やる気が出る3つの DADA

「K・ジャックの落書きノート／私小説集」97

「おい。殺すぞ、ころころす。コロコロコミック」
「出て来い、前田」
　ハングレたちがこっちへやってきた。

　流血。
　もはや“大乱闘大会”となっている。
　もう手のつけようがなかった。観客たちも、興味深そうに乱闘の様子を眺めている。

『ドカッ』
　偽タイソン・顔面タトゥーがぶつかってくる。
　その拍子に、俺の左手がリング脇に並べられたパイプ椅子にぶつかった。

「いててててて」
　ヒダリンが叫ぶ。ヒダリンは少々出血しているようだ。応急処置が必要。

「あ？　いたいだと？　そんなところに立っているからだボケ」
　偽タイソンが喧嘩を売ってくる。

　俺は何も言い返さない。
　できるだけ、こんな連中とは距離を置いていたいからだ。
　面倒くさいもの。

　すると
「うるせえよ、失せろザコ！　やるならやるぞ」
　ヒダリンが相手の喧嘩を買ってしまった。

「やめろ。俺たちも乱闘に巻き込まれるぞ」
　俺は左手に囁く。

　だが、時すでに遅し

「おい。ザコだとコラ。ザコとは言葉がすぎるぞ、おすぎとピーコ」
　偽タイソンが、胸ぐらをつかんできた。

「うわわわ」
　いや。俺は言ってないから。顔面タトゥーは間近で見ると怖かった。口もくさいし。

　ヘルプ・ミー。絶体絶命。