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第五章 金の神子様はジョブチェンジ
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「……そういえば、急ごしらえだが教会を建てた」
「きょうかい……ん?」
どうして今そんな話になるのだろうかと俺は首を傾げてしまう。猊下はすとんっとベッドの端に腰を下ろし、俺の髪を優しく手で梳いた。
「いっただろう? 昨日お前がリィン教を布教すると」
「そう、だね……?」
「聞いたことが無い宗教だから、お前が考えたのだろう?」
「ま、まあ……」
俺の友人の名前だが、それはそれとして……。
そう考えて俺はなんだかいやな予感がすると冷や汗をかく。昨日猊下がいなかったことも相まって取り返しのつかないことを俺はしてしまったのではないのだろうかと悪い予感がひしひしと俺を襲う。
「私は神が嫌いだが、ルドは好きだ。だから、お前の教会を建てた」
「……ど、どういうこと!?」
何で俺がリィン教を布教するという話になったら教会を建てる事になるんだ!?俺は一言もそんなこといってないし!そもそも要らないし!!
「教会建てられても俺維持できないよ!?」
「他の、やりたい奴に任せている」
「だ、だれ……っ!」
思い当たる人物が二人いた。俺は頭を抱えた。何かの間違いがあって俺を称える宗教だと思われたらどうしよう!?そんなことが起こってしまったら恥ずかしくて外歩けない!!
「な、なんで、なんでそんなこと……っ!!」
「私がしたいから」
「そ、そんなこと言われても!」
「ルドは何もしなくて良い」
「何も出来ないよ!!」
俺はリィン教を布教するのをやめた。リィンと話せなくなるのは困るけど、どうにかして俺は今度の舞踏会に潜り込む。そうして、速攻で二人をくっつけるのだ。
そうだ、俺なら出来る。なんせ彼らは前世の記憶があるのだから!前世ではお互い思い合っていたのだから!そのアドバンテージがあれば楽勝、のはず!!
そもそもこの話は、お互い前世の記憶を持っているのに、相手は覚えていないと勘違いすることから始まる。徐々に徐々に心を通わせながらも、そのすれ違いで二人の心がつかず離れずで俺はもどかしさを覚えていた。気付け!気付いてくれ!!と。というか、なんで当て馬たちはすぐに気付いたのに君らは気付かないんだよ!?と言う気持ち。だからこそ、告白シーンは盛り上がったのだが……。
まあ、だから簡単に二人をくっつける為にその過程をすっ飛ばせば良い。
そう、お互い前世持ちである事を気付かせれば良いのだ!!
そしてその記憶を引っ張り出すのに一番効果的なものは「金の悪魔」!まさしくこの俺である。
前世の仇敵がいきなり現れれば、すぐに前世の記憶があると気づくはずだ。そして力を合わせて俺を倒して貰えれば完璧!!
そう考えると、俺の教会は悪事を働くのに最高の拠点……?
「いやいやだめだろ馬鹿なの俺!!」
「どうしたルド……? やはり体が痛むか?」
「だ、大丈夫!!」
ナチュラルに俺は猊下を巻き込もうとした!!俺のあほ!恩知らず!!悪事は悪事でも、俺とどうしようもない屑とか犯罪者を使うべき!!善良な人を巻き込もうなんて性根が腐ってる!
「今日は休むんだ。今朝ご飯持ってくる」
「あ、うん。お願いします……」
ぐううっとタイミング良く俺のお腹が鳴った。猊下は少しだけ笑ってから俺の頭を優しく撫でると部屋を後にする。
俺はそれを見送って、まるで何事もなかったかのように過ごした。
「きょうかい……ん?」
どうして今そんな話になるのだろうかと俺は首を傾げてしまう。猊下はすとんっとベッドの端に腰を下ろし、俺の髪を優しく手で梳いた。
「いっただろう? 昨日お前がリィン教を布教すると」
「そう、だね……?」
「聞いたことが無い宗教だから、お前が考えたのだろう?」
「ま、まあ……」
俺の友人の名前だが、それはそれとして……。
そう考えて俺はなんだかいやな予感がすると冷や汗をかく。昨日猊下がいなかったことも相まって取り返しのつかないことを俺はしてしまったのではないのだろうかと悪い予感がひしひしと俺を襲う。
「私は神が嫌いだが、ルドは好きだ。だから、お前の教会を建てた」
「……ど、どういうこと!?」
何で俺がリィン教を布教するという話になったら教会を建てる事になるんだ!?俺は一言もそんなこといってないし!そもそも要らないし!!
「教会建てられても俺維持できないよ!?」
「他の、やりたい奴に任せている」
「だ、だれ……っ!」
思い当たる人物が二人いた。俺は頭を抱えた。何かの間違いがあって俺を称える宗教だと思われたらどうしよう!?そんなことが起こってしまったら恥ずかしくて外歩けない!!
「な、なんで、なんでそんなこと……っ!!」
「私がしたいから」
「そ、そんなこと言われても!」
「ルドは何もしなくて良い」
「何も出来ないよ!!」
俺はリィン教を布教するのをやめた。リィンと話せなくなるのは困るけど、どうにかして俺は今度の舞踏会に潜り込む。そうして、速攻で二人をくっつけるのだ。
そうだ、俺なら出来る。なんせ彼らは前世の記憶があるのだから!前世ではお互い思い合っていたのだから!そのアドバンテージがあれば楽勝、のはず!!
そもそもこの話は、お互い前世の記憶を持っているのに、相手は覚えていないと勘違いすることから始まる。徐々に徐々に心を通わせながらも、そのすれ違いで二人の心がつかず離れずで俺はもどかしさを覚えていた。気付け!気付いてくれ!!と。というか、なんで当て馬たちはすぐに気付いたのに君らは気付かないんだよ!?と言う気持ち。だからこそ、告白シーンは盛り上がったのだが……。
まあ、だから簡単に二人をくっつける為にその過程をすっ飛ばせば良い。
そう、お互い前世持ちである事を気付かせれば良いのだ!!
そしてその記憶を引っ張り出すのに一番効果的なものは「金の悪魔」!まさしくこの俺である。
前世の仇敵がいきなり現れれば、すぐに前世の記憶があると気づくはずだ。そして力を合わせて俺を倒して貰えれば完璧!!
そう考えると、俺の教会は悪事を働くのに最高の拠点……?
「いやいやだめだろ馬鹿なの俺!!」
「どうしたルド……? やはり体が痛むか?」
「だ、大丈夫!!」
ナチュラルに俺は猊下を巻き込もうとした!!俺のあほ!恩知らず!!悪事は悪事でも、俺とどうしようもない屑とか犯罪者を使うべき!!善良な人を巻き込もうなんて性根が腐ってる!
「今日は休むんだ。今朝ご飯持ってくる」
「あ、うん。お願いします……」
ぐううっとタイミング良く俺のお腹が鳴った。猊下は少しだけ笑ってから俺の頭を優しく撫でると部屋を後にする。
俺はそれを見送って、まるで何事もなかったかのように過ごした。
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