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しおりを挟む昼食をデザートまで美味しく食べ終わった時、国王陛下が言った。
「ルクレツィアの部屋の準備が整ったようだね。
彼女は侍女長のサエラだ。あとは侍女長に任せるからついて行ってね。
多分、妃たちにも会うだろうけど、楽しく話でもしてて。
今後の予定も侍女長と妃たちに任せるから。」
食べてる最中にいろいろと指示をしていたみたいね。
お妃様たちは10歳くらい年上の方ばかりだから、楽しく話って言われてもねぇ。
……夫になった公爵様の悪口くらいしか思いつかないわ。
「侍女長サエラと申します。ご案内致します。」
「ルクレツィアです。よろしくお願いします。」
「じゃあ、またね。ルクレツィア。」
国王陛下は手を振って執務に戻っていった。
私は……覚悟を決めて侍女長について行くしかないわね。
「ただいま王宮には、国王陛下、王妃陛下、側妃様がお二人、王子様がお二人、王女様がお二人。
そして本日よりルクレツィア様がお住まいになられます。
お部屋はこちらの『ダリア』となります。」
『ダリア』の部屋の中は、シンプルに整えられていた。
日当たりも良く、広さも十分すぎるくらい。
「何もお持ちになられていないと伺っておりますので、大至急ご用意させていただいております。
こちらは専属侍女のミアです。もう一人リリという者は後ほど参ります。
お妃様方がお茶の時間をご一緒に、ということですのでミアがご案内いたします。
何かご不明な点がございましたら、ミアとリリにお聞きください。それでは失礼いたします。」
「ありがとう。」
侍女長は忙しそうね。ミアとリリが専属侍女。ミアは私より少し上ね。
「ルクレツィア様、ミアと申します。何なりとお申し付けくださいませ。」
「ルクレツィアです。よろしくね、ミア。早速だけど、行ってはいけない場所とかある?」
三年間も部屋の中だけで過ごすなんて息が詰まるわ。
自由に動ける場所や時間を把握していないとね。
王子様や王女様に出会って、危害を加えると思われたら困るし。
ミアは話好きらしく、いろいろなことを教えてくれた。
ミア本人のことも。
25歳で子爵家の三女らしい。
……意外と年上だった。
もう一人のリリは男爵家の二女。23歳らしい。
下位貴族の跡継ぎではない令嬢は、平民に嫁ぐか王宮や王城、高位貴族家で侍女になることが多い。
ミアとリリもそうなのだろう。
王宮で働けているということは、信用度が高いということにもなる。
国王陛下や王子様、王女様の住まいなのだから。
同年代ではなく年上の令嬢と話をする機会はあまりなかったので、少し新鮮だった。
質問しているうちに、お茶の時間となった。
サンルームでのお茶会らしい。
三年間だけど、私とも仲良くしてくれたら嬉しいなぁと思いながら向かった。
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