クレタとカエルと騎士

富井

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旅の終わり

最後のエール

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「ヒロトはうちの池で飼ってやってもいいぞ。でも、これ以上嘘はつくなよ。本物のカエルになってゲロゲロとしか言わなくなったら捨てるからな。」

「クレタはもう少し勉強して単位を取れ。そして大人になれよ。」

「そうだ、道理でおかしいはずだ。弱いし、揚げ物バッカ食うし。」

「野菜が嫌いで、甘いものばかり。」
「あの滑り台の辺から怪しかった。」

「もうどうにでもいえばいい。そろそろ終わりだ。もう夜が明けてくるはずだ。
そうしたらゴールだ。あ、お前ら帰る前に俺の家を見学させてやろうか。何なら泊めてやるぞ。」

「もういい。とにかく、さっさと帰る。」
クレタの嬉しそうな笑い声は、最初は腹立たしかったが、聞いているうちにだんだんと釣られて笑顔になって来た。理玖も太もヒロトも、色々あったし、ムカつくことも山ほどあったが、案内がクレタでよかったと、今、ほんの少し考えていた。
そして、クレタが言った通り、道のずっと先から少しずつ明るくなって来た。
その明かりを見つけると三人は顔を見合わせ微笑んだ。

「本当にあと少しだ・・・・」
「な、言った通りだろ・・・あー家の匂いがする・・・」
クレタは車から少し身を乗り出して思い切り深呼吸をした。
本当に来た。本当に来てしまった。あるかどうかもわからない場所に・・・・
「よくついてきたな。お前らも本当に頑張った。」
クレタは手を出した。ソコに太は手を重ねた。理玖もその上に手を置いた。
「ヒロト、早く手を出せ!」
「僕は・・・」

「カエルはわかってるから、早く手を重ねろ。運転しずらいだろ。」

ヒロトもやっと手を重ねた。

これが終わりなのだと信じて。次に始まる、本当の自分の世界に戻るためのエールを交わした。
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