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ローディアは自分の体と相性のいい20代(ライボルト)、30代(義父の紹介)、40代(義父)、と浮気を楽しんでいたが、ディクソンはさっぱりだった。
 
それどころか、夜会やパーティーに参加するたびに、ローディアのことを聞かれたりする。
可能であれば休憩室に連れ込みたいと思っている男は多く、だが同意がなければ強引に誘うようなことはほとんどない。
ダメなら次。一夜の快楽を求める男は切り替えも早いのがこの国の男たちの特徴でもある。
そのため、強姦などは数年に一度あるかないかなのだ。

 


「なぁ、ローディアってすごく人気があるんだな。」


ディクソンは友人のライボルトにそう言った。
まさかライボルトがローディアの浮気相手の一人になっているとはディクソンは思いもしないのだ。


「今更何を言っているんだ?学生の頃からそうだったじゃないか。美人で優しくてスタイル抜群で。お前を羨んでいた男は大勢いたな。俺もその一人だ。今じゃ父親世代から10代の未婚の男まで狙ってるな。」

「……ローディアはどうして僕を選んだのかな。」

「別に彼女が選んだわけじゃなくて政略結婚だろう?」

「そうだけど、ローディアならうまく婚約解消にもっていくこともできた気がして。」

「お前、本気で言ってるのか?政略結婚でもローディアはお前のことが好きになったんだろうが。
それに、亡くなったお前の母親がお前のことを頼むってローディアに言ったんだろう?
落ち込んだお前を献身的に支えていた姿は健気だったよ。お前は当たり前のように思っていたんだろうがな。」
 

婚約者なんだから支えてくれるのは当然だとまでは思っていなかったけど、確かに母親を亡くした後はしばらくボーっとしていていつもローディアが助けてくれていた。
ローディアが迎えに来てくれなければ、そのまま学園にも行かなかったかもしれないほど。
見捨てられてもおかしくないほどに頼っていたのを思い出した。


「政略結婚なのに好きになってくれたのは、結婚生活を円満に過ごす上のことだろう?」

「何言ってんだかわかんねぇ。政略だろうが恋愛だろうが、円満に暮らす努力は誰だってするだろう?」

「だけど、政略は自分で選んで好きになった相手じゃないから、偽物の好意だと思うんだ。」

「意味わかんねぇ。じゃあ、何が本物なんだ?」

「自分が選んだ相手と恋に落ちること。」

「……ん?結局、なに?お前はローディアへの好意が偽物だから、本物の恋を探すために浮気し始めたってことか?」

「そう。初恋を探そうとしてるんだけど、なかなか相手が見つからない。例の夫人たちに絡まれるか、ローディア狙いの男たちに紹介を頼まれるかばっかりだから。」

「ふ~ん。本物の恋の相手が見つかれば、離婚するとか言わないよな?」

「まさか。子供たちがいるんだ。そんなつもりはない。」

「だよな。ローディアと子供たちを引き離すような愚かなマネをするんじゃねえぞ?
浮気は遊びだ。本物の恋も偽物かもしれないぞ。」


ライボルトはそう言って離れて言った。

『本物の恋も偽物かもしれない』

ディクソンはその言葉が耳に残った。

 

 
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