やる気が出る3つの DADA

アートラボDADAだ⇔ギラギラする刀（やいば）⇔ピエロみたいな道化師

文豪・三島太郎に案内された『アートラボDADA』の前で、倉橋は立ち尽くしていた。
「何をする気なのか？」
　倉橋は呟いた。
　危惧するのは、三島の出で立ちだった。三島は、左手に日本刀を握っていた。
　さすがに、腹の出血は止まっていたが、衣服が血まみれだった。ここに来るまでの間にも、道行く人々が、三島を振り返ってチラチラと眺めていた。
　だが、三島が社会的に顔を知られている為か、却って異様な出で立ちが、ドラマか何かの撮影のようにも見え、ここに来るまでの間、誰にも呼び止められたりはしていなかった。
「早く入って来なよ」
　三島がギャラリー内で、手を振っている。
「暫し、お待ち下さい」
　倉橋が答える。　
　入場を躊躇しているのは、入口の壁に貼られたポスターが要因だった。
（極めて、不吉である）
　ポスターには、顔全体を白塗りして、髪を黄色く染めた道化師の写真が載せられていた。
　
　その道化師は、一昔前に子供ばかりを狙って殺害したことで知られる米国の連続殺人鬼に、そっくりだった。