11 / 27
6 爸爸呼びに弱い
しおりを挟む
「や!!!」
「んもー、大食いのくせに好き嫌い激しいんだから。ほら雪瓔、食べなさい」
「いーやーっ!!」
よく食べ、よく寝て、よく遊び、三人は大きくなった。6歳児だ。現実だったら小学生だぞ。いやあ、時の流れって早いもんだ。
そんな三人を食卓に座らせ、ご飯を食べるように催促しているのだが、よく食べるのに好き嫌いが激しい雪瓔がぷいっとそっぽを向く。
結構うまくいったんだけどな。魚の煮付け。
雪瓔は果物や菓子類が好きで、肉や魚はてんでだめ。野菜は比較的食べるんだけどね。
「爸爸食べて!!」
「こう言うときだけそういう。仕方ない。一口食べたらあとは俺が食べてあげる」
「食べさせて!!」
「はいはい仰せのままに」
あーんっと匙で魚の切り身を掬い雪瓔の口に運ぶ。先ほどまでそっぽを向いていた雪瓔のお口は素直にあーっと開いて待っていた。その中に匙を滑り込ませると、もぐもぐと雪瓔がよく噛んで飲み込む。
よく出来ましたと雪瓔の頭を撫でてやる。すると、もう用は済んだとばかりに雪瓔はずいっと俺の方に煮付けの入った器を押した。それからすっと俺のデザートである桃の入った器を自分の方に引き寄せる。
「こーかんね?」
「分かったよ。全くちゃっかりしてるんだから」
雪瓔は嬉しそうな表情を浮かべたあとにもぐもぐと自分の分の桃を口にしてから、俺の分に手を伸ばす。まあ、他のおかずは平らげたようだからよしとしよう。
「そーれーでー? 繻楽、魚の骨で何作ってる?」
「城!! 格好いいだろおり」
器用に魚の骨でくみ上げたお城のようなもの。どうやったら魚の骨でそんなものができるのか分からないが,繻楽は器用である。それは良いのだが、困ったことに繻楽は飽きるとすぐに遊び始めるのだ。
「格好いいね。でも食べ物で遊んじゃだめ。玩具で遊ぼう。ご飯は食べ終わった?」
「まだ!! 爸爸、オレもあーんして!!」
「一口だけね? あとは自分で食べる」
「はーい!!」
元気よく返事をした繻楽にも食べさせてあげる。もぐもぐと元気の良い返事と共に他のおかずにも手をつけて食べ始めるが、また数分後には飽きて違う遊びをしているはずだ。繻楽はそういう子。
「優蘭」
「……」
「優蘭。本を読むのはやめなさい」
最後に、俺の膝の上を陣取って堂々と本を読み続ける優蘭。ご飯時だから本を遠くに置いたはずなんだけど、二人を相手している間に持ってきて読み始めたらしい。隙あらば本に齧り付く本の虫だ。
俺の言葉が聞こえているのか優蘭は少しだけ本をあげ顔を隠す。そしてぼそりと呟いた。
「……あとちょっと」
「だめでーす!!」
そう言って最後まで読むつもりなのは分かっている。ひょいっと本を回収して遠くに置く。むうっと上から見ても分かるくらい優蘭は唇を突き出して、不満げにこんこんと箸で机をつついた。
「行儀悪い! ほら早く食べる!!」
「……爸爸」
「まーったく!! この甘えん坊さんたちめ!! 一口だけだぞ!!」
そうして優蘭にもあーんをしてあげつつ、自分の分も急いでかきこむ。
都合の良いときだけパパ呼びしやがって。別に良いんだけどさ!!織でも不満はないよ!?まあ、パパの方が嬉しいけど!
