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貴方によく似たリンドウを
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「どういう意味?」
「オレが好きなんて、正気とは思えねぇよ。高校入ったばっかの、絵を描くしか脳がないクソガキだぞ」
「あんなセックスしておいて、今更そんなこと言う?じゃあ桔平はどうなの。ただ目の前にいたから、私を抱いただけ?」
即座に否定出来なかったが、スミレ以外の女だったら、そんな気持ちも起こらなかったと思う。こういうのが恋愛感情なのだろうか。
「私は桔平が好き。だから一緒にいたいし、また抱かれたい。さっきも言ったけど、たった3歳差で線引きしないで」
「線引きしてるわけじゃねぇけど」
「あんなことしたから、軽い女だって思ったの?」
その声が微かに震えていて、心臓を掴まれたような感覚が襲ってきた。
「もちろん、最初からそんなつもりで近づいたんじゃない。貴方の絵が魅力的だったから、どんな人が描いているのか気になったの。だけど話すうちに、絵とか才能だけじゃない、桔平自身に惹かれていった。強引だったかもしれないけど、仕方ないじゃない。好きになっちゃったんだから。ずっと桔平に触れたかったし、触れてほしかったんだから」
スミレの目が潤んでいる。いつも強気な女の涙を見て、心を乱さない男がいるのだろうか。少なくとも女に免疫がない高校生のオレにとっては、頭を鈍器で殴られたような衝撃だった。
自分でも泣くと思っていなかったのか、スミレは俯いて唇をかみ締めている。それを見て、体の奥から何かが這い上がってきた。性欲とも違う、妙な感覚。その時オレは初めて、スミレのことを心底可愛いと思った。
「ごめん」
謝ると睨みつけられたが、その表情すら可愛く感じる。普段は絶対に弱みを見せず毅然としていても、スミレはまだ19歳だった。
「どうして謝るの」
「泣かせたから」
「分かってるの?私がなんで泣いたか。分からないのに謝らないで」
「分かってるよ」
スミレに触れたいというこの衝動の正体は、一体何なのか。性欲ではなく、愛情なのだろうか。まったく分からない。それでも当時のオレは、この状況で衝動を抑えるほどの自制心は持ち合わせていなかった。
「オレのことが、好きだからだろ」
真っ直ぐ見つめてくるスミレにキスをして、そのまま床へ押し倒す。
スミレが肩書きも年齢も関係なくオレという人間そのものを見てくれているのは、痛いほどよく分かった。だからもう快楽に溺れようが、どうでもいい。スミレがオレを求めるなら、それに応えたい。必要として欲しい。オレは生きていていいんだと感じていたかった。
この時に踏みとどまれていたら、あんなに苦しむことはなかったと思う。ただ、後悔しているのかと問われても、実のところよく分からない。
兎にも角にも、オレとスミレはこの日から“恋人同士”になった。
「オレが好きなんて、正気とは思えねぇよ。高校入ったばっかの、絵を描くしか脳がないクソガキだぞ」
「あんなセックスしておいて、今更そんなこと言う?じゃあ桔平はどうなの。ただ目の前にいたから、私を抱いただけ?」
即座に否定出来なかったが、スミレ以外の女だったら、そんな気持ちも起こらなかったと思う。こういうのが恋愛感情なのだろうか。
「私は桔平が好き。だから一緒にいたいし、また抱かれたい。さっきも言ったけど、たった3歳差で線引きしないで」
「線引きしてるわけじゃねぇけど」
「あんなことしたから、軽い女だって思ったの?」
その声が微かに震えていて、心臓を掴まれたような感覚が襲ってきた。
「もちろん、最初からそんなつもりで近づいたんじゃない。貴方の絵が魅力的だったから、どんな人が描いているのか気になったの。だけど話すうちに、絵とか才能だけじゃない、桔平自身に惹かれていった。強引だったかもしれないけど、仕方ないじゃない。好きになっちゃったんだから。ずっと桔平に触れたかったし、触れてほしかったんだから」
スミレの目が潤んでいる。いつも強気な女の涙を見て、心を乱さない男がいるのだろうか。少なくとも女に免疫がない高校生のオレにとっては、頭を鈍器で殴られたような衝撃だった。
自分でも泣くと思っていなかったのか、スミレは俯いて唇をかみ締めている。それを見て、体の奥から何かが這い上がってきた。性欲とも違う、妙な感覚。その時オレは初めて、スミレのことを心底可愛いと思った。
「ごめん」
謝ると睨みつけられたが、その表情すら可愛く感じる。普段は絶対に弱みを見せず毅然としていても、スミレはまだ19歳だった。
「どうして謝るの」
「泣かせたから」
「分かってるの?私がなんで泣いたか。分からないのに謝らないで」
「分かってるよ」
スミレに触れたいというこの衝動の正体は、一体何なのか。性欲ではなく、愛情なのだろうか。まったく分からない。それでも当時のオレは、この状況で衝動を抑えるほどの自制心は持ち合わせていなかった。
「オレのことが、好きだからだろ」
真っ直ぐ見つめてくるスミレにキスをして、そのまま床へ押し倒す。
スミレが肩書きも年齢も関係なくオレという人間そのものを見てくれているのは、痛いほどよく分かった。だからもう快楽に溺れようが、どうでもいい。スミレがオレを求めるなら、それに応えたい。必要として欲しい。オレは生きていていいんだと感じていたかった。
この時に踏みとどまれていたら、あんなに苦しむことはなかったと思う。ただ、後悔しているのかと問われても、実のところよく分からない。
兎にも角にも、オレとスミレはこの日から“恋人同士”になった。
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