「まぁ、はい。でもあなた達の仕事に比べたらどうってことありませんよ」
とここで一旦話が途切れ、二人は静かな空気に包まれた。
「そういえばカナさんが身に付けているペンダント、とても素敵ですよ」
「ありがとう、これは祖父の形見なんです。中には昔お世話になった祖父の写真が入ってるんですよ」
「ちなみに祖父は10年前の惨殺事件で亡くなってしまいましたが」
するとシリュウは申し訳なさそうな顔をして
「あ、すみません…。」
「いいえ、大丈夫ですよ。あっ、そうだこのペンダント開けてみてください。これ、魔法でしか開かないように鍵がかかっているんですよ」
「いいんですか?では、ここは一度やってみますか」とシリュウは自分の小型の杖を片手に、反対の手にはペンダントを持ち
「ちなみにどう言った系統の鍵なんですか?」と聞くと
「光と熱属性を上手く使えば外れます」とカナは楽しそうにシリュウを眺めていた。
すると急にドンドン、と物音がした。
一体何の物音かと思いきやそれはドアをノックする音だった。
「こんな遅い時間に誰かしら」シリュウが言うとカナは最初からわかっていたような様子で答え。
「きっと昼間に助けたおばあさんのことだと思うよ、あのおばあさん結構世知辛いから」
と答えた。
「では私が出て来る」と言ってシリュウは魔法を解こうとすると
「んーん、続けてていいよ私が出るから」
と言ってカナは部屋を後にした。その様子を不安そうに見送るがすぐにお年寄りの声が聞こえ、シリュウはホッとした。
「そういえばさっきおばあさんって言ったけど…。まぁいいか!」シリュウは片手に持っているペンダントの蓋が開き、ようやく中が見られるようになった。
しかしシリュウはその中の写真を見て目を疑った、その写真に写っていたのは昼間に見た老人そっくりそのままだったからただ。
すると通信機に電話がかかってきた、それはヤスケ大佐からの連絡だった。通信機を耳に当てるとヤスケの声とドタバタと走るような音がした。
「大佐?どうしました?」と言うとヤスケは
「今走ってそっちに向かっているカナさんは部屋にいるか」ヤスケの声と同時にカナの悲鳴が聞こえてきた。
「キャアアアア‼︎」
次の瞬間シリュウは咄嗟に立ち上がり玄関へと向かった。
「まずい‼︎カナさん‼︎」と、シリュウが玄関に着く頃にはもう遅かった。
ドアの外には女性を担いで逃げて行く人影が見えた。
「大佐!今すぐカナさんの後を追います」と通信を切り玄関を飛び出していった。
その後を追うようにヤスケとルガが出てきてそれから少し遅れてカイトも出てきた。
「シリュウはどの方に進んでいった!」とルガは急いでヤスケに聞くが、
「俺に任せてください」と前に出てきたのはカイトだった。するとカイトは独自の第六感である追跡と夜行眼の能力でシリュウの後を追った。
その頃シリュウはというと杖を魔法で大きくし、人影の跡を追っていた。
「クソっ素早い!」と文句を垂れながら跡を追っていると時期に結界が張ってある森についた。シリュウはそんなことなど気にも止めず、前の人影が通った所と同じ所を通るとすんなり中に入ることができた。
だがシリュウはそんな事など無視して一目散に人影の後を追った。その後もヤスケ達が同じ所を通ろうとしたが、三人は思いっきり結界にぶつかり跳ね返されてしまった。
「時間差魔法か!」とカイトは喋るとヤスケが後ろから刀を抜いて結界の前に立った。
「しょうがない、ここは一旦結界を壊します」「はっ‼︎」ヤスケは結界を切り、ようやく通れるようになり三人はまたシリュウの後を追った。
シリュウは人影が前から見えなくなった頃、森を抜けた。そこは周りとは違い、不気味なくらい静かで暗い平野だった。
「ここは?」とシリュウは進みながら当たりを見渡すと遠くから自分の名前を呼ぶ声がした。「シリュウさん‼︎」
とその声のする方へ向かうと、そこの床に穴が空いており、穴の中は洞窟になっていた。
そしてすぐ目の前には暗くなっていてわかりにくかったがカナが腰を抜かして倒れていた。「カナ?カナなの?」とシリュウが叫ぶと「シリュウさんっ?助けてっ」ザクッ時鈍い音が辺りに響き渡ったするとカナの声が途絶えた。シリュウは魔法で灯りをつけるとカナの首が切り離され胴体からは大量の血が吹き出していた。
「イヤアアアアアアアア、カナ‼︎カナさん‼︎」
シリュウは杖を縮小させ、カナの近くによると、カナが倒れているところの下に魔法陣のようなものがあるがそんなことを気にしている暇などなかった。シリュウはショックでその場から動けずにいた、だが目の前の刺客は待ってくれなかった。
「これはこれは、大人数で来てくれるのはやはり好都合だ」と低く鈍い声がしたそれは聞き覚えのない声で自分に話しかけているようだった。
「お前は、誰だカナさんをなぜ殺した」とシリュウは怒鳴るように聞いた。
「なぁに、一人くらいどおって事ないだろう代わりはいくらでもいるんだろ?」
この言い草にシリュウはさらに青筋を立てた。
「これで最後の一人だ」と言って目の前の男はカナの首を切った鎌を振り上げ、シリュウに振り下ろし首を切ろうとした次の瞬間、
カァン!と甲高い金属音が鳴った。シリュウは目を開けるとヤスケが刀を抜き、目の前の男の鎌を受け止めていた。「大佐!」
「お前がこの森に住むアンデットか」ヤスケは今自分と闘っている相手に聞いた。
「ああそうだ、しかしこれから死ぬとゆうのにそんなことを知ってどうする」
「残念ながらお前は死なないんだったよな」
とルガとカイトが左右から攻撃を仕掛けるがアンデットは後ろへ攻撃を交わした。
するとシリュウの魔法の光で四人はアンデットの姿全体が見えた。格好はルガと少し似ておりフードのついた青いローブを来て、そのフードの中には皮膚や筋肉など一切ないガイコツの顔が見えた。そしてよう見てみると大きな鎌を持っている手も骨しかなかった。
ヤスケは反射するように「リッチか」
それに対し相手のリッチは「ああそうだそのとうりだ。これから貴様らは死に私の計画の糧となるのだ冥土の土産に私の顔を見れてよかっただろう」
「そんな簡単に母の元へは行かないさ、シリュウ、カナさんの遺体を持ってうりそに下がっていてくれ」とヤスケはシリュウに伝えるとシリュウは冷静さを取り戻しヤスケの命令に従った。「はい、」
「あまり長引かせるつもりはなかったがこれは長引きそうだ」とヤスケ言い刀を構えた。
それに続いてルガも「そんじゃ始めますか」
と言ってカイトも杖を持ち構えた。
これで一人対四人のアンデット退治が始まった。
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