「んもー、大食いのくせに好き嫌い激しいんだから。ほら雪瓔、食べなさい」
「いーやーっ!!」
よく食べ、よく寝て、よく遊び、三人は大きくなった。6歳児だ。現実だったら小学生だぞ。いやあ、時の流れって早いもんだ。
そんな三人を食卓に座らせ、ご飯を食べるように催促しているのだが、よく食べるのに好き嫌いが激しい雪瓔がぷいっとそっぽを向く。
結構うまくいったんだけどな。魚の煮付け。
雪瓔は果物や菓子類が好きで、肉や魚はてんでだめ。野菜は比較的食べるんだけどね。
「爸爸食べて!!」
「こう言うときだけそういう。仕方ない。一口食べたらあとは俺が食べてあげる」
「食べさせて!!」
「はいはい仰せのままに」
あーんっと匙で魚の切り身を掬い雪瓔の口に運ぶ。先ほどまでそっぽを向いていた雪瓔のお口は素直にあーっと開いて待っていた。その中に匙を滑り込ませると、もぐもぐと雪瓔がよく噛んで飲み込む。
よく出来ましたと雪瓔の頭を撫でてやる。すると、もう用は済んだとばかりに雪瓔はずいっと俺の方に煮付けの入った器を押した。それからすっと俺のデザートである桃の入った器を自分の方に引き寄せる。
「こーかんね?」
「分かったよ。全くちゃっかりしてるんだから」
雪瓔は嬉しそうな表情を浮かべたあとにもぐもぐと自分の分の桃を口にしてから、俺の分に手を伸ばす。まあ、他のおかずは平らげたようだからよしとしよう。
「そーれーでー? 繻楽、魚の骨で何作ってる?」
「城!! 格好いいだろおり」
器用に魚の骨でくみ上げたお城のようなもの。どうやったら魚の骨でそんなものができるのか分からないが,繻楽は器用である。それは良いのだが、困ったことに繻楽は飽きるとすぐに遊び始めるのだ。
「格好いいね。でも食べ物で遊んじゃだめ。玩具で遊ぼう。ご飯は食べ終わった?」
「まだ!! 爸爸、オレもあーんして!!」
「一口だけね? あとは自分で食べる」
「はーい!!」
元気よく返事をした繻楽にも食べさせてあげる。もぐもぐと元気の良い返事と共に他のおかずにも手をつけて食べ始めるが、また数分後には飽きて違う遊びをしているはずだ。繻楽はそういう子。
「優蘭」
「……」
「優蘭。本を読むのはやめなさい」
最後に、俺の膝の上を陣取って堂々と本を読み続ける優蘭。ご飯時だから本を遠くに置いたはずなんだけど、二人を相手している間に持ってきて読み始めたらしい。隙あらば本に齧り付く本の虫だ。
俺の言葉が聞こえているのか優蘭は少しだけ本をあげ顔を隠す。そしてぼそりと呟いた。
「……あとちょっと」
「だめでーす!!」
そう言って最後まで読むつもりなのは分かっている。ひょいっと本を回収して遠くに置く。むうっと上から見ても分かるくらい優蘭は唇を突き出して、不満げにこんこんと箸で机をつついた。
「行儀悪い! ほら早く食べる!!」
「……爸爸」
「まーったく!! この甘えん坊さんたちめ!! 一口だけだぞ!!」
そうして優蘭にもあーんをしてあげつつ、自分の分も急いでかきこむ。
都合の良いときだけパパ呼びしやがって。別に良いんだけどさ!!織でも不満はないよ!?まあ、パパの方が嬉しいけど!
24
お気に入りに追加
224
あなたにおすすめの小説
異世界で騎士団寮長になりまして
円山ゆに
BL
⭐︎ 書籍発売‼︎2023年1月16日頃から順次出荷予定⭐︎溺愛系異世界ファンタジーB L⭐︎
天涯孤独の20歳、蒼太(そうた)は大の貧乏で節約の鬼。ある日、転がる500円玉を追いかけて迷い込んだ先は異世界・ライン王国だった。
王立第二騎士団団長レオナードと副団長のリアに助けられた蒼太は、彼らの提案で騎士団寮の寮長として雇われることに。
異世界で一から節約生活をしようと意気込む蒼太だったが、なんと寮長は騎士団団長と婚姻関係を結ぶ決まりがあるという。さらにレオナードとリアは同じ一人を生涯の伴侶とする契りを結んでいた。
「つ、つまり僕は二人と結婚するってこと?」
「「そういうこと」」
グイグイ迫ってくる二人のイケメン騎士に振り回されながらも寮長の仕事をこなす蒼太だったが、次第に二人に惹かれていく。
一方、王国の首都では不穏な空気が流れていた。
やがて明かされる寮長のもう一つの役割と、蒼太が異世界にきた理由とは。
二人の騎士に溺愛される節約男子の異世界ファンタジーB Lです!

「今夜は、ずっと繋がっていたい」というから頷いた結果。
猫宮乾
BL
異世界転移(転生)したワタルが現地の魔術師ユーグと恋人になって、致しているお話です。9割性描写です。※自サイトからの転載です。サイトにこの二人が付き合うまでが置いてありますが、こちら単独でご覧頂けます。


獣人の子供が現代社会人の俺の部屋に迷い込んできました。
えっしゃー(エミリオ猫)
BL
突然、ひとり暮らしの俺(会社員)の部屋に、獣人の子供が現れた!
