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3章、メイドは死にました
59、アンナが行方不明になりました
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「えっ? ア、アンナが……?」
アンナが行方不明という話を聞いたのは、魔女家にある会議室でキルケ様やカリスト様、ミディー先生と国土復建についての会議をしていた時だった。
なんと、いつも慕ってくれていた赤毛のメイド、アンナが湖化事件の被害者になって行方不明だと言うのだ。
「そんな……助けられないんですか? 湖を捜索したり……」
「捜索はもちろんしているが、今のところ見つかってないんだ。これまでの被害者もひとりも見つけられなかったし、生存の期待はできない」
「いつ落ちたんですか? 私が最後にアンナに会ったのは……」
数日前だ。
新しいメイドが「アンナさんは休暇を取られていて」と話していたので、信じてたんだ。
「休暇のあと辞職して遠方の実家に帰ったことにしてもよかったんだけど、キミはあのメイドと仲良くやっていたようだし、ボクも結構、情が湧いてたからね……」
現実感が湧く前に、情緒がついていかないまま、「生存は絶望的」と言われてしまった。あまりにも呆気なく、身近な存在がひとり、いなくなった。
「あの、私、捜索に参加したいです」
見つけてあげたい。生きていても、そうでなくても。
何もしないでいるなんて、できない。
キルケ様は心情を察してくれて、会議を中断して現場に連れていき、シャボン玉のような空気の結界をつくって私と一緒に湖の中に潜ってくれた。
湖は、海に繋がっているのだと言う。
前世でいう「流氷」の氷の部分が私たちの王国の陸地だと考えるとわかりやすいだろうか。
氷が割れてしまったみたいに穴が開いて、その下にあった海に落ちてしまったのが、行方不明者たちだ。
「流されてどこまで行ったかわからない……海は広いから……」
1時間、2時間と捜索して、キルケ様は「宮廷魔法使いの捜索隊が、これを各所で24時間体制で交代して繰り返しているが、今のところ行方不明者は一人も見つかっていないんだよ」と教えてくれた。
そんな現実を教えるために、私に現場を見せてくれたんだ。
そう思うと、自然と頭が下がった。
「陥落するまま、湖化したままの地区がどんどん増えていくと、ボクたちの国土は穴だらけになって、やがてバラバラの諸島みたいになるだろう。だから、最初に陥落した場所から順に捜索を打ち切って、塞いでいこうと思う」
「……はい、キルケ様。あの、アンナのご家族、とか……」
「いないようだよ」
「あっ。そうなんですね」
この時、初めて気づく――私、アンナのことを全然知らない。あまりアンナのことを尋ねなかった。
アンナって、変なメイドだと思っていたけど、私に好意を向けてくれていた。
明るくて、いつも味方の温度感で。
いなくなるのが本当に一瞬すぎて、心が追い付かない。
もっと色々お話してみたら知らなかった彼女のことが知れたんじゃないかとか、彼女が死んでしまう運命は防げなかっただろうかとか、ぐるぐると思考の海に溺れてしまいそうになる。
静かな夜にふと思いついて水晶玉でアンナを占ってみたりもした。
水晶玉には深い海が映っていて、見ていられなくなった。
可哀想に、アンナ。
苦しくてつらかったでしょうに。冷たくて寂しいでしょうに。
これまで被害にあった人たちは、誰ひとり遺体が見つかっていない。その現実が、あまりにもつらい。
彼らの遺体は広大な海に流れて、海の藻屑になってしまったのだろうか……?
◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆
ぱちん、と指を鳴らす音が響く。
魔法が発動されて、水晶玉に離れた場所の景色が映る。
鳩時計が時を刻む部屋。
長い髪をゆるく二つに分けてリボンで結わえた令嬢が、しおしおとした様子でベッドに潜り込む光景。
それを見守る魔女は、城の中にいた。
◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆
日は流れた――アンナも、他の行方不明者も、見つからないまま。
日数的に考えても、やっぱり生存は厳しい。例えば、奇跡的にどこかの陸地に流れ着いていたりしたらいいんだけど、そういう報告もない。
アンナの魂は、もう転生川を流れていたりするのだろうか。
そういえば、マギライトお兄様も。
転生ガチャとか言ってたけど、また転生するのだろうか?
あれ、そういえばお兄様って魂を分割されたんだっけ。倒した魔王って転生したお兄様で合ってる? それとも?
ゲームと違って、現実って調べようがなくてわからないことがいっぱい。
考えていると頭がごちゃごちゃしてきて、どんどんわけがわからなくなっていく。
しかも、勉強もしないといけない。
魔法学校が試験期間に入るからだ。
試験の結果しだいで進級可否や進路が決まったりするので、みんながピリピリしている。
――そんな中。
「えっ、婚約相手の見直しですか?」
校長室に呼び出されて行ってみると、キルケ様が大量の書類の上に浮いていた。
当主のお仕事に校長のお仕事が加わって、大変そうだ。家令や代理校長にお仕事の一部を任せたらどうかな。
「英雄王子だか知らないが、ボクは節度ある男女交際を希望する。外泊は10年早い」
「す、すみませんでした」
私が頭を下げると、キルケ様はそれまでのむすりとした声を一点、猫撫で声に変えた。
「ボクは王子に怒っているのであって、キミに怒っているわけではないよ」
なるほど、外泊したから怒ってるんだ。
それだけで婚約を白紙にするというのは過激に思えるけど……。
パーニス殿下は「機嫌を取る」と言ってたけど、大丈夫かな?
