来世でよろしく

紫鶴

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6歳の俺

孤児6歳 5*

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「アンジェリカさん、ごめんなさい。忙しいのに……」
「いいのよ!それよりアズールに怪我無くてよかったわ。そこの貴女もアズールを守ってくださってありがとうございます。それで、申し訳ないんですがここの角の部屋に来賓室がありますのでそこまで運んでくださると助かります」
「いえいえ~。それじゃあ運んじゃいますね」


院長はまだいないらしくアンジェリカさんとここで働いている数名の従業員も食事や掃除で忙しいようだった。近々収穫祭があるからその準備もあるのだろう。アンジェリカさんにお使いのかごを渡し俺はその二人を来賓室のソファに横たわらせた。

隣には当然のようにクラウスがいてはー肩凝った~なんて言って腕を回している。お前のせいだけどなと言う言葉は飲み込みつつも睨み付ける。


「もう用はないから帰って」
「えー!いいじゃん!つーか、アズールっていうんだね、名前。可愛い~。孤児だったんだ~」
「うるさいわ!帰れ!!」
「ねね、また来ていい?来ていいよね?」
「はあ!?なんでだよ!!」
「だってアズールに会いたいなあ、俺」
「断る!」
「ええ~?そんな可愛くないこと言う口はこれかな~?」


ぐいぐい背中を押しながら部屋の出口へと押していると不意にクラウスが立ち止まりぐるんとこちらを振り向いた。フードの中から琥珀色の二つの瞳が怪しく光る。びくっと反射的に体が震え、グイッと体を持ち上げられる。身長差がありすぎるのですぐに俺の体は宙に浮く。うわっと声をあげるとぐっと俺の顔に彼の顔が近づいてきて唇に触れる。


「ん……っ!?」


驚いて身を引くが背中に手が回って体が動かない。そうこうしているうちに口の中にぬるっとした温かいものが入ってきて口の中をまさぐられた。ぞくりと背筋が震えてこの違和感を逃がすために足をこすりつけてしまう。


「ん……んん……ぁふ……」


酸素が無くなっていくのが分かりぐらっと視界が回ると、口が離れた。とろっと口端から唾液がこぼれ落ちたが、呼吸をするので精いっぱいでそれを拭う元気がない。


「あっはぁ。可愛い~」
「う……な、めない……で」


その口端のそれをベロっと舐められて俺は力の入らないまま彼の顔を押し返すが、全くきいていない。そのまままた顔が近づいてきて唇を貪られる。来賓室の机に押し倒されて、ぐいっと足を開かされる。うううう、なんで俺キスされてんだよ!意味が分からん!!少年趣味か!?

するっとズボンに手がかかって流石に体をこわばらせて押し返そうとする。しかし、子供の俺とこいつの力量の差は目に見えている。やばいやばい、え、こんな気絶してる二人がいるこんなところで嫌なんだけど!?


「据え膳食わぬは何とやらってね~」
「何してんですか!!」


ごんっと派手な音がしてクラウスの頭が動いた。ハッとしていると体が引っ張り上げられた。はーはー息を整えつつ俺を抱っこしてるその人物を確認する。そしてぎょっとした。


「え、いん……ちょう……?」
「私のアズールに何してるんですか!!」


いや、お前のじゃないけど俺。

思わずそう思うがそんな場合じゃないだろう。


「あーあ、やっぱり君かあ。ずるいじゃん独り占めはさー?」
「はあ?お前も前に同じことをしたでしょう?」
「あはは、まあねー。可愛かったなぁ、ぐずぐずに泣いちゃってさぁ。俺を欲しがるまでずーっとベッドの上で過ごしてもらったよー。成人したころにはお尻が疼いてたまらなくなって自分からねだってくれたよ?いいでしょ」
「クズが。こんな純粋無垢な方によくそんなことが出来ますね。気持ち悪い。この方は健やかに育てるべきです。他の人間と同じように育ててたらふく愛だの友情だので心を肥やしてから丸々頂くのがいいんですよ。幾度となる不幸に心折れかけているところに私が救いの手を差し伸べるんです」
「うわ、人の事いえなくねー?」


え、なに、どういうこと。二人面識があるの?え、え?話の流れ的に察したくないけど俺なんだよねその君たちが話してるのは。待って、こんな奴ら覚えてないんだけど。

動揺して二人を交互に見ていると二人ははあっと同時にため息をついた。


「まあ、ばれてしまっては仕方ありません。共有でいきましょうか」
「そうだねー。お互い独り占めできたときはあったんだし。俺らで争ったら国一つ滅んじゃうもん。賛成賛成」
「ま、待て待て!俺に説明してくれるっ!?」


二人だけで話がまとまりそうになったのでそう言うと院長はああっと言葉を発し、クラウスはきょとんとして首を傾げた。


「今回は珍しく前世の記憶を持っているようですが、一部欠落しているようなんですよ。だから私たちのことは覚えていないようです。ラッキーっと思ってここの孤児院の院長と代わったんですがもう意味がないので戻しましょうかね」
「え、え……?」
「あ、そーなの!なるほどー!あのねぇ、アズール。アズールって召喚術得意じゃん?それで悪魔呼ぶために天使を呼んだんだけどその時に呼ばれた天使が俺で、悪魔がこいつってわけ」
「は……?」


俺はポカンとして二人を見たが彼らはにこやかな笑みを浮かべていて嘘をいっている雰囲気ではない。確かに俺はっどちらかと言うと召喚士よりではあるし、結構雑用やらせるために悪魔やら天使やらを呼んでいたが、こんないかにも高位な天使と悪魔をよぶほど困った状況になったことはないはずだが!?


