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しおりを挟むそしてミルフィーナの18歳の誕生日。
パトリックは自分の立っているところから彼女に向かってできた道を、ゆっくりと歩いた。
ミルフィーナの顔を、そして密かにルナセアラの顔を見ながら。
その顔を見て、パトリックは決意した。
パトリックはミルフィーナの前を通り過ぎ、彼女の斜め後ろに立っていた彼女の妹、ルナセアラの前に跪いた。
そして右のポケットから指輪を出し、ルナセアラに求婚した。
「ルナセアラ嬢、私と結婚してください。」
パトリックは左のポケットにミルフィーナが望んだダイヤモンドの指輪を、右のポケットには自分の目の色と同じサファイアの指輪を忍ばせていた。
ルナセアラに出したのは、ミルフィーナに渡そうと思っていたダイヤモンドではなく、パトリック、そしてルナセアラの目の色と同じ青い石、サファイアの指輪だった。
ちなみにミルフィーナのダイヤモンドの指輪は、昨年のルビーをダイヤモンドに変えただけ。
石を取り換えただけである。
サファイアの指輪の方は、違うデザインで新たにつくられたものだ。
「お受けいたします。」
ルナセアラに求婚したパトリックも、それを受けたルナセアラも、もう後には戻れないと覚悟を決めた。
さあ。本当の見世物はここからだ。
ミルフィーナがこちらの思惑通りに上手く演じてくれればいいが。
「ミルフィーナ嬢、あなたのお陰でルナセアラ嬢に求婚を受け入れてもらえました。感謝いたします。」
パトリックがそう言うと、ミルフィーナは笑顔のままだが目だけは戸惑っているのがわかり、声を荒げて非難してくる様子もなかった。
「あなたは内気なルナセアラ嬢と私が親しくなれるように気遣ってくれていたのですね。『妹に婚約者ができるかどうか不安だ』とあなたは以前おっしゃいました。
あなたと約束をしてもルナセアラ嬢が代わりに相手をしてくれていました。
私に彼女の心を掴めと勧めてくれていたのだと、ようやく気づくことができました。
私が鈍感なために時間がかかってしまいました。
ルナセアラ嬢に求婚を受け入れて貰えたのもあなたのお陰です。ありがとうございます。」
パトリックがそう言うと、周りは『そういうことだったのか』と驚き、そしてミルフィーナが求婚を断り続けたことにも納得しているようだった。
当の本人、ミルフィーナは一瞬、顔を引きつらせたが笑顔で言った。
「よかったわ。2人が両想いになれて。私も手を貸した甲斐があったわ。おほほほほ……」
ミルフィーナも、もう後には戻れなくなった。
パトリックの望んだ通りになった。
こうして心の赴くままにした5度目の求婚は成功した。明日17歳になるルナセアラによって。
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