「それで、この書類の束は?」
「貴族たちの中には王室を恐れぬしたたかな者がいてね。チャンスがわずかでもあるならと名乗り出た新しい婚約希望者たちだよ。キミは選び放題の身の上なんだ。身分が上だから一番キミにふさわしいとは限らない。視野を広く持って、自分を幸せにしてくれそうな好みの相手を選ぶといい」
渡された書類の束は、貴族男性の姿絵とプロフィールが書かれていた。年齢、家柄、家族構成、女性遍歴、学校での成績、使用人からの評判に世間でのイメージ、趣味……。眺めているとなかなか楽しい。あっ、クロヴィスだ。趣味が「鍛錬」「狩猟」「魔物討伐」。料理と刺繍の趣味は内緒らしい。
書類に見入っていると、キルケ様はふよふよと空中を漂って私を背中から抱きしめた。
見た目がショタなので、子どもに懐かれているような気分になる。可愛い。
「……それに、望むなら結婚せずにボクとずっと暮らしてもいいんだよ」
「嬉しいことを言ってくださってありがとうございます、キルケ様。そういえば、家令や代理校長にお仕事の一部を任せてはいかがですか? キルケ様は優秀な方ですけど、お仕事のしすぎは健康に悪いです」
「ボクの心配をしてくれるのかい。キミは本当にいい子だなあ!」
顔色を窺うと、ご機嫌は上向きだ。
このタイミングを逃さず――照れるけど、言っておこう。
「キルケ様。外泊はただのトラブルです。魔王も暴れてましたし、寝すぎてしまって。それに、私はパーニス殿下をお慕いしているので、他の婚約者は考えません」
「うぐっ」
自分の意思をちゃんと表明するのは、大切なことだから。
そう思って言ったのだけど、キルケ様は呻き声をあげて両手で魔女帽子を引っ張って顔を隠し、窓際に離れていった。
「……」
――無言が続く。
ご機嫌が下降したのが、わかりやすい……。
「……マリンベリー。精霊交信術の授業の時間だろ。いっておいで」
「は、はい。授業に行ってまいります」
……言うべきことを言っただけだもの。後悔しない!
退室して精霊交信術の実習場所である魔法植物園に向かう途中で、ミディー先生がアルメリク先生と話しているのが見えた。
「私情で生徒の未来に影を落とさないでください、以上」
「占星術は神秘なる魔法です。私情なんてとんでもない」
私が「意地悪だ」と思ったように、ミディー先生もアルメリク先生の占星術が「私情によるもの」だと判じたらしい。
気が合いますね、先生! やっぱりそうですよね~!
アンナが行方不明という話を聞いたのは、魔女家にある会議室でキルケ様やカリスト様、ミディー先生と国土復建についての会議をしていた時だった。
なんと、いつも慕ってくれていた赤毛のメイド、アンナが湖化事件の被害者になって行方不明だと言うのだ。
「そんな……助けられないんですか? 湖を捜索したり……」
「捜索はもちろんしているが、今のところ見つかってないんだ。これまでの被害者もひとりも見つけられなかったし、生存の期待はできない」
「いつ落ちたんですか? 私が最後にアンナに会ったのは……」
数日前だ。
新しいメイドが「アンナさんは休暇を取られていて」と話していたので、信じてたんだ。
「休暇のあと辞職して遠方の実家に帰ったことにしてもよかったんだけど、キミはあのメイドと仲良くやっていたようだし、ボクも結構、情が湧いてたからね……」
現実感が湧く前に、情緒がついていかないまま、「生存は絶望的」と言われてしまった。あまりにも呆気なく、身近な存在がひとり、いなくなった。
「あの、私、捜索に参加したいです」
見つけてあげたい。生きていても、そうでなくても。
何もしないでいるなんて、できない。
キルケ様は心情を察してくれて、会議を中断して現場に連れていき、シャボン玉のような空気の結界をつくって私と一緒に湖の中に潜ってくれた。
湖は、海に繋がっているのだと言う。
前世でいう「流氷」の氷の部分が私たちの王国の陸地だと考えるとわかりやすいだろうか。
氷が割れてしまったみたいに穴が開いて、その下にあった海に落ちてしまったのが、行方不明者たちだ。
「流されてどこまで行ったかわからない……海は広いから……」
1時間、2時間と捜索して、キルケ様は「宮廷魔法使いの捜索隊が、これを各所で24時間体制で交代して繰り返しているが、今のところ行方不明者は一人も見つかっていないんだよ」と教えてくれた。
そんな現実を教えるために、私に現場を見せてくれたんだ。
そう思うと、自然と頭が下がった。
「陥落するまま、湖化したままの地区がどんどん増えていくと、ボクたちの国土は穴だらけになって、やがてバラバラの諸島みたいになるだろう。だから、最初に陥落した場所から順に捜索を打ち切って、塞いでいこうと思う」
「……はい、キルケ様。あの、アンナのご家族、とか……」
「いないようだよ」
「あっ。そうなんですね」
この時、初めて気づく――私、アンナのことを全然知らない。あまりアンナのことを尋ねなかった。
