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しおりを挟むそもそも、なぜパトリックがミルフィーナに求婚することになったのか。
それは13歳の頃に遡る。
1歳年上のオリバー第二王子殿下の婚約者候補にエメット公爵家ミルフィーナの名が挙がった。
しかし、このオリバー殿下。ミルフィーナの好みではなかった。
オリバー殿下は茶髪翠眼。ミルフィーナの好みは金髪碧眼だったらしい。
小さい頃から好きな絵本の王子様の容姿が彼女の好みなのだ。
そんな彼女はオリバー殿下の婚約者になるのは嫌だと騒いだ。
『私はパトリック様の婚約者になるのっ!』
お茶会で出会ったハリールス侯爵家パトリックはミルフィーナの好みのど真ん中。
しかも名前まで絵本の王子様と同じだったとか。
そんなこんなでオリバー殿下とミルフィーナの婚約は名前が挙がっただけで無くなった。
もちろん、オリバー殿下の婚約者候補はミルフィーナの他にも数人挙がっていたので望んでいない令嬢と顔合わせする必要もないだろうということになったらしい。
しかし、ミルフィーナの発言で驚かされたのはパトリックのいるハリールス侯爵家だった。
『ミルフィーナと婚約するよな?』
そうエメット公爵家から見えない圧力を感じるようになったのだ。格上からの圧を。
そして届いたミルフィーナ嬢14歳の誕生日パーティーの招待状。
ミルフィーナは、ここでパトリックが公開求婚をすることを望んでいるということだった。
『ミルフィーナの好きな花は薔薇、好きな色はオレンジ』
つまり、オレンジ色の薔薇を渡して求婚しろという指示だと受け取ったハリールス家はその通りにした。
同じく14歳だったパトリックは公開求婚に釈然としないが、これも格上との政略結婚のため仕方ないかと諦めて、親の指示に従ってミルフィーナに求婚した。
「ミルフィーナ嬢、僕と婚約してください。」
オレンジ色の薔薇を見たミルフィーナは、パトリックに言った。
「えぇ?どうしてオレンジ色なの?まぁ、誕生日プレゼントとして受け取るわ。また来年、求婚してね?」
パトリックはもちろん、両親も意味がわからなかった。
婚約を望んだのはミルフィーナだったのでは?
オレンジ色を指定したのはエメット公爵家だったのでは?
翌日、パトリックと両親は、再びエメット公爵家を訪れた。
ミルフィーナはああ言ったが、婚約がどうなるのかを話し合うためだ。
両親は公爵夫妻と、パトリックは庭でミルフィーナを待つように言われた。
庭園の四阿でミルフィーナを待っていると、現れたのはミルフィーナの妹、ルナセアラだった。
「パトリック様、ごめんなさい。お姉様が私に行って話してくるようにって……」
「……そうか。いいよ。話をしよう。」
ルナセアラはホッとした顔でパトリックの向かいに座った。
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