18 / 48
6歳の俺
孤児6歳 17
しおりを挟む
あの日から調査しにきた男たち、探りを入れにきた五人を含め全員は全く接触してこなかった。こちらをイヤーな視線で見ることはあるが、こちらの生活に邪魔するような行動は無くなった。止めたつもりが、クラウスあのあと何かやらかしたっぽい。毎回クラウスが近くを通るときびくっとしていた。なんかいたたまれない気持ちになる。うちの子がご免なさいって感じ。
そうこうしている間に、ノイン君とノルン君に誘われて三回に一回くらい外遊びに振り回されながらとうとうその日がやって来た。
「ふぅ、一先ず調査は終わったし伯爵から返事も来たからこのまま二人は屋敷に連れ帰りますね、院長先生」
「ええ、よろしくお願いします、フェルト君」
そう、二人のお別れだ。まあ、調査終われば一緒に帰るだろうなって思ってたけど結構長かったな。もっと早く帰ってくれればこんなに筋肉痛にならずにすんだんだけど。
あいたたたと、痛む足を動かしながら皆で二人のお見送りだ。うん、お見送りしたいな……。
「……アズールも一緒に行こ?」
「うん!一緒に行こうよ!!」
「いや、俺は行かないから、離して、お願い、筋肉痛だからぁ!!」
がっちりと両脇を捕まれて連行されている。一応踏ん張ってはいるが彼らの前には俺の力なんて微々たるものだ。こんなときにルチアーノは何をしているのか。頼みの綱の彼は見るからに落ち込んでいる。日に日に感じていたが外で一緒に遊ぶごとにすんげー仲良しになってたよね君ら。相変わらずノイン君とは衝突するみたいだけど、最終的にはノルン君立ち会いのもとちゃんと謝るし。窓から見て青春だなあ何て見てたら、ボール飛んできて顔面強打したのがいい思い出だ。鼻血止まらなかった。
ともあれ、彼も二人に帰って欲しくないのだろう。ぼそっと「ずっとここにいればいいのに」何て言って……。その名案だ!って顔で二人ともこっち見ないで。ダメだって帰れ。
「家族が心配してるでしょ?」
「……」
俺がそういうと二人ともなぜか沈んだ顔をした。どうした!家族に会いたくないの!?虐待!?
「……だって、ノルンと一緒にいちゃダメだって、皆言うんだもん」
「……僕も、ノインに近寄るなって言われる」
「……まじで?」
いや、そこまで贔屓してんの?やばくねーか?
俺がそういうと二人は小さく頷いた。うーんっと俺は首を捻って考える。そしてこう提案した。
「ずっとくっついていて、引き剥がされそうになったらいやー!って叫べばいい」
「でもそれは折角のノインの立場を悪くするよ……?」
「じゃあノイン君。ノルン君と一緒じゃなくなってまで今まで通りの生活送りたい?」
「いや!ぜったいいや!!ノルンと一緒がいい!!」
「だって。じゃあ離れなければいい。一応フェルトさんには二人一緒にいないと精神が不安定になるって言っとくよ。実際その通りだし」
こくんっと、二人は頷いた。しかし、まだその顔には不安が見える。そこで、俺は二人に返してもらったハンカチを取り出した。このハンカチは細工がしてあり、燃やしたときそれがどんなに遠くにいてもどこで燃やされたかがすぐに分かるものだ。まあ、使う機会がないことを願う。
「まあ、うまくいかなかったらこのハンカチを燃やして?必ず俺が二人を拐いにいくから」
「……ほんと?」
「僕たち二人を?」
「もちろん」
だから、離してそろそろ。
しかし、次の瞬間がばっと両脇から抱きつかれた。衝撃が筋肉痛に響く!!!!
「絶対だよ!!絶対絶対だから!!」
「もし、僕はダメでもノインだけは拐ってね!!」
「だめ!アズール、ノルンも一緒だから!!」
「わかった!!約束約束!!だから離れて……っ!!」
俺が切実にそう訴えたが効果はなく。僕も!っとルチアーノにも飛びかかられて足がいたい。散々すぎる……。
その後、フェルトさんに先程のことを伝えると「任せて、言うつもりだったから」っと言っていた。そして、皆(カイルと俺を除き)涙ながらに二人に別れを告げて、見えなくなるまで手を振った。あ、最後にまた会おうね!っと二人が言っていたが俺は曖昧に返事をしといた。
お、大人になったら国外に逃亡……いや、旅に出るつもりだからたぶん、お貴族の君らとはもう縁がないと思うんだ、うん。フ、フラグとか思ってないから!!
