逃げられない檻のなかで

舞尾

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檻の中※

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 気づけば俺は裸でベッドの上に寝転がっていた。
 手を動かそうとするが、動かない。手には手錠がかけられ、ベッドのパイプに繋がっていた。

「ここは」
「起きたか?」
「正人……!」

 正人はベッドに腰かけて俺を見ていた。どうやらここは正人の部屋らしい。

「俺は、そうだっ……!」

 俺は先程の事全てを思い出した。正人に襲われ、逃げて、村中捜索され、捕まった……
 一気に恐怖が甦る。がくがくと体が震え出した。

「お前っなんでこんなこと!」

 しかも今は裸にされた上、手錠を嵌められている。完全に逃げられない状態だ。きっちり警察官の服を来ている正人とは正反対の状態。それが今の異常さを際立たせていた。
 俺をどうするつもりなのか。正人の考えている事が全く分からない。目の前の男が怖かった。

「遥が逃げるから…仕方ないだろう」
「これは犯罪だぞ!お前警察官だろ!!」

 半泣きになりながら、正人に向かって叫ぶ。目を覚ましてほしかった。元に戻ってほしかった。正義感溢れる、警察官の鏡のような正人に。

「お前を逃がさないためだったら、なんだってする」

 そんな俺の思いを無視して、正人は俺の上に股がる。そして俺の顔の両側に手をついた。まるで囲い混むような体勢に息を飲む。

「お前が欲しいんだ。身も、心も」

 悲痛そうな表情をして、正人は告げる。ここまで言われて、俺はやっと気づいた。

「正人、俺の事好きなのか……?」
「……遅すぎだ。気づくの。」

 やっと全てを理解した俺に、正人は苦笑した。

「だから、俺を襲ったのか……」
「逆に何だと思ったんだ」
「だってお前何も言わないから!だから何も分かんなくて、怖くて…逃げたんだ……」

 本当に怖かったんだ。正人が豹変した理由が分からなくて。でも理由が分かれば理解することもできる。きっと、正人が豹変した理由はアレだ。俺が本部に戻るという話の流れで言ってしまったこと。好きな相手にあんな事言われたら、誰だって傷つく。

「悪い、それなら凄く無神経な事言った。お前の事、真剣に考える。だからこんな事やめてくれ……俺を解放してくれ……!」

 俺の懇願に、正人は冷ややかな目で返す。懇願を聞き入れてくれない正人が恐ろしくて、俺は目を反らした。けれど顎を掴まれ、視線を無理矢理合わせられる。

「出したらどうなる?結局都会に戻るのだろう?そこで沢山の人と再び出会う。前に言っていた彼女ともよりを戻すかもしれない。俺の事を忘れてしまうかもしれない。…そんなの耐えられない」

 正人は真っ直ぐに俺を見つめる。いつしか見た凪いだ海のような優しい目ではなく、どこまでも真っ黒に暗い瞳の色。底が見えない沼のようなその瞳に、吸い込まれそうで怖かった。

「俺はこの環境を気に入っているんだ。平和な村、心優しい村人、飯を作ってくれるお前。何一つ変えたくない。変わりたくない」

「だから俺は出さない。お前をどこにも」

 それはどこか諦めていた男の、初めて聞いた願いだった。


 噛みつくようにキスをされる。舌と舌が絡み合いくちゅくちゅと卑猥な音が部屋の中に響いた。抵抗しようにも手は手錠されているため抵抗ができない。

「やめ、はっ、やめろ……よ……!」
「やめない」

 こいつ朴念仁のような感じだったのに一体どこで仕込んだのか。顔を背けてキスから逃げようとするが、顎を掴まれ口を閉めることもできない。窘めるように歯列をなぞられ、ゾクゾクと快感が走った。

