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しおりを挟む参加した夜会で、ディクソンとローディアがダンスを踊ることなく別行動をとり始めたことに気づいた者はそれなりにいた。
まだ未婚の男たちは、一夜の遊びができる夫人を探すために目を光らせている者もいる。
しかし、若い男と遊ぶのは比較的年上の夫人が多いのだ。
ローディアみたいな若い夫人は夜会の最中に関係を持つことを嫌がり、後日に宿で関係を持つ。
それは大体、既婚の大人の男に誘われて約束をかわす。
だが、未婚の男たちは休憩室に連れ込める夫人を探しているからだ。
性欲の発散と経験値を積むために。
ローディアは視線を感じていたが、誰も相手にしなかった。
自分を安売りしない方がいいと義父に言われたからだ。
そして仲の良い友人の元へと向かった。
「ローディア様、ひょっとして……?」
「ええ、そうね。」
「まあっ!すごく見られているわよ?最初は誰か狙っている方はいるの?」
「実はもう経験済よ。」
「そうなの?!……どうだった?やっぱり相手が違うと変わるもの?」
友人マイラは興味津々だった。彼女は子供をもう一人産んだら浮気すると言っている。
「全然違ったわ。とても……満足だったわ。」
暗にディクソンが下手だとわかったのだと言っているのだが、マイラは納得したようだった。
ディクソンの評判は、徐々に伝わることだろう。
中には自分が教えたいいう夫人もいて、そういう方の餌食になる。……それもいいと思う。
マイラが離れた隙に、ライボルトという侯爵令息がやってきた。
彼はディクソンの友人でありながらも、学生時代にローディアに告白してきた男だった。
「ローディア、一度だけ、誘いを受けてくれないか?」
「……わかったわ。」
ライボルトは日時と場所を囁いてローディアが頷くと去って行った。
ローディアは、自分と同年代の男を相手にするつもりはなかった。
しかし、ライボルトだけは別だった。
彼は学生時代、情熱的にローディアを口説いていて、ディクソンにも婚約解消を頼んだほどだ。
ディクソンは冗談だと思っていて受け入れなかったが、ローディアの心は少し揺れた。
ディクソンのことは好きだったが、ライボルトほどの情熱を感じなかったからだ。
ローディアはディクソンの婚約者でありながら何人にも告白されたが、心が揺れたのはライボルトだけだった。
その彼が、今でもローディアを望んでくれていることが嬉しかった。
『一度だけ』
それはディクソンの友人であるからこそ、背徳感のある響きだった。
視界の端に、15歳ほど年上の夫人に腕を組まれてホールから出ていくディクソンが見えた。
捕まってしまったのだろう。初恋探しどころではないのが気の毒だ。
女を悦ばせる術を、彼女から大いに学んでくれればいい。
ローディアは今から浮気をするディクソンを見ても、嫉妬も執着も何も感じない自分に笑った。
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