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しおりを挟むよく晴れた爽やかな今日は、ミーシャの20歳の誕生日。
そして、ミーシャとカーティスの結婚式の日でもあった。
4年前、16歳の誕生日にアロイス様と結婚した。
その時は、看取り婚という結婚であったことから、結婚式は挙げなかった。
だから、敢えて同じ日に結婚式をすることにした。
ミーシャがアロイス様と出会ったあの教会で。
ここで出会わなければ、カーティスと知り合い、結婚することにはならなかっただろう。
アロイス様への感謝も込めて、アロイス様と結婚した同じ日に、出会った教会で。
きっと、アロイス様は喜んでくれている。
王都には数か所、教会がある。
その中でも、この教会は街外れにある。
大きな教会ではなく、こじんまりとした教会。
左右に5人掛けのベンチ椅子が並んでおり、15列ほどしかない。
大柄な男性やドレスを着た女性が座ると、5人掛けも3人掛けになるだろう。
だけど、居心地が良く、ステンドグラスをじっくりと眺めたくなる、そんな教会である。
ミーシャは、侯爵家の侍女たちに化粧をされて、髪をセットされて、ウエディングドレスを着せてもらった。
もちろん、厚底ヒール靴のおかげで歩ける。
メガネなしで化粧をして着飾った自分の姿を鏡で見たミーシャは、驚いた。
「化粧をすると、こんな顔になるの?」
「「「っはい。お綺麗です~。」」」
自分たちが施した化粧を芸術品のように侍女たちが眺めてくる自分の顔が思わず引きつりそうだった。
うん。何だろう。好みは人それぞれだと思うけど、確かに人目を惹きやすい顔だと思う。
普段は化粧をしないように勧めた意味がわかった気がした。
お義母様とフレイアお義姉様にも、頭の先からドレスの裾まで何度も確認された。
「「完璧だわ~。とても綺麗よ。」」
声を揃えて絶賛された。
「ありがとうございます。ドレスと、侍女の方たちの腕のおかげです。」
「とても似合ってるわ。それに、うちの侍女たちの腕は確かに素晴らしいわね。
そして、何よりミーシャさんが輝いているわ。
カーティスとの結婚を心から望んでくれていると思っていいのね?」
「はい。カーティス様と幸せになりたいと思っています。」
婚約時には、カーティス様に恋愛感情がなかったことを知っているから確認してくれたのだろう。
今の気持ちを知られるのは恥ずかしいけれど、輝いて見えるのなら嬉しい。
時間になり、侍女一人と係員を残してみんなは先に席に着いた。
係員に案内されて扉の方へ向かうと、侯爵様改めお義父様が待っていてくれた。
「これは……とても美しい花嫁だ。カーティスよりも先に見れて光栄だよ。
義娘と一緒に歩けるなんて嬉しい経験もできるし。」
ニヤッと笑うお義父様は、まだまだとてもカッコいい。
そして、アロイス様ともカーティス様とも似ていると思った。
義父の腕に手を添えて、扉が開いて歩き始めた。
大聖堂に比べたら1/5ほどしかない距離の先にカーティス様がいる。
左右の椅子には、セオドア様や騎士団で会ったことがある人や研究所のジェイコブ様、医師のハリー先生、家の使用人のマイラとビルもいた。
身内だけのはずが、見覚えのある顔が並んでいて驚いたけれど嬉しかった。
あっという間にカーティス様の元へと辿り着き、お義父様の腕からカーティス様に手を渡された。
カーティス様は、とても素敵だった。
私に、『とても綺麗だ』と言ってくれたカーティス様に『カーティス様も素敵です』と返して微笑み合っている間も、神父様や周りのみんなは微笑ましく見守ってくれていた。
誓いの言葉を述べ、婚姻誓約書にサインをして、誓いのキスをして夫婦と認められた。
とても幸せな気持ちで式を終え、この後は侯爵邸で身内だけのパーティをすると聞いていたので、カーティス様と扉の方へと向かい、外へと繋がる扉が開かれると………花が舞っていた。
孤児院の子供たちが、『おめでとう!』と言いながら、フラワーシャワーをしてくれたのだ。
そして、その向こうには人だかりが………騎士たちや顔見知りの被験者の人たちだった。
『おめでとう!』と言いながら拍手をしてくれるみんなに感動しながらお礼を言い、手を振りながら馬車に乗り込んだ。
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