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いつの間にかケイトリンと5人は一緒に過ごすことが増えた。

そうなると、それぞれの婚約者は不快に思う。

婚約者との毎月のお茶会の約束を忘れたことで親にも話が伝わったのは公爵令息リオネル。
彼は自分の婚約者を溺愛していた。それを思い出したリオネルは何かがおかしいと思った。

自分の親と婚約者の親に、なぜかケイトリンのそばにいなければならないと感じたこと。
婚約者であるコーデリアのことがしばらく頭になかったことを話した。
コーデリアへの愛情を思い出した今は全くケイトリンのそばに居たくないと言い、王太子のそばからも離れたいとまで言った。


ケイトリンが禁術である『魅了』を使ったのではないか? 

 
リオネルの言うことを信じた父親の公爵は、国王陛下に伝えた。

しかし、ここ百年ほど魅了の犠牲者がいないため、国王陛下は信じられない。
そのため、王太子アレクシスに何か魔法をかけられた痕跡がないかを調べてもらったが、何も反応が出なかった。

王太子の婚約者は隣国の王女。16歳。
会う機会は少ないが、手紙や贈り物をして交流はあった。
しかし、会えない婚約者より近くにいる女性に好意を抱くのは仕方のないことだとも思っていた。

『学園にいる間だけ、少しくらい羽目を外すくらい許してやれ』

国王陛下は、王太子とケイトリンの交流に目を瞑ったのだ。
王太子が手放せないくらい惚れていたら、卒業後に愛妾にすればいいと思っていた。



『魅了』の痕跡が見られなかった王太子。

しかし、リオネルの父親は息子の言うことを信じている。
なぜなら、コーデリアのことをひと月近く急に話さなくなった息子を不思議に思っていたから。

コーデリアのもまた、リオネルの言うことを信じていた。
なぜなら、リオネルが自分を愛してくれていることを疑っていなかったから。 
それに、学園で5人がケイトリンと接する表情に違和感があったから。
ケイトリンの機嫌を取って、何か情報を引き出そうとしている任務でもあるのかと疑ったくらいに。



リオネルの父親は、息子が王太子のそばから離れることを許可した。

原因はわからないが、リオネルが再び引き込まれないとも限らない。
本人が離れることを希望するくらい、あとの4人はケイトリンに取り込まれているようだ。

リオネルが王太子にそばを離れることを申し出ても、引き留めることもなかったそうだ。
少し前までは、リオネルがずっとそばで守ってくれることを期待していたのに。


やはり何かある。
国王陛下には信じてもらえなかったが、あとの3人の家にも忠告をしておいた。





魅了された5人のうち、リオネルはケイトリンから離脱できた。  
 
 

 
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