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いつかまた逢う日まで

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* * * 

 祐斗と二人で大阪を観光していると、あっという間に入学式の前日となる。

 大阪に来てからは狭いアパートのセミダブルのベッドで二人眠ったが、互いに身体を求める事はなかった。
口に出して云った訳じゃない。なんとなく、今までの関係のままでは別れが辛くなると思った。大事な親友は只のセフレとは言い難い。ただ、身体を繋げてしまったままじゃ安っぽい関係で終わってしまいそうだった。

「祐斗は俺の親友だし、何処に居ても祐斗が幸せでいる事を願ってるから」

 俺は祐斗が帰るという日にそんな言葉を送った。じゃあ、また、と気軽に手を振って別れたかったのかもしれないが、祐斗は俺の言葉に目を丸くすると次の瞬間「くっ、・・・・・」と堪える様に笑った。

「なんで笑う?人が真面目に云ってんのに」

 恥ずかしさと怒りで膨れっ面をした俺が云うと、「ごめん、悪ぃ。急に真面目な顔するから・・・」
祐斗は手を合わせる様にして俺に向き合うと云った。

「・・・・いいけど、俺は真面目に云ってるし」

 俯いたまま云う俺。祐斗は「マジでごめんって」と俯いた俺の顔を覗き込むと謝った。

「ハルキと仲良くなれた事は一番の宝だったよ。日本に戻って来て良かったって思えたし。でも、これからは別々の道を行く。オレの中ではいつまでもハルキが一番の親友。これからも忘れる事はない」

 祐斗が真剣な眼差しで云って来るからちょっと照れくさい。でも、気持ちは一緒だ。

「日本に来たら絶対俺の所に来いよな。待ってるからさ」

「ああ、もちろん」

 祐斗が俺の肩を抱く。しっかり抱き締めた腕は微かに震えていた気がした。


 夕方、東京行きの新幹線に乗って祐斗は戻って行った。
ホームで見送った俺は、涙が零れるかと焦って天井を見上げる。屋根の切れ目から見える空は清々しくて、3年間の祐斗との思い出はこれから俺の中で鮮明な記憶として残っていく。


 帰り道、俺はトンちゃんにメールを送った。
祐斗も会いたがっていたが、どうしても仕事の都合で顔を見る事は出来なかった。
いま、東京に帰って行った事を送ると、トンちゃんから『淋しくなるね』という返信が来た。
確かに寂しいとは思う。でも、まだこの先に出会えるチャンスはあるはず。もっと大人になって、お互いに出会った頃の話が出来る日が待ち遠しいと思う。





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