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0、神々の思惑

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その世界には神がいた。火の神、水の神、土の神、風の神、酒の神……その国によって色んな神がいると信じられていた。

その中で共通して、創造神ラディオスは世界で共通の神とされていた。

その神の中でも人々の世界を乱す神がいた。

その神は人々に災害をもたらし、戦争をもたらし、命を弄ぶ。一番厄介なのはその神は直接神が手を下すことができない人間たちが営む世界で暮らしていることだ。人の世界に本来暮らすことができない神がその神に手を下すことが出来ずに、神はそこで人々にその神を任せることにした。

勇者の加護という神に対抗する力を異世界から来たものに与えることによって。

しかし、悪しき神はその神々よりも頭が回った。

なぜ神が人の世界で暮らすことができるのか。それは神が人を依り代として使い現存しているからである。神は自分に相性のいい体を探し、乗り移りそうして人々の世界を渡り歩いてきた。

よって、勇者の加護を持った異世界の住人たちはその神ではなく依り代を殺し、魔王を倒したと勘違いをしていた。
神々は頭を抱えた。神託としてきちんと、

「勇者、魔王を倒し時、魔王は灰となって消える」

と伝えていたが、誰もがそれで満足してしまうのである。

そうして神は異世界の住人ではなくこの世界に生きる者に加護を渡すこととした。

しかし、それにはリスクがある。この勇者の加護はこの世界でしか発揮できないものであり、魔王を倒した異世界の住人は絶対に元の世界に返すためその力が悪用されることは無かった。しかしこの神が支配する世界で生きている人にその加護を渡せば死ぬまでその者は神と等しい力を得ることになる。そうして今度はその人が第二の魔王、並びにその神となるのではないかと危惧したのである。

そんな神々を説得したのは創造神ラディオスだった。

そして、そのラディオスが選定した勇者は当たりであった。

しかし、その選定された勇者には呪いをかけたのだった。その神に等しい力を悪用しないようにと20歳までに死ぬ呪いを。それが、彼のものに勇者の加護を与える条件だったからだ。

ラディオスは、しかし、こう考えていた。
彼がその神を殺せばその偉業を褒賞とし彼に来世を与えようと。
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