「確か、興味本意でよんだだけなんだよねっていってたかな~」
「ええ、そんな理由で呼ばれたあげく迷った末にお茶とお菓子だしてといわれ言われた通りにしたらお礼の品を渡されて返されましたね」
「そうそう。え、は?ってポカーンとしたよ俺」
「私も同じですよ。しかも天使と一緒で切れかけましたね。絶対死んだら食べるって思いました」
「俺も俺も!死んだら連れてっちゃおうって思ってたー」


まじか、結構ヤバイ綱渡りしてたな俺。いや、今もヤバイ事には変わりないけど……。ひくっと頬をひきつらせているとクラウスがフードをとってその容貌を見せる。俺はその姿を見てひっと声をあげてしまった。

肩ぐらいの黒髪をハーフアップにした金色の瞳の男。ぐわんっと視界が揺れて思い出したくない前世が鮮明に蘇る。







窓ひとつなく扉のない煉瓦で囲われたその空間には不釣り合いな大きなくらいベッドが中央にあり、俺はそのベッドで荒い息を吐きながらアナルに刺さったおもちゃをゆっくりと抜き差しする。黒いベッドシーツには飛び散った濃い色の精液と透明に近い精液がついていて前をそのぬるぬるしたところで擦ると気持ちが良い。

はーはーっと呼吸をしながらひたすらに快楽を貪っていると『ただいまー』っと声がした。俺は力の入らないからだを無理に起こしてやって来たそいつに近づく。


『ク、クラウスぅ……はやく、おしりのやつとってよぉ……』
『えー?気に入ったんじゃないの?さっきまでそれで遊んでたでしょー?』
『や、やだぁ……クラウスのがいい……』


ベッドサイドに腰かけたその男の服を脱がそうと前に回り込もうとしたが、その前にぐちゅうっと音を立てておもちゃを奥に押し込められた。ひんっと情けない声をあげてぶるりと体を震わせると、それが激しく抜き差しされる。


『あ、ん、ひぅ……っ!』
『あー、気持ち良さそうに鳴くねぇ。可愛い~。でもごめんね、まだ処理が終わってないんだよね~。テレシアだったらまあ、同じもの同士仲良くできるけど、さすがに人とは無理。特に君に輪廻転生の呪縛をしたやつは。だってそれがなければ君の死後、テレシアと仲良く半分こにできたんだもーん』


その言動に軽い苛立ちが混じって、おもちゃの動きが激しくなる。耐えきれずに俺はイき、薄くなった精液を撒き散らす。かくかくと脚が震えるがクラウスの動きが止まらない。


『あ、あ、んぅ、イったからぁ……っ。ゆ、くりぃ……っ!』
『ああ、ごめんごめん。ゆっくりずーっとがいいんだもんね~。君のちんこがバカになってとろとろ~って精液が流れるのが気持ちいいんだもんね~?』
『ぅ、うう……』
『あ、乳首もちんこも擦りつけて良いよ?それとも俺の服濡らした方が気持ちいい?ローションでも垂らしてあげようか』
『は、はぁ……ん、んん……』


ピタリと動きが止まってそれからゆっくりと抜き差しされ、ぞわぞわっと背中が震える。俺はクラウスの腕にすがり付いてその服に乳首を擦り付けながらキスをねだる。気づいたクラウスが隙間なく唇を覆って味わうようにキスをしてくれた。軽く酸素不足でうっとりとしているとそのまま押し倒される。


『可愛すぎ。悪魔じゃないけど頭からバリバリ食べちゃいたい』
『ん……ぅ……?』


そのままぼんやりとしていたらクラウスが額にキスを落として、おもちゃを引き抜いた。悲鳴をあげつつ閉じらない穴にクラウスが少し笑って今度は唇にキスを落とし、魔法でベッドの上を綺麗にした。それからそっと布団をかけられた。


