やる気が出る3つの DADA

Jack Seisex

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~【NEW・緊急事態宣言】発動下の日々(43)~

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『今日で最後らしいよ、ワン』
 犬吉が言った。
 犬吉はどこか、いつもより張り切っている様子である。闘争本能が、ワンワンとくすぐられているのだろうか。
 またもや、【ルービックキューブ】の頭部が、グルグルと回転している。

「今日で最後?」
 倉橋が聞いた。
 倉橋は、これから【戦争】が始まりそうなので、少なからず、【臆病風】にくすぐられているのだった。
 あー、くすぐったい。

「で、今日で最後って何だっけ?」
  
『倉橋氏。今日で緊急事態宣言が解除になるんだよ。忘れたのかワン、グルルゥ』
 犬吉がノイズる。 
「あ、そうだった」
 でも、そんなことって、それほど重要なのかな。いくら【小説】の中の出来事とはいえ、目の前の【緊急事態】のことで、精一杯なんじゃないのかな、俺たちって。
『ワンワン、ともかくゴーグル覗いてみて、ワン』
 犬吉が言った。
 今日の【犬吉】は、妙に急かしてくるのだった。せかせかしてる。

「――犬吉やい。いくらなんでも、この【VRゴーグル】つけたって、世界の価値観が変わるなんてことはないだろう?」 
『いいから。覗くだけ覗いてみてよ、クウーン』
 犬吉はしつこい。
 いぬ特有の【ケモノ臭】が、ここまで臭ってきそうな勢いである――こいつは、単なるロボット犬のはずなのにさ
 
「よし、ちょっくら覗いてみるか」
 倉橋が【VRゴーグル】に、目を当ててみる。
 マジか。
 げげげ。
 それはそれは、驚いたってもんじゃなかった。
「嘘だろ!!!」
 倉橋は、恥ずかしげもなく叫んでいた。

 ――実際、ゴーグルの向こう側に展開している光景が、それほど、超・異様な光景だったのだ。

 まず、凶悪そうなドゥラエモンが【電子銃】を構えている。
 そして、その奥側に見えるのは、なんと、【ガンドゥーム】の初期型(RXー78ー2)だった。
 RXー78ー2は、小学校の時、【ガンプーラ】が流行した時に、セメダイン臭くなりながら、初めて完成させたことで、思い入れが深かった。
 つまり、ドゥラエモンとガンドゥーム初期型が、同じ【VR世界】の中に、存在していることになる。
 倉橋は、SFアニメに痛々しいトラウマを抱えた少年のように、片手に【VRゴーグル】をブラブラさせたまま、第一ターミナル・展望デッキにて、ひたすら途方に暮れているのだった。

(これから、どんな世界に足を踏み入れることになるのか。そして、そこで、どんな戦いを繰り広げることになるのかは、神のみぞ知るということらしい)
 ――倉橋は、ゴーグルを覗く勇気がしばらく出そうになかった。

「今日は、緊急事態宣言のラスト日だから、張り切って文字数増やしたけど、消化不良って感じかな……」

 倉橋が呟いた。
 当然、犬吉が反応してくる。
『いや、【消化不良の】方が、本物の【不良(ヤンキー)】よりマシだよ。ヤンキーみたいに、暴力振るわないし。暴力反対っ』
 犬吉が、珍しく【助け舟】を出した。

 でも、これから、戦争するんだろ。暴力ありまくりじゃないのか、イヌ。 
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