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しおりを挟む新聖女だと公表されても、アイビーの日常はさほど変わりはなかった。
しかし、聖女になってから昨日の前聖女様の国葬までの約10日ほどの間に起きたこと、決まったことが順次解消されていった。
まず、アイビーの婚約。
子爵令息グリッチとの婚約は、王命により解消となった。
グリッチの両親は残念に思いながらも仕方のないことだといった感じだったらしい。
グリッチ本人には両親から伝えられたらしく、反応はわからないが喜んでいたに違いない。
彼には男爵令嬢の思い人がいるようなので。
彼女と上手くいくかはわからないが、幸せになってほしいと思う。
次に、キララ・フール男爵令嬢。
風紀委員と担当教師の調査によって、虐めと認められそうな言動はなかったそうだ。
彼女が他の令嬢に言われていたことは助言であり、忠告であり、親切でもあった。
しかし、それにより彼女が泣かされたと勘違いしている令息もおり、彼女を慰めたことで婚約解消が1件と、婚約直前の破談が1件あったということがわかった。
彼女は礼儀作法担当教師より厳しく指導を受けることになり、学んだはずのことが守られなかった場合は3回目で停学処分、5回目で退学処分になると決まったという。
彼女は変わることができなければ、姿を見なくなる日は近いかもしれない。
それから、クレオリア様と王太子殿下の仲を守ろうと動いていた者たち。
彼女たちは、クレオリア様が自分が至らなかったせいだと謝罪したことで狼狽えた。
自分たちの言動がクレオリア様に迷惑がかかると思っていなかったからである。
まさか聖女が王族になることを選ばなかったのは自分たちのせいなのか、と青くなったとか。
彼女たちは王太子殿下に愛されないお飾り側妃になればいいと望んでいただけだったから。
元々、その気がなかったと聞いてホッとしていたが、自分たちの言動は本来ならば聖女に対する不敬であったと気づき、厳重注意で済んだことにクレオリア様と共に反省したという。
他の者たちも、聖女のいる国の貴族として聖女を貶すような言動に注意するよう通告された。
そして、教会にいる平民治癒者たちの待遇。
厳正な調査により、治癒者たちに食材及び生活雑貨を売っていた商会が無知で言い値を払うのをいいことに金額を上乗せしていたことが明らかとなった。
同じようなことが王都だけでなく、地方の領地でもあったという。
商会は処分を受け、それぞれ王城や領主が認めるところに代わったことで食生活は激変した。
もちろん、給金も支払われ、休日もできたし、護衛付きで外出も可能になった。
ただ、結婚についてはまだ保留である。王都だけでなく地方でも整備が整う必要があるが、騎士の既婚者用宿舎に住めば安全ではないかとの案がある。問題は、本来は数年で家を見つけて退去する宿舎にずっと住むことになるため家賃が同じでは不公平ではないかということ。子供が生まれたら預け先をどうするかということ。
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