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第五章 金の神子様はジョブチェンジ
6 *
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「あ、あっ! げいか、もうこれ解いてぇ……っ」
「どうして? こういうの、好きだろ? お前の読んでる本に書いてあった」
「ん、んっ、すき、だけど……っ、もう苦しい……っ、出したいげいかぁ!」
猊下の上で足を開き誘うようにして上下に動いている。その動きに合わせて紐で縛られた俺の陰茎も跳ねていた。ずっと射精を禁止されていたのか苦しそうに上を向いている。鈴口からはとろりと先走りが溢れ出て、雫が竿を伝う。ぴったりと猊下の腰に俺が跨がっているからかそれは猊下のシャツに小さな染みを作っていた。
「あ――っ、猊下、ん、げいかぁ……っ!」
腰を揺らし、俺は甘えた声で猊下にねだる。猊下は少しだけ笑い声を上げるとゆっくりと先を掌で撫でた。
「ん、んっ!!」
「じゃあ、もう寝所に誰も入れないと誓えるか?」
「あ、あ、ち、誓う。猊下以外入れない……っ!」
「良い子だな。ほら、ご褒美」
「ひ、あ、あ、ああ――――っ!!」
猊下が紐を解き、がつんっと猊下が最奥を抉る。暴力的なまでに体中を駆け巡る刺激に悲鳴を上げながらもようやく解放された陰茎からは勢いのない精液がだらだらと流れた。
「少し我慢させすぎたか?」
「ん、あ、だめ、また、イ……っ!」
猊下の大きくて綺麗な手が俺の陰茎を軽く握って摩る。そんな齢刺激でさえも敏感になっている今の俺には簡単に墜ちてしまう。勢いよく噴き出た白い液体。その余韻に浸りながらびくびくと背中を震わせた。
「忘れるな。お前は私のものだ。誰にもこの体を許すことは許さない。返事は?」
「ん、ん、は、い……」
俺は気持ちよさでぼんやりとする頭の中、猊下の言葉にひたすらに頷いた。
そして、俺は目が覚めた。
***
がばりと体を起こす。
あれ?さっきのは夢?なんて思っていたのもつかの間、すっと猊下の顔が近くに見えた。
「ん……っ」
「おはよう、ルド」
「お、おは、お……え、え?」
今猊下にキスされた!!二度目のキスだ!!
心臓がひときわ大きく跳ねて、口元に手を置いた。さながら少女漫画にいる気分だったが、冷静になって徐々に徐々に記憶が蘇ってくる。
昨晩、俺は猊下としたのではないだろうかと。二度目のキスどころか数十回目のキスではなかろうかと。
「どうかしたか? 体が痛むか?」
「!」
猊下が俺の顔をのぞき込む。その際にさらりと髪が流れて首筋に痛々しい歯形と鬱血痕が見えた。昨日のあられもない自分の姿が鮮明に思い出される。
さーっと血の気が引いた。
「ご、ご、ごめんなさい!!」
「……何が?」
「お兄ちゃんを襲っちゃったから……っ!!」
同意もなく猊下を襲い、あまつさえ最後まで致したなんて最悪だ。俺はそんなことをするつもりじゃなかったのになんでどうして!
頭を抱え、この失態をどうしようかと思っているとふふっと猊下が笑みを零した。
「私は襲われたのか?」
「そうだよ!」
「ルドなら良い。いくらでも、襲ってくれ」
「な、何言ってるのお兄ちゃん!」
いくら何でもそれはいけない!
「こういう行為は好きな人同士が行うことで……っ!」
「……私以外に好きな奴がいるのか?」
「お、俺じゃなくて! お兄ちゃんのこと!!」
「私はルドが好きだ」
「す、は!?」
売り言葉に買い言葉という奴だろうか。猊下は俺がいいたい事を分かっていないような気がする。
「そ、それは、昨日のことがしたいって言う意味で好きなの……?」
「勿論」
「!」
あの猊下が!俺を性的な意味で好き、だと!?