アンナって、変なメイドだと思っていたけど、私に好意を向けてくれていた。
明るくて、いつも味方の温度感で。
いなくなるのが本当に一瞬すぎて、心が追い付かない。
もっと色々お話してみたら知らなかった彼女のことが知れたんじゃないかとか、彼女が死んでしまう運命は防げなかっただろうかとか、ぐるぐると思考の海に溺れてしまいそうになる。
静かな夜にふと思いついて水晶玉でアンナを占ってみたりもした。
水晶玉には深い海が映っていて、見ていられなくなった。
可哀想に、アンナ。
苦しくてつらかったでしょうに。冷たくて寂しいでしょうに。
これまで被害にあった人たちは、誰ひとり遺体が見つかっていない。その現実が、あまりにもつらい。
彼らの遺体は広大な海に流れて、海の藻屑になってしまったのだろうか……?
◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆
ぱちん、と指を鳴らす音が響く。
魔法が発動されて、水晶玉に離れた場所の景色が映る。
鳩時計が時を刻む部屋。
長い髪をゆるく二つに分けてリボンで結わえた令嬢が、しおしおとした様子でベッドに潜り込む光景。
それを見守る魔女は、城の中にいた。
◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆
日は流れた――アンナも、他の行方不明者も、見つからないまま。
日数的に考えても、やっぱり生存は厳しい。例えば、奇跡的にどこかの陸地に流れ着いていたりしたらいいんだけど、そういう報告もない。
アンナの魂は、もう転生川を流れていたりするのだろうか。
そういえば、マギライトお兄様も。
転生ガチャとか言ってたけど、また転生するのだろうか?
あれ、そういえばお兄様って魂を分割されたんだっけ。倒した魔王って転生したお兄様で合ってる? それとも?
ゲームと違って、現実って調べようがなくてわからないことがいっぱい。
考えていると頭がごちゃごちゃしてきて、どんどんわけがわからなくなっていく。
しかも、勉強もしないといけない。
魔法学校が試験期間に入るからだ。
試験の結果しだいで進級可否や進路が決まったりするので、みんながピリピリしている。
――そんな中。
「えっ、婚約相手の見直しですか?」
校長室に呼び出されて行ってみると、キルケ様が大量の書類の上に浮いていた。
当主のお仕事に校長のお仕事が加わって、大変そうだ。家令や代理校長にお仕事の一部を任せたらどうかな。
「英雄王子だか知らないが、ボクは節度ある男女交際を希望する。外泊は10年早い」
「す、すみませんでした」
私が頭を下げると、キルケ様はそれまでのむすりとした声を一点、猫撫で声に変えた。
「ボクは王子に怒っているのであって、キミに怒っているわけではないよ」
なるほど、外泊したから怒ってるんだ。
それだけで婚約を白紙にするというのは過激に思えるけど……。
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「それで、この書類の束は?」
「貴族たちの中には王室を恐れぬしたたかな者がいてね。チャンスがわずかでもあるならと名乗り出た新しい婚約希望者たちだよ。キミは選び放題の身の上なんだ。身分が上だから一番キミにふさわしいとは限らない。視野を広く持って、自分を幸せにしてくれそうな好みの相手を選ぶといい」
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「ボクの心配をしてくれるのかい。キミは本当にいい子だなあ!」
顔色を窺うと、ご機嫌は上向きだ。
このタイミングを逃さず――照れるけど、言っておこう。
「キルケ様。外泊はただのトラブルです。魔王も暴れてましたし、寝すぎてしまって。それに、私はパーニス殿下をお慕いしているので、他の婚約者は考えません」
「うぐっ」
自分の意思をちゃんと表明するのは、大切なことだから。
そう思って言ったのだけど、キルケ様は呻き声をあげて両手で魔女帽子を引っ張って顔を隠し、窓際に離れていった。
「……」
――無言が続く。
ご機嫌が下降したのが、わかりやすい……。
「……マリンベリー。精霊交信術の授業の時間だろ。いっておいで」
「は、はい。授業に行ってまいります」
……言うべきことを言っただけだもの。後悔しない!
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「私情で生徒の未来に影を落とさないでください、以上」
「占星術は神秘なる魔法です。私情なんてとんでもない」
私が「意地悪だ」と思ったように、ミディー先生もアルメリク先生の占星術が「私情によるもの」だと判じたらしい。
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