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雅は・・・
眠れない日々
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そんなことを三日もしていたらあずみの眼の周りはパンダのように黒くなってきた。
そして今日は火曜・・・行きたくない・・・あずみは朝日が昇った瞬間そう思った。
雅は決まって六時半に起きて屋敷の周りを走りに行った。その時やっと手足を大きく伸ばして思い切り深呼吸をし深く眠れた。がしかし、ランニングから帰ってくると
「おはよう、あずみ君。」
と、決まってカーテンをバサッと開け、部屋の窓という窓を全開し、起きざる負えなくなる。
「今日・・・お兄様帰ってきますか・・・」
よろよろになったあずみはとにかく、雅に帰ってもらいたかった。
「ちょっと待って、後から聞いてみるね。
それより、ひどい寝ぐせだね・・・」
雅が髪を触ろうと伸ばした手を交わそうとしたとき、バランスを崩してほんの少しよろめいた。
「あ、危ない・・・」
雅があずみを支え、雅の胸の中に納まると、途方もなく安心した緩やかな気分になれたが、それはほんの・・・1秒にも満たないほどの時間で、わずか後には心臓を吐き出しそうなほどの動揺が怒涛の如く襲ってきた。
「は、離れろ。さ・・・触るな・・・・」
「あずみ君、どうかした、真っ赤だよ。熱でもあるんじゃないの・・・息遣いも荒いみたいだし・・・」
「なんともない・・・」
(こいつ、マジで、絶対キスしたこと忘れてる・・・それとも・・・覚えていてこんなことしてるのか・・・)
そんなあずみのドキドキをよそに、今度は額に触れようとしてきた・・・
「ちょ・・・・・」
その時、雅の携帯が鳴った。
あずみは助かった・・・と思った。あそこで額に触れられたら、心臓が爆発するところだった。まだ、ドキドキいう体を抑えながら、洗面所へ行き、冷たい水を思い切り頭からかぶった。
(静まれ・・・静まれ・・・)
静まると静まったで、何をバカな事やっているんだ・・・と寂しくなったりもする。
全く自分が違う人間になってしまったかのようで嫌になって来た。
「電話、お兄様から・・・?」
「違う、緑山。熱出したから、今日お料理教室休むって。」
「よかった・・・僕も行きたくなかったんだ・・・」
その返事にホッとして、一番近くにあった椅子にヘタッと座った。
「・・可哀そうに・・・大丈夫か?」
そう言ってそのあずみを背中から抱きしめた。
「じゃあ、俺がお休みの電話しておくよ。」
抱きしめたかと思うと、次には平気な顔をして全く別のことをする。この変なオン・オフに心も体も呼吸も対応できず、途轍もない疲労感に襲われていた。
「そうだ、あずみ君。今日、ちょっと付き合ってほしいところがあるんだ。」
「いいですよ。一緒に行きます。」
「どこへ行くか聞かないの?」
「聞きません。どこでもいいです。どこでもいいですから、今だけは僕の半径1メートル以上近づかないでください。」
「わ・・・わかった・・・・」
テーブルに置かれた少し熱めの紅茶を一気に飲み干し、深呼吸をして気分を落ち着けようと努力した。まあ、依田はともかく、木下とキスした時もここまで体が火照ることなんてなかったのに。しかも、依田は嫌だったとしか記憶がなく、木下とのキスも今となってはたいした記憶もない。
なのに、雅だけ、なぜこんなに気になるのか、それこそたった1回だけなのに・・・
「はあ・・・」
「どうしたの?なんだか、とても疲れているね。」
「それは・・・」
どうしてキスしたのか、キスした後、自分のことをどう思っているのか・・・聞きたい・・・でも聞けない。聞いたらやっぱりおかしいだろ・・・延々と考えて。
やっぱり聞き出すこともできず、悶々としながら、出かける時間になって、郊外の大型量販店に連れて行かれた。
そして今日は火曜・・・行きたくない・・・あずみは朝日が昇った瞬間そう思った。
雅は決まって六時半に起きて屋敷の周りを走りに行った。その時やっと手足を大きく伸ばして思い切り深呼吸をし深く眠れた。がしかし、ランニングから帰ってくると
「おはよう、あずみ君。」
と、決まってカーテンをバサッと開け、部屋の窓という窓を全開し、起きざる負えなくなる。
「今日・・・お兄様帰ってきますか・・・」
よろよろになったあずみはとにかく、雅に帰ってもらいたかった。
「ちょっと待って、後から聞いてみるね。
それより、ひどい寝ぐせだね・・・」
雅が髪を触ろうと伸ばした手を交わそうとしたとき、バランスを崩してほんの少しよろめいた。
「あ、危ない・・・」
雅があずみを支え、雅の胸の中に納まると、途方もなく安心した緩やかな気分になれたが、それはほんの・・・1秒にも満たないほどの時間で、わずか後には心臓を吐き出しそうなほどの動揺が怒涛の如く襲ってきた。
「は、離れろ。さ・・・触るな・・・・」
「あずみ君、どうかした、真っ赤だよ。熱でもあるんじゃないの・・・息遣いも荒いみたいだし・・・」
「なんともない・・・」
(こいつ、マジで、絶対キスしたこと忘れてる・・・それとも・・・覚えていてこんなことしてるのか・・・)
そんなあずみのドキドキをよそに、今度は額に触れようとしてきた・・・
「ちょ・・・・・」
その時、雅の携帯が鳴った。
あずみは助かった・・・と思った。あそこで額に触れられたら、心臓が爆発するところだった。まだ、ドキドキいう体を抑えながら、洗面所へ行き、冷たい水を思い切り頭からかぶった。
(静まれ・・・静まれ・・・)
静まると静まったで、何をバカな事やっているんだ・・・と寂しくなったりもする。
全く自分が違う人間になってしまったかのようで嫌になって来た。
「電話、お兄様から・・・?」
「違う、緑山。熱出したから、今日お料理教室休むって。」
「よかった・・・僕も行きたくなかったんだ・・・」
その返事にホッとして、一番近くにあった椅子にヘタッと座った。
「・・可哀そうに・・・大丈夫か?」
そう言ってそのあずみを背中から抱きしめた。
「じゃあ、俺がお休みの電話しておくよ。」
抱きしめたかと思うと、次には平気な顔をして全く別のことをする。この変なオン・オフに心も体も呼吸も対応できず、途轍もない疲労感に襲われていた。
「そうだ、あずみ君。今日、ちょっと付き合ってほしいところがあるんだ。」
「いいですよ。一緒に行きます。」
「どこへ行くか聞かないの?」
「聞きません。どこでもいいです。どこでもいいですから、今だけは僕の半径1メートル以上近づかないでください。」
「わ・・・わかった・・・・」
テーブルに置かれた少し熱めの紅茶を一気に飲み干し、深呼吸をして気分を落ち着けようと努力した。まあ、依田はともかく、木下とキスした時もここまで体が火照ることなんてなかったのに。しかも、依田は嫌だったとしか記憶がなく、木下とのキスも今となってはたいした記憶もない。
なのに、雅だけ、なぜこんなに気になるのか、それこそたった1回だけなのに・・・
「はあ・・・」
「どうしたの?なんだか、とても疲れているね。」
「それは・・・」
どうしてキスしたのか、キスした後、自分のことをどう思っているのか・・・聞きたい・・・でも聞けない。聞いたらやっぱりおかしいだろ・・・延々と考えて。
やっぱり聞き出すこともできず、悶々としながら、出かける時間になって、郊外の大型量販店に連れて行かれた。
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