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しおりを挟むマチルダはローゼマリーの考え方が変わったことが許せないようだった。
「いったい、どうしちゃったの?私たち、親友じゃない。いろいろ教えてあげたでしょう?ローゼマリーも私と同じ考えだったでしょ?」
「私、勘違いしていたの。世間知らずだから、マチルダの言うことが当たり前のことだと思ってしまっていたけれど、どちらかと言えばマチルダの考え方は少数派みたいなのよね。
私は双方の意見を聞いてみて、マチルダの考え方は私とは合わないってわかったの。ロベルトも私と同じ考えみたいだし、だから私たちと一緒にいても、もう楽しくないと思うわ。」
「え……?ロベルトも?」
「ええ。彼は私があなたと友人になったから側にいてくれただけなの。あなたたちが婚約者同士で一緒にいたから。マチルダが休みの時とか、私とグレッグが二人きりになるなんて変でしょ?」
「だけど、友人だし。」
「私は困るわ。グレッグと噂になんてなったら。そう思ったら、やっぱり異性の友人って難しいわ。」
「ロベルトは私のことを友人と思ってくれているわ。」
マチルダはなかなか引き下がらなかった。なので、ロベルトがいつの間にか側に来ていた。
「すまないが、君のことは単なるクラスメイトとしか思っていないかな。ローゼマリーに付き合って君たちと一緒にいたけれど、気も合わないし、話の内容は興味ないし、正直言ってこれ以上は時間の無駄だと思っていたんだ。今後は用がある時以外、話しかけないでもらっていいかな。名前の呼び捨てもやめてくれ。」
うわー。ロベルト、言っちゃったわ。
でもわかるかも。
単なるクラスメイトの異性が用もないのに話しかけてきたら『何で私?その話、私にする意味ある?』って思ってしまうかも。名前の呼び捨ても親しくなければ不快よね。
言い方が悪いけど、友人になるにもお互いに利となるものがあるべきなのよね。お互いよ?
マチルダやグレッグにはあっても、ロベルトには何も得るものがないとしたら友人関係は無理よね。
そうはっきりと言ってしまったのよね。
マチルダは私に、いかにも彼女の言うことが常識であるかのように話していたから『いろんなことを教えてくれる頼りになる友人』だと思っていたけれど、どちらかと言えば非常識を教わっていたなんて自分が愚かだったわ。
ロベルトは気づいていたはずなのに、教えてくれなかった。
多分、少しの間は私の思い通りにしたらいいと見守っていた。期限つきでね。
マチルダとグレッグの二人と友人として遊ぶ時間は終わりだとロベルトは判断したわ。
私もそれに納得した。
だから、ごめんね。
今日からは単なるクラスメイトとしてよろしくね。
友人から知人落ち……だけど。
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