「ふぁっ……!」

 チュッとリップ音をたてたあと、唇が離れる。満足したのかと思ったのもつかの間、今度は首筋に吸い付かれた。ちくっとした痛みは、きっとキスマークだ。性的な動きをする正人に俺は本気で焦りだす。ヤバい、本気で正人は俺を抱く気だ。

「正人、お願いだ、待ってくれ。本当に真剣に考えるから!だからやめて……こんな無理矢理……」
「俺だって限界なんだ。……悪い、諦めてくれ」

 そう言って正人はキスマークをつける。慣れたような動作と見慣れた赤い跡に、俺は気付いてしまった。

「お前!まさかあの虫さされ跡って!」
「言っただろう。虫には気をつけろって」

 正人は薄く笑った。否定しないってことは事実なんだろう。ずっと虫さされだと思っていた跡はキスマークだったらしい。
 まてまて、虫さされ跡っていつからあった?はっきり覚えているのは6月の大雨の時だ。つまりその時には俺にそういう思いを抱いていたというわけで。

「そんな前から……?」
「俺の心にずかずかと侵入してきたのに、ここまで無自覚だったとはな」

 正人はため息をつく。そんな事言われても、俺は普通の友人として関わってきたつもりだった。まさかこんな思いを抱かれてるなんて、今日まで知らなかったのだ。

「思い知らせてやるよ。俺がどれだけお前を求めているのかを」

 暗く淀む瞳をしながら告げる正人を見て、俺は逃げられない事を悟った。


 正人の唇はさらに降りて、乳首のところで止まった。

「そんな所触っても何も反応しないぞ!女じゃあるまいし!」
「じゃあ変えてやるさ。俺が」
「ひっ!」

ベロリと乳首を舐められる。初めて感じる感触に腰を震わせた。

「や、やだ、噛むな……っ!」

 右側の乳首が甘噛みされる。反対側の乳首はカリカリと引っかかれた。いやだ、すごい変な感触だ。今すぐ逃げ出したい。そんな俺の気持ちも知らずに、正人は俺の乳首を舐め続ける。

「やだ、やめろっ、ぁっ!」
「ほら、だんだん良くなってきた」

 そんな訳がないと否定したいのに、乳首を甘噛みされるたび腰が震える。おかしい。こんな所で感じる筈がないのに。けれど意思と相反するように体はビクビクと反応した。

「……だいぶ変わったな」
「そんなっ……」

 正人に散々遊ばれた乳首はぷっくりと赤く腫れあがっていた。こんな乳首初めて見る。うそだ、こんな風になるわけない。目の前の現実を否定したかった。なのに指でピン弾かれ、ビクリと反応してしまった。

「ひっ!やだぁ……」
「ちゃんと気持ちよくなっているみたいで嬉しい」
「う、うそだっ……!」
「こんなにも反応しているのに?」
「っ!」

 正人の右手が俺のちんこを掴む。乳首を舐められて反応したようで、俺のちんこは緩く立ち上がっていた。それをやわやわと触られる。
 うそだっうそだ……!
 乳首舐められて反応するなんて。俺、男なのに。自分の体なのに、制御がきかない。本当に体を変えられているようで怖かった。

