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73.夜空の下で
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ドッという音ともに額に穴が空き倒れた。
「ふぅ。ブラックウルフが多いな」
今は俺の見張りの番。
見張りはダン、俺、ウィンの三人で交代を受け持つことにした。
フルルとアリーは見張り当番をなしにした。
冒険者達の間では男女は平等。
どちらも見張りをきちっとするのが仕事の一環としている。
しかし、今回は依頼でもないしアリーは見張りをやった事がない。
フルルは暁の三人の時はやるそうだが、今回は俺がいるからな。わざわざやらせる必要も無い。
真ん中の時間というのは慣れていないと、なかなか厳しいものがあるんだ。
途中で起きてまた寝るという順番だから眠った気がしなかったりする。
俺は前世の訓練でその辺も問題なくいつでも寝られるし深い睡眠が出来るようにしてきた。何度も言うようだが、前世の忌々しい訓練がこの世界で役に立つというのも皮肉なものだな。
今は遠くから寄ってきたブラックウルフを察知し闇の弾を飛ばしていたのだ。
それでほぼ、事足りている。
空を眺めると綺麗な星々が輝いている。
日本にいた時は夜によく星を眺めていた。
星座とかは施設では触れることが無いため全く分からない。
眺めるときはあの星が一番光ってるなぁ。こっちのは二番かなぁといったふうに見ているのだ。
「テツさん、星を見てるんですか? 意外とロマンチストなんですね?」
「ロマンチスト? 何だそれは? 俺はそんなんじゃないぞ」
「ふふふっ。なにか……わかってないのに反論してるんですか?」
この暗がりの中でもアリーの笑顔は眩しい。
今は夜中だが、あまり寝むれないのだろうか。
「寝むれないのか?」
「寝てましたけど、なんか目が覚めちゃって……」
「そうか」
二人で星を眺める。
しばし沈黙の時間が過ぎた。
「テツさんて……前の世界で結婚してたんですか? あっ! 前に聞きましたっけ!?」
「いや……どうだったかな。前の世界ではずっと一人だった。友と呼べるのもヒロくらいなものでな」
「そう……なんですか。なんかよかった。前の世界も含めて、一緒に居たいと思ったのは私が初めてってことですもんね!?」
「そ、そうだな」
アリーの眩しいくらいの笑顔に目が眩み目をそらしてしまう。
頬が熱くなっているのがわかる。
耳もか。
「むふふぅ。光栄です」
再び視線を星に向けた。
前世では一人で星を見て、星のように輝けるだろうかと考えたことがあったんだったな。
今思えばおかしな話だ。
人を殺しておいて星のように輝こうなどとおこがましいにも程があるというもの。
俺にとってのアリーは、星よりも輝いていて、太陽の様に俺を照らしてくれる。
俺はアリーに照らされることで暗くならなくてすんでいるようなもの。
アリーがいなくなったら、影に逆戻りしてしまう。
「私、テツさんが来るまで、お母さんと二人でした」
アリーを見ると少し遠い目で星を眺めている。
少し顔に陰りがさす。
「自分が可哀そうな子って自分で思ってたんです。みんなに可哀そうにって言われてきたから。周りの人はみんなお父さんの知り合いの人ばかりでよく面倒を見てくれていたんです」
ガイさんは街での話を聞くと、とてもいい人で知り合った人に困ったことがあると必ず助けてくれたんだとか。
お人好しな面もあり、商人に騙されたことがあるそうだ。
だが、街の皆が商人を懲らしめて騙し取られたお金を取り返したんだとか。
「お父さんの子だから可愛がられている。そう思ってました。お父さんの子なら別に私じゃなくてもいいんじゃないかって……ひねくれてますよね」
俺は何も言えず、ただ、アリーを見つめる。
こんな時気の利いた一言が言えればどれだけいいだろう。
そういう所が欠けていると思うが、思いつかないのだ。
「こんなの言われても困りますよね? でも、テツさんが来て、私の気持ちは変わりました。テツさん、私なんかよりずっと暗い顔をして生きてました。そして、話を聞くたびに胸が締め付けられました」
「それは、すまなかった」
「違うんです。私、自分が可哀そうな自分を演じているんじゃないかってその時気付きました。テツさんのおかげで目が覚めたんです。そこからはテツさんと話して励ましているうちに自分も元気になってきて……」
「あぁ。感謝してるよ。励ましてくれて」
「そして……テツさんを好きだと……思うようになりました」
アリーからのストレートな告白に、ドキリッと胸が弾む。
心臓がドキドキしている。
ずっと一緒に居ようと誓っておきながら、正面から告白はしていなかった。
「あ、有難う」
「テツさんは?」
少し身体を近づけて聞いてくるアリー。
上目遣いに見つめてくる。
いい香りがする。
「アリーが好き……なんだと思う。俺はこの気持ちがなんなのかよくわかっていないんだ」
「そうですよね。ずっと一人だったから」
「そうだ。だが、アリーといると胸がいっぱいになる。それに、笑顔を見るとドキドキする。これが好きという事なのだとしたら、好きなんだと思う」
「ふふふっ。言い方が可愛くありませんね?」
「む? すまない」
その時、後ろで気配がした。
咄嗟に振り返る。
「おぉっ! いきなり振り返るからビックリしました。交代の時間ですよ。アリーさんとラブラブタイムでした? 邪魔してすみません」
「いや、いい。有難う。アリーもひと眠りするか?」
