来世でよろしく

紫鶴

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6歳の俺

孤児6歳 17

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あの日から調査しにきた男たち、探りを入れにきた五人を含め全員は全く接触してこなかった。こちらをイヤーな視線で見ることはあるが、こちらの生活に邪魔するような行動は無くなった。止めたつもりが、クラウスあのあと何かやらかしたっぽい。毎回クラウスが近くを通るときびくっとしていた。なんかいたたまれない気持ちになる。うちの子がご免なさいって感じ。

そうこうしている間に、ノイン君とノルン君に誘われて三回に一回くらい外遊びに振り回されながらとうとうその日がやって来た。


「ふぅ、一先ず調査は終わったし伯爵から返事も来たからこのまま二人は屋敷に連れ帰りますね、院長先生」
「ええ、よろしくお願いします、フェルト君」


そう、二人のお別れだ。まあ、調査終われば一緒に帰るだろうなって思ってたけど結構長かったな。もっと早く帰ってくれればこんなに筋肉痛にならずにすんだんだけど。

あいたたたと、痛む足を動かしながら皆で二人のお見送りだ。うん、お見送りしたいな……。


「……アズールも一緒に行こ?」
「うん!一緒に行こうよ!!」
「いや、俺は行かないから、離して、お願い、筋肉痛だからぁ!!」


がっちりと両脇を捕まれて連行されている。一応踏ん張ってはいるが彼らの前には俺の力なんて微々たるものだ。こんなときにルチアーノは何をしているのか。頼みの綱の彼は見るからに落ち込んでいる。日に日に感じていたが外で一緒に遊ぶごとにすんげー仲良しになってたよね君ら。相変わらずノイン君とは衝突するみたいだけど、最終的にはノルン君立ち会いのもとちゃんと謝るし。窓から見て青春だなあ何て見てたら、ボール飛んできて顔面強打したのがいい思い出だ。鼻血止まらなかった。

ともあれ、彼も二人に帰って欲しくないのだろう。ぼそっと「ずっとここにいればいいのに」何て言って……。その名案だ!って顔で二人ともこっち見ないで。ダメだって帰れ。


「家族が心配してるでしょ?」
「……」


俺がそういうと二人ともなぜか沈んだ顔をした。どうした!家族に会いたくないの!?虐待!?


「……だって、ノルンと一緒にいちゃダメだって、皆言うんだもん」
「……僕も、ノインに近寄るなって言われる」
「……まじで?」


いや、そこまで贔屓してんの?やばくねーか?

俺がそういうと二人は小さく頷いた。うーんっと俺は首を捻って考える。そしてこう提案した。


「ずっとくっついていて、引き剥がされそうになったらいやー!って叫べばいい」
「でもそれは折角のノインの立場を悪くするよ……?」
「じゃあノイン君。ノルン君と一緒じゃなくなってまで今まで通りの生活送りたい?」
「いや!ぜったいいや!!ノルンと一緒がいい!!」
「だって。じゃあ離れなければいい。一応フェルトさんには二人一緒にいないと精神が不安定になるって言っとくよ。実際その通りだし」


こくんっと、二人は頷いた。しかし、まだその顔には不安が見える。そこで、俺は二人に返してもらったハンカチを取り出した。このハンカチは細工がしてあり、燃やしたときそれがどんなに遠くにいてもどこで燃やされたかがすぐに分かるものだ。まあ、使う機会がないことを願う。


「まあ、うまくいかなかったらこのハンカチを燃やして?必ず俺が二人を拐いにいくから」
「……ほんと?」
「僕たち二人を?」
「もちろん」


だから、離してそろそろ。

しかし、次の瞬間がばっと両脇から抱きつかれた。衝撃が筋肉痛に響く!!!!


「絶対だよ!!絶対絶対だから!!」
「もし、僕はダメでもノインだけは拐ってね!!」
「だめ!アズール、ノルンも一緒だから!!」
「わかった!!約束約束!!だから離れて……っ!!」


俺が切実にそう訴えたが効果はなく。僕も!っとルチアーノにも飛びかかられて足がいたい。散々すぎる……。

その後、フェルトさんに先程のことを伝えると「任せて、言うつもりだったから」っと言っていた。そして、皆(カイルと俺を除き)涙ながらに二人に別れを告げて、見えなくなるまで手を振った。あ、最後にまた会おうね!っと二人が言っていたが俺は曖昧に返事をしといた。

お、大人になったら国外に逃亡……いや、旅に出るつもりだからたぶん、お貴族の君らとはもう縁がないと思うんだ、うん。フ、フラグとか思ってないから!!

ともあれ、怒濤の日々だった。これからは何もないことを切に願うよ。












その数ヵ月後、歳にして7つになった俺が何故かお城に招集をされるとは思いもよらず、ぶっちゃけそれよりもアンジェリカさんの取り乱しようが衝撃だったといっておく。


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孤児6歳編一先ず完結です。
次回から7歳編スタートになります!
登場人物紹介が入るかもしれませんが、7歳になりますのでどうぞよろしくお願いします。
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