ともあれ、怒濤の日々だった。これからは何もないことを切に願うよ。
その数ヵ月後、歳にして7つになった俺が何故かお城に招集をされるとは思いもよらず、ぶっちゃけそれよりもアンジェリカさんの取り乱しようが衝撃だったといっておく。
ーーーー
お気に入り登録ありがとうございます!
孤児6歳編一先ず完結です。
次回から7歳編スタートになります!
登場人物紹介が入るかもしれませんが、7歳になりますのでどうぞよろしくお願いします。
そうこうしている間に、ノイン君とノルン君に誘われて三回に一回くらい外遊びに振り回されながらとうとうその日がやって来た。
「ふぅ、一先ず調査は終わったし伯爵から返事も来たからこのまま二人は屋敷に連れ帰りますね、院長先生」
「ええ、よろしくお願いします、フェルト君」
そう、二人のお別れだ。まあ、調査終われば一緒に帰るだろうなって思ってたけど結構長かったな。もっと早く帰ってくれればこんなに筋肉痛にならずにすんだんだけど。
あいたたたと、痛む足を動かしながら皆で二人のお見送りだ。うん、お見送りしたいな……。
「……アズールも一緒に行こ?」
「うん!一緒に行こうよ!!」
「いや、俺は行かないから、離して、お願い、筋肉痛だからぁ!!」
がっちりと両脇を捕まれて連行されている。一応踏ん張ってはいるが彼らの前には俺の力なんて微々たるものだ。こんなときにルチアーノは何をしているのか。頼みの綱の彼は見るからに落ち込んでいる。日に日に感じていたが外で一緒に遊ぶごとにすんげー仲良しになってたよね君ら。相変わらずノイン君とは衝突するみたいだけど、最終的にはノルン君立ち会いのもとちゃんと謝るし。窓から見て青春だなあ何て見てたら、ボール飛んできて顔面強打したのがいい思い出だ。鼻血止まらなかった。
ともあれ、彼も二人に帰って欲しくないのだろう。ぼそっと「ずっとここにいればいいのに」何て言って……。その名案だ!って顔で二人ともこっち見ないで。ダメだって帰れ。
「家族が心配してるでしょ?」
「……」
俺がそういうと二人ともなぜか沈んだ顔をした。どうした!家族に会いたくないの!?虐待!?
「……だって、ノルンと一緒にいちゃダメだって、皆言うんだもん」
「……僕も、ノインに近寄るなって言われる」
「……まじで?」
いや、そこまで贔屓してんの?やばくねーか?
俺がそういうと二人は小さく頷いた。うーんっと俺は首を捻って考える。そしてこう提案した。
「ずっとくっついていて、引き剥がされそうになったらいやー!って叫べばいい」
「でもそれは折角のノインの立場を悪くするよ……?」
「じゃあノイン君。ノルン君と一緒じゃなくなってまで今まで通りの生活送りたい?」
「いや!ぜったいいや!!ノルンと一緒がいい!!」
「だって。じゃあ離れなければいい。一応フェルトさんには二人一緒にいないと精神が不安定になるって言っとくよ。実際その通りだし」
こくんっと、二人は頷いた。しかし、まだその顔には不安が見える。そこで、俺は二人に返してもらったハンカチを取り出した。このハンカチは細工がしてあり、燃やしたときそれがどんなに遠くにいてもどこで燃やされたかがすぐに分かるものだ。まあ、使う機会がないことを願う。
「まあ、うまくいかなかったらこのハンカチを燃やして?必ず俺が二人を拐いにいくから」
「……ほんと?」
「僕たち二人を?」
「もちろん」
だから、離してそろそろ。
しかし、次の瞬間がばっと両脇から抱きつかれた。衝撃が筋肉痛に響く!!!!