『おやすみ。ちょっと寝てて。起きたら可愛がってあげるからね』
『うん……』


布団をかけられてうとうとしつつ、眠りについた。
うん、それ以上は思い出したくない。







俺は顔を真っ青にしつつ思わず院長にすがりついた。その様子の俺にあれ?っと首をかしげたクラウスがにぱーっと笑顔を見せる。


「もしかして、少し思い出した?」
「え!わ、私はっ!?私はっ!!??」
「いや、瞳とか髪型とか変えてるから思い出せないんじゃないの?」
「はっ!」


盲点だった!とでもいうような院長の反応に俺を床に下ろしたあとくるっと一回転してその容姿を変化させた。赤色の瞳に腰まで伸びた金髪。先程までは金色の瞳に肩までの茶髪であった。俺はその容貌の院長にあ、あーっ!と叫ぶ前にグラッと視界が回った。







ちゅっちゅっと啄むようにキスをしてふふっと思わず笑みが溢れた。するとドアップだった綺麗な顔が離れて首をかしげる。



『どうしました?』
『ううん。なんか幸せだな~って思って』
『ええ……?』


ベッドの中でそっと隣にいる彼、テレシアに引っ付く。そしてまた笑みが溢れた。


『なんというか、今まで俺を敬ってくれる人が沢山いてあまり目が養えていなかったのか身分がなくなるといろんな変な人に引っ掛かっちゃって……。好きになった相手に騙されて無一文になったり、犯罪者にさせられたり……。テレシアが助けてくれなかったら俺、生きてなかったかも』
『……もう大丈夫ですからね、私が守ります』
『うん、ありがとう』


ちゅっと額にキスを落とされてテレシアはベッドから出ていった。俺はそっと上体を起こして彼の後ろをついていく。彼はそんな俺の頭を撫でて『朝御飯の用意をしますからリビングにいてくださいね』と言ってキッチンに行ってしまう。俺は、はーいと返事をしながらリビングの席に座った。その際に足首の枷が邪魔で軽く引っ張って場所を移動させる。まだかなーっと足をバタバタしながら朝食を待つ。

暫くするとパンケーキに目玉焼きとベーコンが乗った皿が出てきて、野菜がたっぷり入ったトマトスープが出てきた。相変わらず美味しそうなご飯が出てくる。俺はパンケーキにナイフをいれてフォークで口に運ぶ。うまーっ!

美味しいご飯が毎日食べられて、お風呂も寝る場所もある。これ程幸せなことはないだろう。


『テレシア』
『はい、なんですか』
『大好き』
『ふふ、私もですよ』


そう言ってふわっとテレシアが笑った。俺もつられて笑顔になってしまう。
ああ、この人に出会って良かったと俺は心の底からそう思った。

……うん、ヤバイな俺。







げんなりした顔でそっとテレシアとクラウスと距離をとった。その様子の俺にテレシアは思い出したんですね!っと興奮していえーいっといったクラウスとハイタッチしている。お前ら、悪魔と天使の癖に仲が良い。確かに最初俺は興味本意で悪魔と天使をよんだ。高位悪魔がどんなのかと言う後学のために。でもいろんな文献を見ると高位悪魔をよんだら最後命と引き換えに願いを叶える的なニュアンスで、どうしたらよんでも生きれるかなぁっと思ったら昔の人はこんな考察をしていた。

高位悪魔と高位天使は拮抗しており、高位悪魔を呼ぶ際には高位天使もよべばよいっと書かれていた。俺はその考察を信じ高位天使をよんだあとすぐに高位悪魔をよび、なるほどこれがそうなのかーっと観察したあと、特にこれといった願いもなく、お菓子の時間だったのでテレシアにはお菓子、クラウスにはお茶を用意してもらって無事に返した記憶がある。うん、俺って怖いもの知らずだなぁ。というか、別に死んでもいいかって思ってたからかな。


「記憶ないアズールも良いけど、記憶あるアズールも可愛い~。色々苛めたくなる~」
「気持ちは分かりますが程ほどにお願いします」
「とりえず、孤児院関係者じゃないなら出てけ!!」


この二人が出ていったら結界張って俺はもうこの孤児院から出ないようにして……。

そんなプランを考えていたら、こんこんっと扉のノック音がした。


「アズール。具合はどう?」
「ア、アンジェリカさん!!」


俺は救世主が来たと思いダッシュでそちらに向かおうとしたらひょいっとテレシアに後ろから抱えられた。叫ぼうとしたらクラウスが扉を開けて中にアンジェリカさんを入れる。
さっきテレシアは院長設定は辞めたっていってたから知らない人が俺を抱っこしてるって見られればアンジェリカさんも不審に思うはず!!


「あ、テレシアさんもクラウスさんもみてくれてたんですか。ありがとうございます。よかったねー、アズール」
「え?」
「いえいえ、私もクラウスも孤児院の従業員ですから」
「そうそう。ねー、アズール」
「えええええええっ!?」


あああああっ!なんで記憶もってんのにこううまくできないんだ俺えええええっ!!こういうのは来世の記憶ない俺によろしくしてくれよぉっ!!!




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誤字報告でも感想でも貰えたらとても嬉しいです!!
テキサスの女殺しさん本当にありがとうございました*_ _)
また、お気に入り登録もありがとうございます!!やる気が出ます(笑)
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