やる気が出る3つの DADA

Jack Seisex

文字の大きさ
上 下
1,006 / 1,429

「K・ジャックの落書きノート/私小説集」(17)

しおりを挟む
『ゲッゲ』
 ゾンビが立ち上がった。
 ゾンビは、スタバのラテの入ったカップをこぼれないように気をつけながら、トコトコと歩き始めた。
 
 ゾンビが、こっちに向かってくる!

「襲われるっ」
 俺は、ポメラで文字入力をしながら、身構えた。

 俺は、少年時代に、近くの派出所の裏で飼われていた、警察犬に追いかけられた時のことを思い出した。 
 警察犬のドーベルマンは、凶悪犯の喉笛をかみ切る為に、常日頃から訓練されていて、牙を向けられた時の怖さは尋常ではなかった。
 
 ゾンビは、そのドーベルマンレベルに怖かったんだ。
 
 ポメラを打つ手は、動き続けている。もう、この心地よい打鍵感がクセになっている。

 ――ゾンビは怖いがポメラはやめられない。

『グエ』
 ゾンビが奇声を上げる。
 ゾンビは、俺の後ろにあるダストコーナーに来ただけだったらしい。
 
 なんとゾンビは、几帳面に燃えるゴミと燃えないゴミを分けて、分別に協力している。

 さらに
『ゲッゲ』
 一声鳴くと、飲みかけのラテのコップを持ったまま、店の外に出て行った。

「ありがとうございました」
 店員も、普通に応対している始末。
 
 異常なのは、俺なのか。ゾンビが普通にスタバにいる「世界」の方なのか、ちょっと自信は持てない。
 俺は、訳がわからなくなってきている。
 
「ふう」
 俺は、席に座ったまま、深呼吸した。
 ゾンビを観察している間は 実に緊張を強いられる時間だった。

(わわっ)
 無意識にポメラの画面を見て、俺は、愕然とした。

 オーマイ、ゴット。ゴット姉ちゃん。
 
『ノロイノロノロ、ノロノロノロイ。ジャックは、そのままスタバを出ると、そのゾンビを追うことになった……』
 俺は、無意識にポメラに、こう打ち込んでいたんだ。
 
 ――そして、俺は本当にゾンビを追い始めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【新作】読切超短編集 1分で読める!!!

Grisly
現代文学
⭐︎登録お願いします。 1分で読める!読切超短編小説 新作短編小説は全てこちらに投稿。 ⭐︎登録忘れずに!コメントお待ちしております。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

あなたのサイコパス度が分かる話(短編まとめ)

ミィタソ
ホラー
簡単にサイコパス診断をしてみましょう

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘

橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった その人との出会いは歓迎すべきものではなかった これは悲しい『出会い』の物語 『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる 法術装甲隊ダグフェロン 第三部  遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』は法術の新たな可能性を追求する司法局の要請により『05式広域制圧砲』と言う新兵器の実験に駆り出される。その兵器は法術の特性を生かして敵を殺傷せずにその意識を奪うと言う兵器で、対ゲリラ戦等の『特殊な部隊』と呼ばれる司法局実働部隊に適した兵器だった。 一方、遼州系第二惑星の大国『甲武』では、国家の意思決定最高機関『殿上会』が開かれようとしていた。それに出席するために殿上貴族である『特殊な部隊』の部隊長、嵯峨惟基は甲武へと向かった。 その間隙を縫ったかのように『修羅の国』と呼ばれる紛争の巣窟、ベルルカン大陸のバルキスタン共和国で行われる予定だった選挙合意を反政府勢力が破棄し機動兵器を使った大規模攻勢に打って出て停戦合意が破綻したとの報が『特殊な部隊』に届く。 この停戦合意の破棄を理由に甲武とアメリカは合同で介入を企てようとしていた。その阻止のため、神前誠以下『特殊な部隊』の面々は輸送機でバルキスタン共和国へ向かった。切り札は『05式広域鎮圧砲』とそれを操る誠。『特殊な部隊』の制式シュツルム・パンツァー05式の機動性の無さが作戦を難しいものに変える。 そんな時間との戦いの中、『特殊な部隊』を見守る影があった。 『廃帝ハド』、『ビッグブラザー』、そしてネオナチ。 誠は反政府勢力の攻勢を『05式広域鎮圧砲』を使用して止めることが出来るのか?それとも……。 SFお仕事ギャグロマン小説。

処理中です...