やる気が出る3つの DADA

「マスクマニアで、アイムソーリー」K・ジャック（１４）

「でも、タッグ組むってさ」
　倉橋が、動揺している。

「動揺するな」
　ジャックは、耳打ちする。
「だってさ、突然、シロウトがプロレスに参戦って、いくらなんでも、ありえないストーリー展開だろ。狂った作者が、さらにトチ狂ったとしか思えないよ」
「大丈夫。生きてるだけマシだ」
「なんじゃそれ」
「いいから。あの巨漢をやっつけたら。すっきりするとは思わないか。すっきりするぞ、きっと」
「すっきりするために、プロレスをするのか？」
「そうだ」
「でも、俺、マスクないよ」
「そうか。じゃあ、これを貸してやろう」
　ジャックは、ポケットから、古めかしいけれども、いかにも使い古した、中古のユーズドマスクを差し出したのだった。

「なんだ、この汚いマスク」
　倉橋が文句を言う。
　それでも、倉橋は何とかマスクを装着することができた。準備は、万端である。
「それ、レイ・ミス●リオがかぶっていたやつだ。本物だから、価格はつけられないな。まあ、それ被ってストリート歩いてたら、マスクマニアに襲われると思うけどな」
「襲われるって、なんだよ」
「うん。昔のナイキ狩りみたいに。マスク目当てに、ナイフ持ったマニアたちが集まってくるんだ。だから気を付けた方がいい。あと、そのマスク、試合中に破いたら、きちんと弁償しろよ。繰り返すが、金額はつけられないほどのレアなマスクではあると伝えておく。よ、ろ、し、く」
　ジャックは忠告した。

　いざ、出陣である。