「絶対だよ!!絶対絶対だから!!」
「もし、僕はダメでもノインだけは拐ってね!!」
「だめ!アズール、ノルンも一緒だから!!」
「わかった!!約束約束!!だから離れて……っ!!」
俺が切実にそう訴えたが効果はなく。僕も!っとルチアーノにも飛びかかられて足がいたい。散々すぎる……。
その後、フェルトさんに先程のことを伝えると「任せて、言うつもりだったから」っと言っていた。そして、皆(カイルと俺を除き)涙ながらに二人に別れを告げて、見えなくなるまで手を振った。あ、最後にまた会おうね!っと二人が言っていたが俺は曖昧に返事をしといた。
お、大人になったら国外に逃亡……いや、旅に出るつもりだからたぶん、お貴族の君らとはもう縁がないと思うんだ、うん。フ、フラグとか思ってないから!!
ともあれ、怒濤の日々だった。これからは何もないことを切に願うよ。
その数ヵ月後、歳にして7つになった俺が何故かお城に招集をされるとは思いもよらず、ぶっちゃけそれよりもアンジェリカさんの取り乱しようが衝撃だったといっておく。
ーーーー
お気に入り登録ありがとうございます!
孤児6歳編一先ず完結です。
次回から7歳編スタートになります!
登場人物紹介が入るかもしれませんが、7歳になりますのでどうぞよろしくお願いします。
17
お気に入りに追加
1,216
あなたにおすすめの小説
死ぬ前に一度だけ、セックスしたい人はいますか?──自称ノンケな欲望担当天使のつがわせお仕事日記
スイセイ
BL
「死ぬ前に一度だけ、セックスしたい人はいますか?」
時は西暦20××年、日本。元来シャイな国民性を持ち、性愛に対する禁忌感情が色濃く残るこの国では、
死んだ人間がカケラとして残す「一度でいいからあの人とセックスしたかった」という欲望が大地を汚し、深刻な社会問題となっておりました。
事態を重く見た神様が創設したのは、「天使庁・欲望担当課」。
時間と空間を縦横無尽に駆け巡り、「あの日、あの時、あの人とセックスしたかった」という欲望を解消して回る、大事な大事なお仕事です。
病気の自分をずっとそばで励ましてくれた幼なじみ。
高嶺の花気取りのいけすかないあいつ。
もしかしたら、たぶん、いや絶対に、自分のことを好きになってくれたはずの彼。
未練の相手は様々でも、想いの強さは誰しも同じ。
これは、そんな欲望担当課にて、なんの因果か男性同士の性行為専門担当に任命されてしまった自称ノンケの青年天使ユージンと、
彼のパートナーであり、うっかりワンナイトの相手であり、そしてまた再び彼とのあわよくばを狙っているらしい軽薄天使ミゴーとの、
汗と涙とセイシをかけたお仕事日記です。
…という感じの、いわゆる「セックスしないと出られない部屋」の亜種詰め合わせみたいなお話です。章ごとの関連性は(主人公カップリング以外)ないので、お好きな章からどうぞ。
お話上性行為を見たり見られたりする表現もありますが、カップリング相手以外に触れられることはありません。
2022/10/01 完結済み
☆お品書き
【第一章】病に倒れたおれをいつも隣で励ましてくれた、幼なじみのあいつと。
・鈍感大らか×病に倒れた元気少年、幼なじみ、死ネタあり
【第二章】喪われし魂の救済を求めて、最期まで心を焦がしてやまなかった彼と。
・陽キャへたれ×厨二陰キャ、一部襲い受け、自殺未遂の描写あり
【第三章】せっくすの仕方がわからないぼくたちが、神の思し召しで遣わされた天使様方に教わって。
・純真敬語×無口素直、無知×無知、主人公カプあり
【第四章】生涯で唯一一度もお相手願えなかった、気位の高い猫みたいな男と。
・中性的ドS×両刀攻め専タラシ、調教、快楽堕ち、♡喘ぎ、濁点喘ぎ、攻めフェラあり
【第五章】きっとこの手の中に戻ってきてくれるはずの、今はまだ遠いお前と。
・いざと言うとき頼りになる地味系×メンタル弱めガラ悪系、デスゲーム風、ヤンデレ、執着攻め
【第六章】壊れてしまった物語を美しく終わらせるために、あの図書室で物語を分け合った先生と。
・自らの性癖に苦悩する堅物教師×浮世離れした美少年、死ネタあり
【第七章】死ぬ前に一度だけ、セックスをしたかったあの人と。
・最終章前編、死ネタあり
【第八章】そして死ぬ前にただ一度だけ、セックスをしたあの人と。
・最終章後編
【R-18】赤い糸はきっと繋がっていないから【BL完結済】
今野ひなた
BL
同居している義理の兄、東雲彼方に恋をしている東雲紡は、彼方の女癖の悪さと配慮の無さがと女性恐怖症が原因で外に出るのが怖くなってしまった半ひきこもり。
彼方が呼んでいるのか、家を勝手に出入りする彼の元彼女の存在もあり、部屋から出ないよう、彼方にも会わないように気を使いながら日々を過ごしていた。が、恋愛感情が無くなることも無く、せめて疑似的に彼女になれないかと紡は考える。
その結果、紡はネットアイドル「つむぐいと」として活動を開始。元々の特技もあり、超人気アイドルになり、彼方を重度のファンにさせることに成功する。
ネットの中で彼女になれるならそれで充分、と考えていた紡だが、ある日配信画面を彼方に見られてしまう。終わったと思った紡だが、なぜかその結果、同担と間違えられオタクトークに付き合わされる羽目になり…!?
