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しおりを挟む元公爵令息ランドールは王太子と同じ年。爵位も高く友人に選ばれた。
婚約者は従兄妹のアンジュ。
父が投資で大損害を出して、公爵家は金に困った。
逆に叔父は裕福になり、援助金を得るための婚約であった。
アンジュは僕より頭がいい。それが少し気に喰わない。
だけど美人だし優しい。
ある日、泣いている令嬢がいた。噂の男爵令嬢だった。
確かに可愛いけど、アンジュの方が好みだな。
騎士2人が男爵令嬢を連れてきた。嫌がらせ?またか。
ん?手を擦りむいている?仕方ない。
ハンカチを渡してやると、手を握ってお礼を言われた。
彼女の目を見ていると、『頼られたい』と思った。
気がつけばケイトリンはみんなに馴染んでいる。
自分だけが頼りにされたかったけど、今はこれでもいいかな。
リオネルが急に僕たちのそばから離れると言い出したけど、ライバルが減ったと思った。
父が、僕に魔法がかかっていないか調べさせた。魅了?そんなんじゃない。
アンジュがケイトリンとの仲を疑う。まだそんな関係じゃない。
まだ?僕はケイトリンとそういう仲になりたいのか。
こっそりデートに誘ってみた。喜んでくれてる。
人に見られたらうるさいからな。
知り合いの店でランチを食べた。個室だから安心だ。
2人きりだとケイトリンは甘えてくれるのか?距離が恋人同士だ。
そうか。デートを受けたってことはそういうことか?
キスしたいと言うと、目を閉じて待っている。
夢中でキスしながら服の上から胸を触ったら、ここでは人が来ると言う。
え?ホテルならいいってこと?
移動してホテルで優しくケイトリンを抱いた。
彼女は純潔ではなかった。男爵令嬢だからな。まぁ、仕方ない。
だけど、週に1度、彼女と甘い時間を過ごすようになった。
父親は、何度もに言い聞かせる。
『婚約破棄をすると、跡継ぎでなくなるお前にケイトリンが振り向くはずがない』と。
アンジュを大切にしろ。そう言う。
そうか?ケイトリンならそばにいてくれる。
それに、アンジュは優しいから僕が夫にならなくても仕事をくれるさ。
そういうと、正気を疑われて部屋に閉じ込められた。
ケイトリンに会えないのは困る。
頭を働かせ、ランドールはアンジュを大切にすると言えば部屋から出してもらえた。
この機会を逃すわけにはいかない。
僕はみんなの前でケイトリンにプロポーズした。受けてくれるだろう?
すると、他の3人もプロポーズをする。
ケイトリンを困らせるなよ。
いきなり現れた男がケイトリンを刺した。
え?何で?
ケイトリンは血まみれだ。刺した男に微笑んで死んだ。
嘘だろう?あ、僕を待ってるよね。すぐ行くから待ってて。
え?ケイトリン?
今思えば、閨事に慣れてたなぁ。愛人狙いだったのかな?
やっぱり高位貴族の令嬢みたいに貞淑じゃないと結婚するのは不安だね。
その点、アンジュは心配なさそうだ。
早く戻ってアンジュと結婚しなきゃ。
え?公爵家の籍を抜かれてる?
アンジュが公爵家を継いで、すでに結婚して子供もいる?
え?
あれから5年?
………………………アンジュは僕に仕事くれるかな?きっと僕を待っててくれてるよ?違う?
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