王命での結婚がうまくいかなかったので公妾になりました。

しゃーりん

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伯爵は、またまたさりげなく今度はテリーが一人の時に話を振った。


「テリーは子供が好きみたいだな。君は26歳だったか?結婚はしないのか?」

「僕は跡継ぎではありませんでしたので、結婚は考えていませんでした。
 でも、子供は可愛いですね。間近で接したことがなかったので初めは戸惑いましたが。」

「あの子たちは本当に可愛いよ。君は実家の甥姪には会わないのかい?」

「ええ。兄が……会わせたくないようで。」

「兄弟の仲が悪いのか。君が賢かったからか?」

「……そうですね。兄は跡継ぎを奪われるのではないかと今でも思っています。」

「だから結婚しないのか。子供まで比べそうだな。」

「ええ。父が早く兄に爵位を譲れば落ち着くと思うのですがね。」

「そうだなぁ。……恋人もいないのか?」

「ええ。出会うきっかけもあまりありませんし。
 貴族令嬢だと結婚を意識しなければならないし、平民だと感覚が合わなくて。」

「なるほどなぁ。ルクレツィアも子供はもう産む気がないらしいから再婚は難しい。
 あの子たちを自分の子供のように可愛がってくれる人がいればって言っていたが。
 それまでは恋人がほしいって言うんだ。
 体の相性のいい男が欲しいようだ。若い娘が大胆なことを言うよ。」

「え……でもわかる気はしますね。愛されている女性はいつまでも綺麗だ。」

「ははっ。そうだね。……君はそんなルクレツィアの恋人になる気はあるか?」

「僕がですか?」

「体の相性が良ければ恋人になれるだろう。愛はその後に付いてくると思う。
 気になる人ができても体の相性が悪ければ、そこで終わりにするようだ。
 愛よりまず体が重視みたいだぞ?
 夫人方からそう教わったようだ。相性を試してから再婚しろって。
 どうなるかはルクレツィア次第だが、例え振られても追い出すつもりはない。
 仕事はいろいろあるからな。」

「ルクレツィア様に言い寄っても構わないということですか?」

「その先で結婚したとしても自分の子供を望まない。そしてあの子たちを大切にできる。
 それが守れるのであれば、君は誰よりもルクレツィアの望みの近くにいると思う。」
  
「……ご存知だったのですか?僕がルクレツィア様に気があることを。」

「以前は知らんが、戻って来てからのルクレツィアに見惚れてただろう?
 婿入り目当てや体目当ての男が寄ってくる前に、真面目なテリーが捉まえてくれたら安心なんだ。
 毎回パートナーを変えて夜会に行かれたら困る。」

「ご期待に沿えるよう頑張ります。」


誰か他の人にそのチャンスを渡したくない。
少しでも可能性があるのなら、ルクレツィアの目に適いたいと思い、テリーはルクレツィアへの好意を隠すことなく伝えることにした。 



 


 
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