性格に難ありな限界オタクの義兄×一途純情ネットアイドルの義弟の義兄弟ものです。
毎日7時、19時更新。エロがある話は☆が付いてます。全17話。12/26日に完結です。
毎日2回更新することになりますが、1、2話だけ同時更新、16話はエロシーンが長すぎたので1日だけの更新です。
公募に落ちたのでお焚き上げです。よろしくお願いします。
お助けキャラに転生したのに主人公に嫌われているのはなんで!?
菟圃(うさぎはたけ)
BL
事故で死んで気がつけば俺はよく遊んでいた18禁BLゲームのお助けキャラに転生していた!
主人公の幼馴染で主人公に必要なものがあればお助けアイテムをくれたり、テストの範囲を教えてくれたりする何でも屋みたいなお助けキャラだ。
お助けキャラだから最後までストーリーを楽しめると思っていたのに…。
優しい主人公が悪役みたいになっていたり!?
なんでみんなストーリー通りに動いてくれないの!?
残酷な描写や、無理矢理の表現があります。
苦手な方はご注意ください。
偶に寝ぼけて2話同じ時間帯に投稿してる時があります。
その時は寝惚けてるんだと思って生暖かく見守ってください…
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
悪役令息の花図鑑
蓮条緋月
BL
公爵令息シュヴァリエ・アクナイトはある日、毒にあたり生死を彷徨い、唐突に前世を思い出す。自分がゲームの悪役令息に生まれ変わったことに気づいたシュヴァリエは思った。
「公爵家の力を使えば世界中の花を集めて押し花が作れる!」
押し花作りが中毒レベルで趣味だったシュヴァリエはゲームのストーリーなどお構いなしに好き勝手動くことに決め行動が一変。その変化に周囲がドン引きする中、学園で奇妙な事件が発生!現場に一輪の花が置かれていたことを知ったシュヴァリエはこれがゲームのストーリーであることを思い出す。花が関わっているという理由で事件を追うことにしたシュヴァリエは、ゲームの登場人物であり主人公の右腕となる隣国の留学生アウル・オルニスと行動を共にするのだが……?
※☆はR描写になります
※他サイトにて重複掲載あり
人妻に憑依したのはいいけれど、男とエッチするのはちょっと…
氷室ゆうり
恋愛
今回は憑依ものです。…わたしが作る憑依って基本的に憑依した側がなぜかかわいそうな目に合うんですよね。だからダーク系憑依とは相性が悪いというか。今回の憑依も人妻に憑依した男が旦那に無理やり…みたいな感じです。ああ、r18ですよ?
ショートショートですので、会社終わりや勉強の合間に、ちょっとエッチなひとときを。
それでは!どうぞ!
Loska
七咲陸
BL
精霊のような儚く美しい容姿をもつスノウと、地味だが高身長、水魔法の権威である教師アイゼンのちょっとえっちなお話
□前後編、前編はスノウ視点で後編はアイゼン視点。
■R-18
□ほとんどしてます。ファンタジーです。
■可愛い男の子が大人にえっちな事されてるのを書きたかっただけです…すみません
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる