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しおりを挟むなんだか自分がすごく間抜けだな、ディクソンは思った。
妻として大切に思っているローディアが初恋だったなんて。
夜会で、ダンスに誘われたローディアが踊っているところを見ながら、ため息をついた。
あれから密かにローディアの動向を調べたが、浮気相手は今は3人だと思う。
父、ライボルト、そしてもう一人の誰か。
一夜の遊びはしない。
月に2度、昼間に出掛ける様子から、父以外に2人だと判断した。
ライボルトは月に1度だと言ったから、月に1度がもう一人いるのだ。
できればこれ以上増やしてほしくない。
ディクソンは、初恋がローディアと聞いてから初恋探しをやめた。
誰を見ても『いいな』と思わない。
どんなに探しても、ローディア以上に『いいな』と思える女性なんているわけがないんだ。
誘われても、一夜の遊びすら気が乗らない。
それどころか、下半身のモノが反応しなくなっていることに気づいた。
これは、ユアリーザとの行為の最中で萎えたことが大きな原因になっていると思う。
精神的にやられてしまい、閨事に対して恐怖心を抱いてしまったのだ。
そのうち元に戻るとは思う。……そう信じている。
しかし、愚かな自分への戒めとして、受け入れている。
美しく魅力的な妻、ローディア。
この1年で更に輝いたように見える。
悔しいが、ディクソンだけでは引き出せなかった色気が滲み出ているのだ。
彼女の浮気を止めるはできないし、してはいけない。
彼女の愛を偽物だと言ったのは自分だから。
『本物の恋も偽物かもしれない』といつかライボルトが言った。
浮気で本物の恋かどうかをどう判断できると思っていたのか。今思えば滑稽だな。
ディクソンが初恋探しをすると思っているから、ローディアは先に帰るだろう。
そして父の部屋へと向かうはずだ。
2人が体を繋げるのは週に一度ほど。
ローディアの浮気相手としては一番頻度が高いのだ。
ディクソンは2人の邪魔をしないよう、夜中にこっそりと部屋へ戻った。
「ディクソン、何か悩んでいるのか?」
執務の途中、2人きりになって父が話しかけてきた。
「あー……そうです、ね。実は……」
ディクソンは、ユアリーザのことがきっかけで性的不能状態になっていることを父に話した。
「精神的なものだとわかっているのですが……ローディアにも反応しなくて。」
「なるほどな。それはつらいな。」
「ローディアが浮気相手を増やしてしまわないか、そう思ってしまって。」
父は眉をひそめた。浮気相手が何人いようが、夫が非難していいことではないと言いたいのだろう。
「……お前、ローディアとの閨事はどれくらいの頻度だったんだ?」
「週に一度?」
「……若いのに意外と淡泊だったんだな。」
そうなのだろうか。子供2人の妊娠期間や出産後しばらくは体を繋げられなかったことを考えると、ローディアとの閨の回数は確かに多くないかもしれない。
特にこの一年は、明らかに父の方がローディアを抱いているだろう。
「ローディアを独り占めできないことはわかっているが、ローディアに触れる男が増えるのも嫌、か。」
「……はい。」
「何人いるのか把握しているのか?」
「……父上と、ライボルトと、あと一人。」
「ああ、なるほど。そのもう一人は私が紹介した男だろう。」
「え……?父上が?」
まさか、父がローディアに浮気相手を紹介していたとは思わなかった。
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