その事実に驚いて心臓が早鐘を打っている。顔に熱が溜まり、恥ずかしさもあるが何よりこみ上げてくるのは嬉しいという気持ちだった。
ああ、そうか。俺も猊下のこと好きだったんだ。
前世のキスを引きずっていたのも、こうやって猊下を特別に気にかけているのも全部俺が猊下のことが好きだから。
端的に言えば、俺と猊下は両思いという事になる。
が、俺は頭を振った。
いやいや、最終的に死ぬ奴が何を喜んでるんだと冷静になった。俺は死ぬ。もう一度この生を終わらすためにやってきた。リィンとそういう約束でそもそも生き返らせて貰ったのだ。
今まで以上に胸が苦しくなってぎゅうっと心臓を抑えた。それからへらりと笑みを浮かべようとして猊下に抱きしめられる。
「お前は何も気にしなくて良い。都合の良いときだけ、私を使えば良いから」
「そ、れは、それは……」
「私が良いと言ってるから良いんだ」
それから猊下はこつんと俺と額を合わせる。じっと彼の瞳が俺を覗いてくるので罪悪感でいっぱいになった俺はたまらず目をそらした。
「どうして? こういうの、好きだろ? お前の読んでる本に書いてあった」
「ん、んっ、すき、だけど……っ、もう苦しい……っ、出したいげいかぁ!」
猊下の上で足を開き誘うようにして上下に動いている。その動きに合わせて紐で縛られた俺の陰茎も跳ねていた。ずっと射精を禁止されていたのか苦しそうに上を向いている。鈴口からはとろりと先走りが溢れ出て、雫が竿を伝う。ぴったりと猊下の腰に俺が跨がっているからかそれは猊下のシャツに小さな染みを作っていた。
「あ――っ、猊下、ん、げいかぁ……っ!」
腰を揺らし、俺は甘えた声で猊下にねだる。猊下は少しだけ笑い声を上げるとゆっくりと先を掌で撫でた。
「ん、んっ!!」
「じゃあ、もう寝所に誰も入れないと誓えるか?」
「あ、あ、ち、誓う。猊下以外入れない……っ!」
「良い子だな。ほら、ご褒美」
「ひ、あ、あ、ああ――――っ!!」
猊下が紐を解き、がつんっと猊下が最奥を抉る。暴力的なまでに体中を駆け巡る刺激に悲鳴を上げながらもようやく解放された陰茎からは勢いのない精液がだらだらと流れた。
「少し我慢させすぎたか?」
「ん、あ、だめ、また、イ……っ!」
猊下の大きくて綺麗な手が俺の陰茎を軽く握って摩る。そんな齢刺激でさえも敏感になっている今の俺には簡単に墜ちてしまう。勢いよく噴き出た白い液体。その余韻に浸りながらびくびくと背中を震わせた。
「忘れるな。お前は私のものだ。誰にもこの体を許すことは許さない。返事は?」
「ん、ん、は、い……」
俺は気持ちよさでぼんやりとする頭の中、猊下の言葉にひたすらに頷いた。
そして、俺は目が覚めた。
***
がばりと体を起こす。
あれ?さっきのは夢?なんて思っていたのもつかの間、すっと猊下の顔が近くに見えた。
「ん……っ」
「おはよう、ルド」
「お、おは、お……え、え?」
今猊下にキスされた!!二度目のキスだ!!
心臓がひときわ大きく跳ねて、口元に手を置いた。さながら少女漫画にいる気分だったが、冷静になって徐々に徐々に記憶が蘇ってくる。
昨晩、俺は猊下としたのではないだろうかと。二度目のキスどころか数十回目のキスではなかろうかと。
「どうかしたか? 体が痛むか?」
「!」
猊下が俺の顔をのぞき込む。その際にさらりと髪が流れて首筋に痛々しい歯形と鬱血痕が見えた。昨日のあられもない自分の姿が鮮明に思い出される。
さーっと血の気が引いた。
「ご、ご、ごめんなさい!!」
「……何が?」
「お兄ちゃんを襲っちゃったから……っ!!」
同意もなく猊下を襲い、あまつさえ最後まで致したなんて最悪だ。俺はそんなことをするつもりじゃなかったのになんでどうして!
頭を抱え、この失態をどうしようかと思っているとふふっと猊下が笑みを零した。
「私は襲われたのか?」
「そうだよ!」
「ルドなら良い。いくらでも、襲ってくれ」
「な、何言ってるのお兄ちゃん!」
いくら何でもそれはいけない!
「こういう行為は好きな人同士が行うことで……っ!」
「……私以外に好きな奴がいるのか?」
「お、俺じゃなくて! お兄ちゃんのこと!!」
「私はルドが好きだ」
「す、は!?」
売り言葉に買い言葉という奴だろうか。猊下は俺がいいたい事を分かっていないような気がする。
「そ、それは、昨日のことがしたいって言う意味で好きなの……?」
「勿論」
「!」
あの猊下が!俺を性的な意味で好き、だと!?
その事実に驚いて心臓が早鐘を打っている。顔に熱が溜まり、恥ずかしさもあるが何よりこみ上げてくるのは嬉しいという気持ちだった。
ああ、そうか。俺も猊下のこと好きだったんだ。
前世のキスを引きずっていたのも、こうやって猊下を特別に気にかけているのも全部俺が猊下のことが好きだから。
端的に言えば、俺と猊下は両思いという事になる。
が、俺は頭を振った。
いやいや、最終的に死ぬ奴が何を喜んでるんだと冷静になった。俺は死ぬ。もう一度この生を終わらすためにやってきた。リィンとそういう約束でそもそも生き返らせて貰ったのだ。
今まで以上に胸が苦しくなってぎゅうっと心臓を抑えた。それからへらりと笑みを浮かべようとして猊下に抱きしめられる。
「お前は何も気にしなくて良い。都合の良いときだけ、私を使えば良いから」
「そ、れは、それは……」
「私が良いと言ってるから良いんだ」
それから猊下はこつんと俺と額を合わせる。じっと彼の瞳が俺を覗いてくるので罪悪感でいっぱいになった俺はたまらず目をそらした。
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