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コカンガウヅク。ゼ

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 都会も田舎も、春の陽気に心が踊るのは一緒で。
ゴールデンウィークだから尚更テンションも上がる。

俺とアタルは、駅の近くにある商店街に向かっていたが、この辺りは住宅街だし田舎の俺の住んでいる風景と変わらない。

「こんなにのんびり歩くってことがないし、気づかなかったけど、二人だから散歩も楽しいんだな。」

俺が隣のアタルに言う。

『...それ、本気で言ってる?』
アタルは、首を傾げると俺の方を見た。その目がちょっと真剣で、俺は身構える。
こんな時に、なんかマジな目で見るなよな・・・


「...別に変な意味じゃないよ。本気とか、嘘とか、そんな風にとられると困る。」

『ま、そうだな。ゴメン。』


二人の間に変な空気が流れて、さっきまでの軽い足取りが急に重くなった。
アタルは俺を東京に呼んで、どうしようと思ったんだろう。自分が田舎に帰って来たって良かったのに・・・

「なあ、こっちで遊ぶツレとかいないの?」
俺が聞くと『たまに遊ぶ奴はいるけど。・・・どうして?』と首を傾げる。

「や、新しい友達と仲良くなれる時期だし、そいつと遊んだらいいのかな、って思ってさ。」

『・・・オレは勇人と遊びたかったの!別の奴の事は言わなくていいよ。』
急に口調が荒くなった。...怒らせた?!



商店街の中に小さなパンの店があって、そこで買った物を食べられるから、俺たちは一緒に珈琲を頼むと座った。

二人で向かい合い、パンと珈琲を口にするが、時折アタルの眼差しが痛いほど刺さるから、なんとなく落ち着かない。   

当たり障りの無い話をすると、店を出て又歩き出した。
商店街には惣菜の店があって、帰り道に買い物が出来るのは、田舎にいるより便利だと思った。
俺の田舎だと、車で走らないと大きなスーパーまでいけなくて、駅前なんかガランとしている。コンビニエンスストアがあるぐらいだ。

ぶらりと小さな本屋に入ると、アタルが急に俺の腕を引く。

「ぇ、なに?」
付いて行くと、奥まったコミック本の棚があって女の子向けの本が並んでいる。
・・・と、思ったけど、なにやら表紙が・・・

どう見ても、男と男とがくっついてる絵が...
まるで、女の子みたいな顔の男が、もう一人の男に抱き寄せられていて。

「ォ、い...これって?」
女の子達が学校に持って来て騒いでいたヤツ。
ビーエル本とか言う。

『これ、ちょっと読んだんだけどさ、結構面白い。』
そう言って一冊のコミックを手に取った。

「ぅわっ!マジかよ‼そんなの女子が読むヤツじゃん。恥ずかしいよ‼」
俺は、アタルの手からコミック本を取り上げると、棚に戻そうとする。
モチロン中身は見えないけど、表紙がイヤらしさを醸し出しているから。

なのに、アタルはそれをレジへと持っていった。ウソ!ウソだろー!

お金を払って表へ出ると、アタルが俺の耳元に顔を寄せて囁く。
『これ、読んでるうちに股間が疼くからな。マジで!』

「は?・・・そんな事言うなよな~。」

二人きりの部屋へ戻るの、恐くなンのに~


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