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しおりを挟む「マーク、これにサインをくれる?」
「ああ、いいよ。」
夫マークは、何の書類であるかも見ることなくサインをして、私に渡した。馬鹿ね。
サインを確認して侍従に渡す。
「すぐに提出してきて。よろしくね。セバス、荷物をマークに渡して。」
執事のセバスに指示を出して、予め用意していたものをマークのそばに置かせた。
「じゃあマーク、これでさよならね。お元気で。」
そう言ってソファから立ち上がった私にマークは不思議そうな顔を向けた。
「さよならって?」
「あら。今、離婚届にサインしたじゃない。あなたはここの者じゃなくなったわ。」
「離婚届?嘘だろ?なんで?」
「この半年、あなたがしてきたことでどれだけこの侯爵家に迷惑をかけたと思ってるの?
何度も理由を聞いたわ。でも、あなたは答えなかった。
離婚は私の両親も納得してるわ。…あなたのお兄様も。」
「兄上も?」
「そうよ。お兄様の公爵様は、とりあえずあなたに公爵邸に来るように馬車も用意してくれたわ。
もう外に止まってるそうだから、荷物を持って馬車に乗ってね。」
「エステル!俺たちにはユアンがいるんだぞ?離婚なんてしたらあの子が可哀想だ。」
「…このままあなたが父親でいる方がユアンが可哀想だと判断したのよ。
サイラス、マークを馬車まで連れて行って乗せて。」
後ろにいる護衛のサイラスに指示した。
サイラスは騎士科を卒業したため、マークよりも体格が良い。
半ば引きずられるような形でマークは追い出された。
その後をセバスが荷物を持って追いかける。あ、ごめんね。荷物は馬車に置けばよかったんだわ。
「あ~スッキリしたわ。」
結婚して約3年、よく我慢したわ、私。
晴れ晴れとした気持ちとはこのことを言うのね。
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