どっから来た?!異世界転移?!仕方ないので面倒を見る、連休中の俺。
そしたら、なぜか俺の事をママだとっ?!
いやいや女じゃないから!え?女って何って、お前、男しか居ない世界の子供なの?!
会社員男性と、異世界獣人のお話。
※6話で完結します。さくっと読めます。
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
転生したら嫌われ者No.01のザコキャラだった 〜引き篭もりニートは落ちぶれ王族に転生しました〜
隍沸喰(隍沸かゆ)
BL
引き篭もりニートの俺は大人にも子供にも人気の話題のゲーム『WoRLD oF SHiSUTo』の次回作を遂に手に入れたが、その直後に死亡してしまった。
目覚めたらその世界で最も嫌われ、前世でも嫌われ続けていたあの落ちぶれた元王族《ヴァントリア・オルテイル》になっていた。
同じ檻に入っていた子供を看病したのに殺されかけ、王である兄には冷たくされ…………それでもめげずに頑張ります!
俺を襲ったことで連れて行かれた子供を助けるために、まずは脱獄からだ!
重複投稿:小説家になろう(ムーンライトノベルズ)
注意:
残酷な描写あり
表紙は力不足な自作イラスト
誤字脱字が多いです!
お気に入り・感想ありがとうございます。
皆さんありがとうございました!
BLランキング1位(2021/8/1 20:02)
HOTランキング15位(2021/8/1 20:02)
他サイト日間BLランキング2位(2019/2/21 20:00)
ツンデレ、執着キャラ、おバカ主人公、魔法、主人公嫌われ→愛されです。
いらないと思いますが感想・ファンアート?などのSNSタグは #嫌01 です。私も宣伝や時々描くイラストに使っています。利用していただいて構いません!
その男、有能につき……
大和撫子
BL
俺はその日最高に落ち込んでいた。このまま死んで異世界に転生。チート能力を手に入れて最高にリア充な人生を……なんてことが現実に起こる筈もなく。奇しくもその日は俺の二十歳の誕生日だった。初めて飲む酒はヤケ酒で。簡単に酒に呑まれちまった俺はフラフラと渋谷の繁華街を彷徨い歩いた。ふと気づいたら、全く知らない路地(?)に立っていたんだ。そうだな、辺りの建物や雰囲気でいったら……ビクトリア調時代風? て、まさかなぁ。俺、さっきいつもの道を歩いていた筈だよな? どこだよ、ここ。酔いつぶれて寝ちまったのか?
「君、どうかしたのかい?」
その時、背後にフルートみたいに澄んだ柔らかい声が響いた。突然、そう話しかけてくる声に振り向いた。そこにいたのは……。
黄金の髪、真珠の肌、ピンクサファイアの唇、そして光の加減によって深紅からロイヤルブルーに変化する瞳を持った、まるで全身が宝石で出来ているような超絶美形男子だった。えーと、確か電気の光と太陽光で色が変わって見える宝石、あったような……。後で聞いたら、そんな風に光によって赤から青に変化する宝石は『ベキリーブルーガーネット』と言うらしい。何でも、翠から赤に変化するアレキサンドライトよりも非常に希少な代物だそうだ。
彼は|Radius《ラディウス》~ラテン語で「光源」の意味を持つ、|Eternal《エターナル》王家の次男らしい。何だか分からない内に彼に気に入られた俺は、エターナル王家第二王子の専属侍従として仕える事になっちまったんだ! しかもゆくゆくは執事になって欲しいんだとか。
だけど彼は第二王子。専属についている秘書を始め護衛役や美容師、マッサージ師などなど。数多く王子と密に接する男たちは沢山いる。そんな訳で、まずは見習いから、と彼らの指導のもと、仕事を覚えていく訳だけど……。皆、王子の寵愛を独占しようと日々蹴落としあって熾烈な争いは日常茶飯事だった。そんな中、得体の知れない俺が王子直々で専属侍従にする、なんていうもんだから、そいつらから様々な嫌がらせを受けたりするようになっちまって。それは日増しにエスカレートしていく。
大丈夫か? こんな「ムササビの五能」な俺……果たしてこのまま皇子の寵愛を受け続ける事が出来るんだろうか?
更には、第一王子も登場。まるで第二王子に対抗するかのように俺を引き抜こうとしてみたり、波乱の予感しかしない。どうなる? 俺?!

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話
gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、
立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。
タイトルそのままですみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる