やる気が出る3つの DADA

Jack Seisex

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新しい国は新しい⇔帝王✕三島太郎⇔ホログラム✕選挙権

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「ドバドバァザザザザザザァ」
 気がつくと、耳元で、大量の水が流れる音がしていた。
 倉橋は、身体を起こした。
 顔に、シブキがかかったようだ。シブキはすぐ横にある小便器から、はねている。
 そこは、公園の男子トイレだった。
(なるほど)
 ついに、新しい国に辿り着いたようだ。
『ありがとうございます、ありがとうございます!』
 例の選挙演説が、聞こえてくる。

 倉橋は、トイレの外に出た。
 警察官が至るところにいて、集まった群衆らを見張っている。群衆は、200人くらいだろうか。
 半グレ風の若者、ヒッピー風の若者、ラッパー風の若者らの姿が多い。
 目につくのは、彼らが個性的な格好して、尚かつ、やたらと演説に熱狂していることだ。
(演説者は、どんな人物だろう)
 倉橋は、歩きだした。
 今どき、これほど若者を熱狂させる政治家がいるのだろうか。
 列の前の方に行くと、さらに大衆は興奮している。
「えいっ」
 倉橋は飛び上がって、ステージを確認した。
 
 一瞬、垣間見えた景色は、想像とはかなり違っていた。
「あれは、何ていう人?」 
 倉橋は、側にいた少年に聞いた。
「三島太郎。小説家だよ。あまり小説は売れてないけど」 
 少年が答えた。
 少年は、《日の丸》の鉢巻をしていた。
(右寄りか)
 倉橋は、納得した。
 ステージ上でも、同じく《日の丸》の鉢巻をした候補者・三島太郎が、大きな声で喚いていた。
 彼は、日本刀を手にしていた。かなりの危険思想の持ち主らしい。
 
 倉橋は、兄貴の姿を探した。
 そしてもう一度、跳び上がってステージを確認した時、三島の後ろに座っている関係者の中に、兄貴の姿があるのを発見した。
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