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6.初戦闘

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「じゃあ、そろそろフィールドに出るかぁ。まずは、東の草原でホーンラビットと、グリーンウルフを狩ってみようぜ!」

 東の門に向かって歩いていく。
 ガントに続いて歩く。
 道順よく覚えてるな。

 そう思ったのには理由があって。
 実は町は結構複雑な作りになっていて道を覚えるのが最初は困難らしい。

 これには一応設定上の理由があるらしく。
 なんでも、攻められた時に敵が道に迷って時間が稼げるようにした。
 というのが公式で語られる設定らしい。

 考え事をしていたらもう外だ。
 初めて外に出るな。

 門を潜るとそこには広大な草原が広がっていた。
 青々とした草木が生い茂り。
 ユラユラと風に揺られながら生きていることを感じさせる。
 綺麗な青空が広がっていて、草原と相まって心が浄化されるようだ。

 リアルでは滅多に見れない景色に思わず見蕩れる。

 すげぇ。ゲームでこんな景色見れるなんて思わなかった。色んなフィールドがあるんだろうしなぁ。色々巡ってみるのも良いかもなぁ。

「さ、行こうぜ!」

 ガントは先陣切ってスタスタ歩いていく。慣れてるなぁ。
 俺の感動を返せ。
 まっ、俺もその内そうなるんだろうけどさ。

 草原を進んでいくと早速モンスターが現れた。

「おっ。いたぞ! ホーンラビットだ! 1匹しかいないから倒してみろよ!」

「あぁ。やってみる!」

 急な申し出だったが、俺も戦ってみたかった。
 拳を構えステップを踏む。
 前後に揺れながらタイミングを見計らう。

ビュッ!!

 ホーンラビットが角を向け、俺の顎目掛けて跳ねてきたところを、上半身を反らして何とか躱す。

 あっぶねぇ!
 いきなり急所狙ってきやがった!

 着地し、反転してすぐまた跳ねてきた。
 今度はサイドステップで危なげなく躱す。

 何とか慣れてきたな。
 見えるな。

 次は仕留められるかもしれない。
 再度はねてきた所でタイミングを見極め、拳を突き出す。

「ピギャ」

 ホーンラビットを地面に叩きつけた。
 HPが三分の一減っている。

 有難いことにモンスターの残りHPが分かるような仕様になっているみたいだ。
 これならペース配分も分かるしすげぇ有難い。

 ふぅ~。落ち着いていけば勝てるな。

 ホーンラビットは懲りることなく。
 再びピョンピョンと跳ねながら攻撃の機会を伺っている。
 少し跳躍にタメが入った。

 今だ!

 そう思い突きを放った。
 だが、俺の思惑とは裏腹にピョンとバク宙したのだ。

 タイミングをズラされた!
 そう思った時には既に遅く。

ドスッ

 腹に一発食らった。
 ここで衝撃だったのは、痛みを感じた事。

「いってぇ」

 腹を角で刺されたから痛いのは当然だろう。
 けど、まさか痛みまで再現されているなんて。
 凄すぎる。

 それならそれでそこまで感覚がリアルに近いって事なんだよな。
 五感を研ぎ澄ませるんだ。
 集中しろ。

 最初の敵だからそんなに強くはないんだろうけど、今の俺はまだまだ弱い。
 弱いなりに真剣に戦うんだ。

 ホーンラビットは俺を嘲笑うかのようにピョンピョン左右に跳ねている。
 こんな所で負けてられねぇ。

 またタメが入る。
 今度こそ!

「ふっ!」

 左の突きを放つとあちらもまたバク宙をする。
 ウサギが笑った気がした。
 そんなの分かってんだよ!
 
 どっちにも対応できるようにしたまでだ!  
 俺も学習はするんだよ!……ここだ!

「はっ!」

ドガッ!

 渾身の 回し蹴りがホーンラビットの首に決まった。
 ポーンッとボールのように飛んでいき、地面に落ちると動かなくなった。

――――――――
CriticalHit!
――――――――

 ホーンラビットは光の粒子となって消えていった。
 俺だってフェイントが使えるんだ。
 でも、まさかモンスターがフェイント使ってくるなんて思わなかった。

 モンスターまでクオリティが高いなんてすげぇゲームだな。
 ただ単純に攻撃してくるだけじゃねぇんだ。

 ま、なんとかなったな。

「おぉー。流石にこの位じゃ苦戦しねーな」

「どこ見てたんだよ? 見事にフェイントに引っかかったじゃねぇか!」

「ハッハッハッ! ありゃ最初だったら誰でも引っかかるわ! 誰が、モンスターまでフェイント使ってくると思うんだよ!」

「だよな? 俺だけじゃなかったか。良かった」

 やはりみんな最初はあのフェイントに引っかかるらしい。
 あそこまで高度な事をしてくるとは最初は思わないよな。

「ドロップ確認してみろよ!」

「あぁ。えーっと……」

「ウインドウ開くとリザルトって所があるから、それをタップな」

「おぉ。なるほど」

――――――――――――
・ホーンラビットの肉×2
――――――――――――

「肉が手に入ってる。自動でインベントリに入るんだなぁ」

 ドロップを確認していると、後ろで見ていたモー二達が声を掛けてきた。

「流石ねぇ。やるじゃない。ホントにスランプなの?」

「フーマ……戦い慣れてる」

「いやぁ、これ位で試合勝てたら苦労しないんだって」

「ふーん。空手の試合ってそんなにシビアなの? 今度応援いってあげようか? そしたら勝てるんじゃない?」

「なんでモーニが応援に来ると勝てるんだよ!? 自惚れるな!」

「何よぉ!? 折角行ってあげるって言ってるのにぃ!」

 揉めつつも、四人は次のモンスターを求めて探しにいくのであった。
 
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