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しおりを挟むユラが教室で友人たちと話していると、いきなり名前を呼ばれた。
「隣国から来たユラって女はどこ?」
「私ですが?どちら様でしょうか?」
「ふ~ん。あんたね。」
そういうと、いきなりユラの頬に平手打ちをした。
「この泥棒!あなたのせいでアレン様との婚約が解消になったわ。どうしてくれるのよ!」
「あの?アレン様とはどなたですか?」
「何しらばっくれてるの?王太子の執務室勤務のアレン様よ。何度もあったことあるんでしょ?」
「いえ、執務室には行ったことはありませんので。」
「じゃあ、何であんたをかばったのよ!」
「よくわからないのですが…経緯を教えて下さいませんか?」
「あんたが傷物になったことで婚約者候補から外れてみんなで喜んだって話をしたら失望したって。
だからあんたのせいよ!」
(いやいや、それは婚約解消されるだろ?)
(ひどいわ)
(自業自得よね)
(誰だってかばうだろ)
クラスメイトのヒソヒソ声が響く。
「うるさいわよ!」
下級生の教室にいきなりやってきて声を荒げているあなたが一番うるさい。誰もが思った。
「私、傷物でもありませんし、婚約者候補でもありませんが?」
その時、先生が現れた。
「話が聞こえましたが、何ともひどい言いがかりですね。
それと、学園内での暴力沙汰は許しません。来なさい。」
令嬢は先生に連れて行かれた。…だから、誰だったの?
その後、カロリーナは一か月の停学になったが、停学が明けても学園に来ることはなかった。
しばらくして、彼女は修道院に行くことになることが決まった。
王太子は、この件を皮切りにカロリーナのいたグループの令嬢たちを更に詳しく調べた。
シルビアにもユラの件にも繋がるはずだ。
シルビアの療養が毒によるものだと思っていることが何よりの証拠だ。
手の空いた諜報員たちをあちこちに送り込む。
大筋の犯人はわかっている。あとは確実な証拠とユラを襲うつもりだった男たちだ。
6人、相手方の手の者がいる。その中の誰だったかだ。
アレンは、王太子にユラに会ってカロリーナの件を詫びたいと言った。
しかし、ユラはカロリーナのことを知らなかったし、その婚約者だったアレンも知らない。
アレンが閉じ込められた時に助けた相手だと知らない。そう説明された。
アレンは思い切って王太子に聞いた。
「私の身分では、やはりユラ様には相応しくないと思われますか?」
ユラは隣国の公爵家の娘。しかも、隣国の方が大国なのだ。婚約は破談にすると聞いたが…
「お前…はぁ。ユラはようやく婚約者だった男との婚約破棄が決まった。
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婚約破棄を絶対条件として親に後を任せてユラは身を守るために逃げてきた。
愛人が男の子を産んで、ようやく向こうも諦めたんだ。
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…ユラ次第だ。ユラがお前を受け入れれば認められるだろう。」
「ユラ様にお会いできる機会をいただけますか?」
「ああ。言っておくが、愛人も浮気も認めない。叔父上に殺されるぞ?」
「もちろんです。」
ようやくユラに会える。
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