「遥、もっと気持ちよくしてやるよ」

 そう告げて、正人はもっと下へと向かう。腰あたりで止まった正人が、何をするのか気づいてしまった。急いで足を閉じようとするが、間に正人がいて閉じることができない。

「いや、まって!それは……!」
「美味しそうだ……」
「おねがっ、まさと、やめてっ!!」

 だんだんと正人の唇は降りていき、ぱくりと俺のちんこを食べてしまった。

「あぁっ!!」

 粘膜に包み込まれて悶える。こんなの、初めてだ。誰にもしてもらったことがない。裏筋を舌でなぞられ、ゾクゾクとした快感が走る。

「おねが、やめっ……あっんぅ!!」
「……気持ちいいか?」

 声が止まらない。上下に擦られながら舌で舐められては、我慢などできない。男だからか、イイところを的確に刺激される。その刺激に耐えきれず股で正人を挟んだ。

「あっあぁ、まさと、まさとっ」
「遥……」

 正人に舐め続けられ、完全に立ち上がってしまった。あと少しの刺激でイッてしまう。

「おねがい、まさと、はなして……も、でる……でるから……」
「出せよ」

 先端をぐりっと舌で捩じ込まれれば、我慢することなど出来なかった。

「ぁぁぁあっ!」

 耐えることも出来ず、正人の口の中に出してしまう。正人はそれを全て飲み干した。

「ばっ!お前そんなの飲むんじゃ……!」
「美味しかったぞ。お前の精液」

 舌でペロリと唇を舐める。飛び散った精液も全て舐めとってしまった。その官能的な仕草に思わず目を反らしてしまう。
 だから正人の動きに気づく事が出来なかった。

 ひた、とその場所に手を宛がわれ、俺は青ざめる。

「ま、まてまてまて!そこは入れる所場所じゃないから!」
「けれど、ここ以外入れる場所がないだろう」
「そんな所に入れたら大変なことになるぞ!?」
「ローションをつけているし、ほぐすから大丈夫だ」

 ほぐすって何と聞く前に、指を尻の穴に入れられてしまった。初めて感じる刺激に、体が強張ってしまう。

「あっ……!やめっ……!」

 すごい異物感だ。止めてほしい。こんなところ入れる場所じゃないんだ。なりふり構わず正人にお願いする。

「お願い、なんでもするからっ……!もうやめて……!」
「大丈夫だ、もっと気持ちよくなるから」

 そういい、正人は何かを探す。やめてくれ。これ以上まさぐらないでほしい。きっとこんな場所には何もない。
 しかし、ある一点を掠めた瞬間電流が走ったかのように体が反応した。

「あッ!?」
「…ここだな」

 正人がその場所を刺激する。その度に電流が何度も流れた。

「それ、やめっ!!だめだ、あっ……ぁんっ!!」

 なんだこれなんだこれなんだこれ!!
 ちんこを刺激するより気持ちがいい。ナカを刺激され、ちんこも少しずつ元気になっていった。
 話で聞いたことがある。きっと、前立腺。でもこんなに気持ちいいなんて。

「気持ちいいか?」
「ああっやめっ、」
「気持ちいいだろう?」
「きもちいぃからっ!んっおねがっやめて!!」

 俺の言うことを正人は無視して俺を責め続ける。
 いつの間にか正人の指は四本に増えていた。バラバラに動かされ身悶える。今まで感じたことがないほど、尻の穴は広がっていた。

「……もう、いいか」

 ズルッと指を引き抜かれる。その感覚に身を震わせた。

「……もう、おわりだよな?」

 もうやめて欲しかった。これ以上耐えられない。
 俺の期待を砕くように薄く笑い、正人は自身のズボンのジッパーを下ろした。正人の大きく勃起したちんこが現れる。

「ここからだよ」

 そして俺の足を大きく広げた。正人は最後までする気だ。俺は青ざめる。やめてくれ、そんなの絶対入らない。

「正人な、やめてくれ。俺、なんでもするからっ……!だからっ……!!」

 手錠がベッドに繋がれたままでは、抵抗など出来やしない。正人のちんこが俺の穴に宛がわれる。

「まさと、まさと、おねがい、やめて……」

 この一線を越えると、きっと俺達の関係は壊れてしまう。嫌だ、この関係を壊したくない。お前を嫌いになりたくない。だから必死に正人を止めた。
 けれど俺の必死な懇願を見て、正人は柔らかに笑い

「遥、愛している」
「ああぁぁぁあっ!!」

 そして一気に貫いた。
 楔が打たれるかのように、正人のデカいちんこが俺の穴に入る。とんでもない質量が入ってきて、俺は圧迫感に苦しんだ。

「……入ったぞ」
「そんな……ぁ……」

 フチをツウとなぞられる。その感触に腰を震わせた。

「ずっとこうしたかった。お前と繋がりたかった。俺たちは…一つだ」

 幸せだ、と正人は呟く。

 何が一つだふざけんな。俺の意思を無視してどの口が言ってんだよ。俺はお前に犯されてショックを受けているのに。
 俺を犯してさぞかし幸せなんだろう。
 けれど、正人の表情を見て俺は驚いた。

 お前、今幸せなんだろ?俺を犯して自分のモノにして満足なんだろ?

