やる気が出る3つの DADA

Jack Seisex

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「K・ジャックの落書きノート/私小説集」54

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「よし。まず会場を押さえよう」
 俺は、スマホを取り出した。
 まず、以前、個展をしたことがある新宿のギャラリーに電話をするつもりだった。
 
「はい。チクチクギャラリーです」
「もしもし」
 俺は、話しかけた。 

 その時、
「ゲゲゲ、げげゲゲゲゲゲエ。グウひゃひゃはあああああっ」
 ヒダリンが笑い出した。
「おいおい、黙れよ」
 俺は慌てた。
 これでは、電話の相手に不審者扱いされてしまう。
 
「ゲゲゲゲゲゲ、愚グウグウアアアアア!!!」
 ヒダリンが、さらに意味不明な奇声を上げている。
 
 ヒダリンは、鋭利な歯でバンテージを噛み切ってしまっていたんだ!
 
 コレでは、とても話などできそうにない。
 電話を切る。
「おい。いい加減しろ。ことごとく俺の邪魔するつもりか」
 
 左手を押さえながら、スマホでメールをしようとする。
「ブルブルブル」
「ブルブル」
「ブル」
「るるんぶるるん」
 すると、ヒダリンは振動をし初めて、俺がメールを打つのを邪魔してくる。

 これでは、まともに文章など打てそうになかった。
 こうして俺はメールも諦めざるを得なかった。 

「ざま見ろ。ミロのビーナス」
 ヒダリンが呟いた。
「なめるな」

「なめてない、なめてないさ。なめねこ。キサマが、新宿のジャズ喫茶を侮辱した呪いは、永久に解けないということさ。ゲゲゲグハハあ!」 

 とうとう俺は、キューレータのアイディアを諦めた。
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