「そうですね」
アリーとの二人の時間はドキドキして。
二人の仲を深める時間となった。
「ふぅ。ブラックウルフが多いな」
今は俺の見張りの番。
見張りはダン、俺、ウィンの三人で交代を受け持つことにした。
フルルとアリーは見張り当番をなしにした。
冒険者達の間では男女は平等。
どちらも見張りをきちっとするのが仕事の一環としている。
しかし、今回は依頼でもないしアリーは見張りをやった事がない。
フルルは暁の三人の時はやるそうだが、今回は俺がいるからな。わざわざやらせる必要も無い。
真ん中の時間というのは慣れていないと、なかなか厳しいものがあるんだ。
途中で起きてまた寝るという順番だから眠った気がしなかったりする。
俺は前世の訓練でその辺も問題なくいつでも寝られるし深い睡眠が出来るようにしてきた。何度も言うようだが、前世の忌々しい訓練がこの世界で役に立つというのも皮肉なものだな。
今は遠くから寄ってきたブラックウルフを察知し闇の弾を飛ばしていたのだ。
それでほぼ、事足りている。
空を眺めると綺麗な星々が輝いている。
日本にいた時は夜によく星を眺めていた。
星座とかは施設では触れることが無いため全く分からない。
眺めるときはあの星が一番光ってるなぁ。こっちのは二番かなぁといったふうに見ているのだ。
「テツさん、星を見てるんですか? 意外とロマンチストなんですね?」
「ロマンチスト? 何だそれは? 俺はそんなんじゃないぞ」
「ふふふっ。なにか……わかってないのに反論してるんですか?」
この暗がりの中でもアリーの笑顔は眩しい。
今は夜中だが、あまり寝むれないのだろうか。
「寝むれないのか?」
「寝てましたけど、なんか目が覚めちゃって……」
「そうか」
二人で星を眺める。
しばし沈黙の時間が過ぎた。
「テツさんて……前の世界で結婚してたんですか? あっ! 前に聞きましたっけ!?」
「いや……どうだったかな。前の世界ではずっと一人だった。友と呼べるのもヒロくらいなものでな」
「そう……なんですか。なんかよかった。前の世界も含めて、一緒に居たいと思ったのは私が初めてってことですもんね!?」
「そ、そうだな」
アリーの眩しいくらいの笑顔に目が眩み目をそらしてしまう。
頬が熱くなっているのがわかる。
耳もか。
「むふふぅ。光栄です」
再び視線を星に向けた。
前世では一人で星を見て、星のように輝けるだろうかと考えたことがあったんだったな。
今思えばおかしな話だ。
人を殺しておいて星のように輝こうなどとおこがましいにも程があるというもの。
俺にとってのアリーは、星よりも輝いていて、太陽の様に俺を照らしてくれる。
俺はアリーに照らされることで暗くならなくてすんでいるようなもの。
アリーがいなくなったら、影に逆戻りしてしまう。
「私、テツさんが来るまで、お母さんと二人でした」
アリーを見ると少し遠い目で星を眺めている。
少し顔に陰りがさす。
「自分が可哀そうな子って自分で思ってたんです。みんなに可哀そうにって言われてきたから。周りの人はみんなお父さんの知り合いの人ばかりでよく面倒を見てくれていたんです」
ガイさんは街での話を聞くと、とてもいい人で知り合った人に困ったことがあると必ず助けてくれたんだとか。
お人好しな面もあり、商人に騙されたことがあるそうだ。
だが、街の皆が商人を懲らしめて騙し取られたお金を取り返したんだとか。
「お父さんの子だから可愛がられている。そう思ってました。お父さんの子なら別に私じゃなくてもいいんじゃないかって……ひねくれてますよね」
俺は何も言えず、ただ、アリーを見つめる。
こんな時気の利いた一言が言えればどれだけいいだろう。
そういう所が欠けていると思うが、思いつかないのだ。
「こんなの言われても困りますよね? でも、テツさんが来て、私の気持ちは変わりました。テツさん、私なんかよりずっと暗い顔をして生きてました。そして、話を聞くたびに胸が締め付けられました」
「それは、すまなかった」
「違うんです。私、自分が可哀そうな自分を演じているんじゃないかってその時気付きました。テツさんのおかげで目が覚めたんです。そこからはテツさんと話して励ましているうちに自分も元気になってきて……」
「あぁ。感謝してるよ。励ましてくれて」
「そして……テツさんを好きだと……思うようになりました」
アリーからのストレートな告白に、ドキリッと胸が弾む。
心臓がドキドキしている。
ずっと一緒に居ようと誓っておきながら、正面から告白はしていなかった。
「あ、有難う」
「テツさんは?」
少し身体を近づけて聞いてくるアリー。
上目遣いに見つめてくる。
いい香りがする。
「アリーが好き……なんだと思う。俺はこの気持ちがなんなのかよくわかっていないんだ」
「そうですよね。ずっと一人だったから」
「そうだ。だが、アリーといると胸がいっぱいになる。それに、笑顔を見るとドキドキする。これが好きという事なのだとしたら、好きなんだと思う」
「ふふふっ。言い方が可愛くありませんね?」
「む? すまない」
その時、後ろで気配がした。
咄嗟に振り返る。
「おぉっ! いきなり振り返るからビックリしました。交代の時間ですよ。アリーさんとラブラブタイムでした? 邪魔してすみません」
「いや、いい。有難う。アリーもひと眠りするか?」
「そうですね」
アリーとの二人の時間はドキドキして。
二人の仲を深める時間となった。
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