 それなのに――なんで
 なんでお前はそんな辛そうなんだ。
 今にも泣きそうな顔をして俺を見つめている。幸せなら幸せそうにしろよ。犯して満足だって言えよ。じゃないとお前を嫌いになれない。

「遥、遥大好きなんだ」
「んあっ!」

 ずるりとちんこを引き抜き、また突き上げる。がくがくと揺らされ体が震えた。やっている事は凶悪なのに、でもその表情はまるで迷子のようで。

「遥、愛している。だから俺を……」

 口の動きで、正人が望んでいる事に気付いた。

 本当に馬鹿だ。
 これは強姦だ。監禁だ。犯罪なんだ。本当は怒るべきだ、嫌悪するべきだ。

 なのに、なんで、こんなにいとおしいと思ってしまうのだろう。
 今すぐ抱きついてやりたい。一人じゃないと安心させたい。手錠が邪魔して出来ないけれど。

「遥、愛してる。だから行くな。俺の側に……愛しているんだ……」

 俺を必死に見つめながら、正人がうわ言のように愛を紡ぐ。怖いと思っていたその瞳の奥。真っ黒な瞳の中には寂しさが隠れていた。

 ああ、そうか。俺は気づいてしまった。
 きっと、俺達は一緒なんだ。

 お互い家族に恵まれなくて、一人っきりになって、居場所がほしかった。誰かに必要とされたかった。

 俺達は愛されたかったんだ。
 
 だから今、正人に求められて、俺はこんなにも満たされている。
 本当に馬鹿だ。俺も、お前も。

 だからそんな迷子みたいな顔をするな。正人がこんなにも求めてくれるのだから、俺はそれを受け入れるよ。
 俺は覚悟を決めた。


「まさと、まさとっコレ外せよ……!」

 俺は正人に手錠を外すように頼む。これがあるせいで正人に抱きつけない。

「外したらどこかへ行ってしまうだろう……!」
「どこにも、行かない!行かないからあ!」

 俺の顔を見て、正人は少し迷ったあと胸ポケットから手錠の鍵を取り出した。そして手錠に鍵を差し込む。

 カシャンと音が鳴り、手錠が外れた。
 外れた瞬間俺は正人の首に腕を回した。正人もこの行動は予想外だったのか大きく目を見開き、そして正人のちんこが一回り大きくなる。

「バカ!おまえっ」
「こんな可愛い事するからだろっ!」

 正人が余裕のない声をする。その初めて見るその姿がちょっと面白かった。

「後悔しても知らないからな」
「上等」

 グルとうなり声を出す正人に笑い返して、こっちからキスしてやった。


 荒い息が部屋中に響き渡る。どっちの息かもわからない。俺たちは夢中でキスをした。舌と舌が絡み合う。求められることはとても気持ちがいい。心が満たされる。

「遥、はるかっ」
「まさと……」

 正人が余裕のない表情をする。終わりが近いのだろう。すると正人は俺のナカからちんこを出そうとした。ここまでやっといて謙虚か、お前。正人の体に足を絡ませそれを止めた。

「いいよ。だせよ」
「……いいのか」
「ここまでやっといて何しおらしくなってんだよ」

 俺はもう覚悟は出来てんだ。奪うなら全て奪え。その気持ちを込めてまた正人にキスをした。
 正人は嬉しそうに笑いながらそれを受け止めた。

「なら、遥も一緒に」
「ばかっ……やめ!」

 そう呟いて正人は俺のちんこを擦る。急に来た刺激に身を震わせた。前も触られて、奥もイイところを突き上げられて、一気に快感が走る。

 だめだ、くる
 我慢など出来なかった。

「あぁぁぁあっ!!」
「っ……!」

 ナカとちんこの刺激で俺は勢いよく果て、そして正人も俺のナカに出した。熱い飛沫をナカで感じる。正人はものすごく幸せそうな顔をしていた。


 お互い荒い息をする。激しい情事の後の倦怠感のせいで、俺達は言葉を発することができなかった。
 腹は俺の精液でべとべとで、ケツの穴は大惨事。完全に俺は正人に犯されてしまった。

 ずる、と正人が俺のナカからちんこを出した。それにぶるりと身を震わせる。一息ついたあと、俺は正人の顔を引き寄せた。

「おい、こらバカ。警察官のクセに大切な倫理観が欠如してるお前に教えてやるよ。強姦は犯罪だ。監禁も凌辱も犯罪だ。俺が警察に泣きついたらお前なんてすぐ捕まるんだからなバカ」

 大事なことだ、しっかり覚えとけよと正人に言う。それを聞いて、正人はくしゃっと辛そうな顔をした。そしてまた暗い目をして俺に言う。

「なら、泣きつかないようにすればいい」
「話を最後まで聞けバカ!」
「いっ!」

 話を最後まで聞かないバカに頭突きをした。人の話は最後まで聞きましょうと習わなかったのか。正人に目線を合わせて言う。

「ーでもな、同意だったら捕まらない」
「っ!」

 正人は大きく目を見開いた。俺は微笑みながら話を続ける。
 
「ったく、本当馬鹿だ。こんなことされて、本当なら怒るはすだ。嫌いになるはずだ。なのに…なんで、いとおしいと思ってしまったんだろうな」
「遥……」

 正人の声は震えていた。ポタ、と俺の顔に涙が落ちる。お前、何泣いてるんだよ。頬に手を添えて涙を拭った。

「きっと俺もお前と一緒だったんだ。誰かに望まれたかった。…愛されたかった。都会に戻りたかったのも、あの職場で頼られる事が嬉しかったからなんだ」

 本部に戻りたかったのは、頼られて、求められて、俺はここに居ていいんだって思わせてくれたから。だから、生きているって気がしていたんだ。もう親族が誰もいないから、ずっと居場所が欲しかった。
 でも、今の方が俺は満たされている。

「お前に望まれて俺は満たされた。俺はここに居ていいんだって思えた。だから正人、ずっと側にいるよ。お前の側に」
「遥……!」

 正人は思いっきり抱きついてきた。それを受け止める。

「でも!俺からは言わないぞ。お前から聞いていないからな」
「何を……?」
「告白だよ!」

 本気で分かっていないような正人にまた頭突きを食らわせた。大体お前が最初っから告白してりゃあこんなややこしいことにはならなかったはずだ!多分!!

「お前順番ぶっ飛ばしすぎなんだよ!肝心な事言ってないのに襲うなよ!お前が何考えんのか分かんなくてめちゃくちゃビビったんだからな!だから村中逃げるはめになったんだ!めちゃくちゃ怖かったんだならな!本当!」
「…悪い。遥があんな事言うから…抑えがきかなくて」
「…それは悪かった」

 それは俺も申し訳ないと思う。無自覚って本当に恐ろしい。
 でも今は自覚しているんだ。先に体を繋げてしまったけれど、その言葉は言ってほしい。俺達の関係に名前を付けたいから。

「だから、その…早く告白しろ」

 正人に顔を寄せて、その言葉を待つ。蕩けそうなほど甘い目をして正人は言った。

「ああ、遥。結婚しよう」
「だからぶっ飛ばしすぎだっての……」

 俺達は笑いあいながらキスを交わした。
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